アンドリュー・クリストフ
今回はアンドリューの生い立ちに少し触れた描写を入れたり主要メンバーを出してみました。
ここからアンドリュー、カルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーがどの様な形で戦いに巻き込まれていくか描きたいと思います。
次話の前書きか後書きかに主要メンバーの軽いプロフィールを載せたいと思います。
「4月10日・14時00分」
エリオット)武装者の件でもいっぱいだってのに…これ以上問題が増えるのは勘弁して欲しいものだ。
エリオットは切羽詰まった表情でアンドリューとスーツの男1が居る事務室の扉を開ける。
アンドリュー)だ〜か〜らぁ〜この内容で契約してくんなきゃ俺はその仕事引き受けねぇぞ!
スーツの男性1)いや…だからその…
アンドリューとスーツの男1は机を一つ挟み座る。
机の上には契約書とフリーハンドで書かれた紙切れが1枚有り、契約内容の項目には高給な値段と強い権限が貰える事といった、厚かましい契約内容が露骨に書かれていた。
エリオット)おい…何だねこれは…
アンドリュー)ん?
スーツの男性1)あ!エリオットさん!
スーツの男性1はエリオットが来るなり"助かった…"とホッとした表情になる。
アンドリュー)おっちゃんがここの責任者?
エリオット)ああ、そうだが……君がアンドリュー君かい?
アンドリュー)ああ!俺はアンドリュー……アンドリュー・クリストフだ!
おっさん達…俺に何かをさせたいんだろ?
映画製作のスタッフとか嘘付いてまで俺に近付いて来たんだしよ!
エリオット)……ふぅ……
エリオットはアンドリューの顔を”こいつを候補にしたのか…"と落胆した顔で右手を前に翳した。
エリオット)えーっと何々……?
するとエリオットの右手からは魔法陣が現れて、その魔法陣に"アンドリュー・クリストフ"の名前と、いくつかのアンドリューに関連した情報が書かれていた。
アンドリュー)ん?何だよ?
魔法陣なんか展開しちまって…
アンドリューはエリオットの後ろに立ち魔法陣に書かれている自身の情報を見る。
そんなアンドリューを気にもせずエリオットはアンドリューの開示された情報に目を通す。
エリオット)アンドリュー・クリストフ……歳は18歳……リオスターアカデミーに通う高校3年生……成績は体育以外は平均よりやや低い……
アンドリュー)ゲッ!?
何で俺の事そんなに知ってんだよ!?……あ!まさかオッサン達ってここ1か月ずっと俺の周りをうろついてた奴等か?
エリオット・スーツの男性)!?
エリオットとスーツの男性はアンドリューに身辺調査をしていた事が気付かれていた事に驚く。
アンドリュー)ずっと変な視線感じてたんだよ!
魔力も小さいから感知しづらかったしよ!
スーツの男性1)……(まさか…込めてもいないのに魔力感知されていたなんて…)
エリオット)……(実力は…確かの様だな……)
エリオットとスーツの男性1は計らずもアンドリューの実力を肌身で感じ、エリオットは少しアンドリューに期待を感じ笑みが溢れる。
エリオット)彼から話しをどこまで聞いた?
アンドリュー)え?
エリオットはアンドリューがスーツの男1にどこまで説明を受けたかを問う。
アンドリュー)なんかあれだろ?
やべぇ奴等が、ぶわぁっと沢山やって来て、俺にうりゃあーってやっつけて欲しいんだろ?
エリオット)……何だねそのふわっとした解釈は……?
スーツの男1)申し訳ありません…どうもこの子…頭の方はあまり良くないみたいなので…
エリオット)確かに情報欄には体育以外の成績は平均以下とあるが、あの名門校のリオスターアカデミーの生徒だろ?しかも3年の…
エリオットとスーツの男1はアンドリューに聞こえない様に小さな声で会話をする。
スーツの男1)はい…ただ彼は友人のコネとスポーツ特待生として入っています
加えて彼は異常な魔力量の持っていて、それも入学出来た原因の一つかと…
エリオット)なるほど…しかし友人のコネとは珍しいな……親のコネとかならまだ分かるが………ん?
エリオットはアンドリューの情報欄をふと見るとアンドリューが生まれて半年も経たない内に両親を事故で亡くし、ずっと姉と2人で暮らしていた事を知る。
エリオット)……そうか……その姉も1年前に行方不明か……
エリオットはアンドリューの境遇の一部を知り表情が固まる。
更にエリオットは、ふとアンドリューが提示した契約内容の紙が目に入る。
エリオット)……
契約内容の一つに"姉貴の探索に全面協力する事"と書かれていた。
エリオット)ふぅ…
アンドリュー)なんだよおっちゃん……暗い顔ばっかして……人生というのは笑う数との勝負なんだぞ!
