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3/3

2.配信終わりに、次回へ向けて。







「よし、初回配信はこんな感じで良いかな」




 俺はそう言いながら、異世界と配信の接続を切った。

 いまの映像は、魔法使いの少年に助けられた子供の瞳に映っていた光景である。どちらの世界にも、パラレルワールドを認識する才能に恵まれた者が、一定数存在しているらしい。その中でも俺は特別で、明確に異世界を認識したうえ、それらの繋ぎになることができるのだった。

 これは生まれながらに得ていた力であって、ある奴曰く『神の領域』だとか。



「よーしよし、これだけ再生数があれば収益化も近いな」



 もっとも、俺はそんなこと興味などなく。

 日々をダラダラと過ごすことが、至上の目的だった。

 そんなこんなで、こうやって奇想天外な刺激に満ちている異世界の映像を流せば、こちら側の生活に飽き飽きした奴らが見てくれる。そうやって再生数と登録者数、その他にも条件はあるが、達成は時間の問題だった。



「……うん。だったら、次の標的は――」

「なーにをやってるんです!?」

「噂をすれば、お前か。……エリザ」



 などと、ニヤニヤと今後の生活に心を躍らせていると。

 先ほどいった『ある奴』が、妙に鼻息荒くして姿を現した。



「お前か……じゃないです! 貴方はまた、そうやって力を無駄遣いする!!」

「うるさいなぁ、良いだろ別に。俺の持ってる力なんだからさ」

「影響力を考えなさい、というのです!!」



 声のした方を振り返ると、そこには一人の幼い女の子の姿。

 金色の髪に、赤の瞳。清楚な印象を受けるワンピースドレスを身にまとい、一見すれば大人しい印象の少女であった。だが実際のところは、常にキーキー騒ぎ立てる小姑のような奴。

 彼女曰く、こちらの世界担当の女神だ、とのことだが……。



「歪みが発生したら、困るのは貴方たちですよ!?」



 腰に手を当てて、プンスカと怒る姿には威厳など欠片もなかった。

 ちなみに、歪みというのはこっちに発生しているダンジョン、のようなもの。本来あるはずのない構造変化が発生し、生態系や、人々の暮らしに影響を与えるとからしい。

 だけど俺としては、これといって興味がなかった。



「あー、もしヤバかったらエリザが何とかしてくれよ。女神なんだろ?」

「本当にメグルは、いくつになったら聞き分け好くなるのです!!」

「それ、ブーメランじゃない?」

「どこがですか!?」



 適当にあしらいながら言うと、エリザは髪を逆立てながら吠える。

 俺はそんな彼女の声に耳を塞ぎつつ、アーカイブの編集を始めていた。これをどうにかしないと、今夜は眠れなさそうだ。

 そんなわけで、早く少女にはご帰宅願いたかったのだが……。



「今日は言うこと聞くまで、絶対に動きませんからね!?」

「は……? マジかよ。うぜぇ……」

「ムキィーっ!?」



 どうにも、テコでも動かない様子だった。

 だが、煩いだけなので無視で良い。



 それに――。







「すやぁ……んふ、かすたーどぷりん……」

「なーにが、女神様だよ」



 ――これ、このように。

 お子様は年相応なお子様らしく、日付が変わる前におねむになっていた。

 俺はそんなエリザを横目に見て苦笑しつつ、パソコンでの作業を進めていく。こうやって間抜けているから、俺のような悪知恵だけの奴に出し抜かれるのだろう。

 もっとも、そんなこと俺が知ったことではない。




「――さて、と。これで、完了!」




 俺は編集を終えて、アーカイブを公開する。

 すると間もなく再生数が動き始め、コメントが付き始めた。



 その中にあったのは、こんなもの。




『どうせ、合成だろ』




 言葉こそ違うが、疑う内容は多かった。

 だけど、これは正真正銘のホンモノ。



 俺は口角を歪めて、こう呟くのだった。




「いまに見てろよ、間抜け共め……へへっ!」――と。



 


面白かった

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