EP5.ヤバイ遺跡
コウモリ型モンスターとの戦闘後、トルティヤは険しい山道を登る。
足元は脆く崩れやすい岩肌がむき出しで、いつ落石が起きてもおかしくない不安定な悪路だった。
それでも、トルティヤはひたむきに歩き、目的地付近に到達した。
「なんじゃ、開けた場所に出たのぉ」
トルティヤの前には広々とした草原。
そして、何世紀もの風雨に晒されたであろう古びた石造りの遺跡の入口が、岩肌に沿うように暗い口を開けて孤独に佇んでいた。
「して、あれが例の遺跡か…行ってみるかのぉ」
トルティヤは何の躊躇いもなく遺跡に足を踏み入れる。
「これは…中々酷いのぉ…」
遺跡の中は闇に包まれ、粗々しい茶色の茨が壁を這い上がり、床を覆い尽くすように侵食していた。
壁には蜘蛛の巣のような複雑なひびが走り、床はところどころ黒い穴となって陥没していた。
空気は湿っぽく、滴るような腐敗臭と微かな埃っぽい匂いが混ざり合い、鼻をつく。
「足元には気をつけねばの」
トルティヤは目を凝らし、陥没した床を軽い跳躍で避け、周囲の音に注意深く耳を傾けながら先へ進む。
そして、遺跡内部の開けた場所に出る。
「ほう。こうなっておったとはのぉ」
遺跡の中央と思われる場所は、巨大な針のような茨が複雑に絡み合っていた。
薄暗い天井には、先ほど戦ったコウモリ型のモンスターが、黒い翼を静かに羽ばたかせながら不気味に空を飛行していた。
さらに、足元には甲殻に覆われた黒いサソリのようなモンスターが、複数の関節を持つ脚を素早く動かし、素早く這い回っていた。
そして、巨大な桃色の羽を持つ巨大な蝶のモンスターは、色とりどりの怪しい鱗粉を静かにゆっくりと振り撒きながらゆっくりと飛行していた。
「さっきの奴は、ここから出てきたのじゃな…面白いではないか」
まるで、この世ではないような光景にトルティヤは息を飲みつつ、スリルを楽しむような表情を見せ、歩き出す。