アンドリューはエリオットの肩を馴れ馴れしくポンポン叩きながら意味不明な発言をする。
エリオット)……(人が同情している事も知らずにヘラヘラ笑いおって…)
エリオットがアンドリューの軽い態度にイライラしていると事務室の扉が勢いよく開く。
スーツの男2)エリオット司令官!
エリオット)ん?今度は何だ?
スーツの男2)外にリオスターアカデミーの生徒が4人程、ここの見学に来たと言って入って来ようとするんです!
エリオット)ん?見学?
そんな話し聞いて無いぞ?
スーツの男2)はい…此方もそう説明しているのですが聞かなくて…
エリオット)はぁ……仕方ない先にそちらを処理しよう……
アンドリュー君……少し待っていてくれ……
エリオットはアンドリューとスーツの男2人を事務室に待機させ室内から出る。
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「4月10日・14時30分」
警備員)だから予約が無いのに入る事は出来ないと言っているだろ!
アシュリー)だって!私の友達は入っていきましたよ!
カルロス)それにこちらの建物は僕達の税金で作られたものなんですから中を見る権利くらいある筈です
少しで構いませんので中を見せて頂けませんか?
アシュリーの隣に茶色い髪をマッシュにした爽やかで清潔感のある男子が居り、丁寧な口調で警備員に見学の嘆願をする。
警備員)ダメなものはダメだ!
警備員は魔力を少しだけ体内から放出させ威嚇させた。
ジェニー)あ〜いっけないんだ!
いい大人が魔力を使って子供を脅すなんて!社会人の恥よ!
薄い緑色のボブヘアーを外巻きのワンカールにした女子が警備員を指差しながら反抗的な対応を取る。
警備員は彼女の子供っぽい態度に若干腹を立てていたが、苛立ちをグッと堪えて魔力の放出を止めた。
セルウィント)警備員さん……魔力の練り方がかなり上手ですね……
青い髪をナチュラルショートヘアにした男子が含みのある言い方をしながら警備員を鋭い目で見る。
警備員)それがどうした?
セルウィント)いえ…ここって魔道具展示館なんですよね?
あなたみたいに魔力だけで人をたじろがしてしまう程の強い魔道士を警備員におく必要性があるんですかね?
警備員)……
セルウィントの言葉でカルロス、アシュリー、ジェニーは後ろに下がりながら建物全体を上から舐め回す様に見渡す。
建物の上部には看板が有り"魔道具展示館エバークラフト"と建物の名前が書かれていた。
警備員)展示館なのだから対応が豊富な警備員が居てもおかしくは無いだろ…
セルウィント)ええ……ですが警備員はあくまで最低限の衛護を努めれば良い筈ですよね?
アシュリー)言われてみれば確かにそうね……警備員は警位団と違って自衛もしなければならないから相手がもし暴行等を奮って来たらそこからは警位団に任せる筈よ?
カルロス)つまり警備員にそこまでの実力は要らないし、そもそもそんな訓練は受けないね
セルウィント、アシュリー、カルロスは警備員をマジマジと怪しそうに見る。
だが警備員は一瞬言葉を詰まらせたが、直ぐに気丈な対応で答える。
警備員)このエバークラフトは最近出来た建物なのは知ってるね?
展示物はどれも高級な品々を展示しているから泥棒に入られる可能性だって高い……だが建てられたばかりだからどこに穴場があるかどうかも分からないので、上級の魔道士を警備員に置いているんだよ…
ジェニー)なーるほど!
なら尚更エバークラフトの中を見なくちゃ!
警備員)何故そういう解釈になる!?
ジェニーは警備員が納得して帰って貰う様に丁寧に説明するが逆効果だった。
ジェニーは警備員の説明で返ってエバークラフトの中が気になり、ジェニーの言葉にカルロス、アシュリー、セルウィントも便乗し更に見学の嘆願をする。
エリオット)ダメと言っているのが分からないかい?
警備員)あ!エリオットさん!
すると警備員の後ろにエリオットが立ちカルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーを帰らせ様とする。
警備員はエリオットの顔を見るなり"良かった…"とホッとした顔をする。
エリオット)……(このやり取りは今日で2回目だな……)
エリオットはアンドリューの件と言い、カルロス達の件と言い"今時の若い子は…"と少し呆れた表情になる。
エリオット)展示館に入りたいならちゃんと予約を取るのが筋なのでは……ん?
エリオットは目線をカルロスに強く向ける。
エリオット)君…もしかしてアダムさんの御子息かね?
カルロス)!?、何故父の名を…?
エリオット)以前にアダムさんに家族写真を見せて貰ってね…君の事を優秀だといつも言っていたよ
カルロス)そうですか…
エリオット)確かに頭の良さそうな子ではあるね…でもヴェラーツ家の跡取りがこんな事をして良いと_____
カルロス)家の事は関係ありません!
カルロスはエリオットが家の話しを持ち出すと急に声を荒げた。
エリオット)……
ピィン!
エリオット)!?
カルロス・アシュリー・セルウィント・ジェニー)!?
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アンドリュー)!?何だこれ!
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その瞬間エリオット、アンドリュー、カルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーは何かを感じ取る。
エリオット)この禍々しい感じの魔力は……ん?
エリオットはカルロス達がキョロキョロと辺りを見渡す。
カルロス)あっちからだ!
アシュリー)そうね!
警備員)ちょっと君達!
カルロス達は"何か"を感じた位置を正確に把握した様子で警備員の制止も聞かずエバークラフトの中に入って行ってしまった。
エリオット)……まさか……"奴等"の魔力を感じ取ったのか……?
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「4月10日・14時45分」
アンドリュー)俺はここから一文たりとも譲らないからな!
スーツの男1•2)うーむ……
アンドリュー)それとも何か?
俺にサービスで国を救えって言うつもりか?
スーツの男1)いやだからさ……
スーツの男2)君の要求は極端すぎる!
スーツの男1)年収1千万ネロって……毎月80万ネロも貰う気か!?
アンドリュー)あ?学生の俺に国を守る規模の事やらせようとしてるんだろ?
それくらい貰わなきゃ割に合わねぇーよ!
アンドリューは両手を後頭部にテーブルに足を掛けて、ふんずりかえっていた。
ヒュッ!ガタン!
アンドリュー)あたっ!?
するとアンドリューが座っていた椅子を何者かが素早く引っこ抜く。
アンドリューはその拍子にふんずりかえった体勢から仰向けで床に落ちる。
その際に後頭部、肘を強打し床で悶える。
アンドリュー)な、何だ!?
カルロス)……
アシュリー・セルウィント・ジェニー)……
アンドリューはすかさず目線を後ろに向ける。
するとそこにはカルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーが居りセルウィントの手には椅子が有り引っこ抜いたのがセルウィントだと一目瞭然だった。
アンドリュー)セルウィント!
てめぇ何しやがる!!
セルウィント)ああ悪ぃ…お前が偉そうな態度を取ってるのを見たら反射的にやっちまった…
セルウィントは謝罪するもののまったく悪びれる様子が無かった。
ジェニー)てかアンドリューはこんな所で何してんの?
アンドリュー)んあ?何か俺さ!英雄的な?勇者的なのになるらしいぞ!
アシュリー)は?何よそれ?
アンドリュー)何か俺の魔力はやべぇらしく国を守るのに役立てとかこのおっさん達が言うんだよ!
アンドリューは極端な説明だった為にカルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーの4人は意味も状況も理解出来ず首を傾げる。
アシュリー)ていうか私…おじさん達にあんたが変なスーツの男達に連れ去られたから助けてあげてって言われたんですけど?
カルロス)はぁ…なんとなくオチは予想出来たが…心配して損したよ
セルウィント)しっかしただの魔道具展示館の地下にこんな場所が存在していたとはな…
ジェニー)何か如何にも隠し場所みたいな所だよね!
バンッ!
その時事務室の扉が勢いよく開けたエリオットがカルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーを睨み付ける。
エリオット)君達…勝手な事を…
カルロス)あの!ここは一体何なんですか!?
セルウィント)どう見ても高度な研究所にしか見えないです!
カルロスとセルウィントはエバークラフトの地下の構造内についてエリオットに迫る。
エリオット)……質問に答えるのは良いが此方も質問する……さっき……君達4人は妙な魔力を感じ取ったかい?
エリオットはカルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーを見ながら質問をする。
カルロス・アシュリー・セルウィント・ジェニー)え?
ズァァァァァァァァァアン!
スーツの男1•2)!?
その瞬間震度3程度ではあるが地震が起こる。
30秒程で揺れが収まり直ぐに事務室内に警報が鳴り、地震はエイク県全体だと分かる。
スーツの男1)もしやこの地震は…
スーツの男2)エリオット司令官!
エリオット)……
スーツの男2がエリオットに指示を仰ごうとエリオットの方を向く。
だがエリオットの目線はアンドリュー、カルロス、アシュリー、セルウィント、ジェニーの方を向いていた。
アンドリュー・カルロス・アシュリー・セルウィント・ジェニー)……
そして5人はまた何か異様な物を感知したのか顔が強張る。
次回へ続く。
本編に出て来たエバー・クラフトについて説明を述べたいと思います。
エバー・クラフト
本編の舞台であるエイク県に近日に出来た魔法展示館で有る。
館内にはエウーロスの歴史や様々な魔道具が置いてあるが、言う程中は明るく無く殺風景である。
魔法展示館と言うのは名だけで、地下には"対ベントテイラー"の組織として様々な機関から集めた少数の組織の拠点がある。