とある転生者の顛末
日本とは違う世界、モルテシア。中世ヨーロッパ風の世界ではあるが、この世界には魔力、魔法が存在しており適したスキルを習得すれば魔法の行使も可能である。
立石修司は事故によってこの世界にやってきた日本出身の少年。天からの声によってスキル「スキルリメイク」を得たことによって習得したスキルを強力なスキルへと作り直し数々の難敵を倒してきた。
最近はちょっと、ほんのちょっとこの世界に来て仲良くなった女の子たちと遊んだりしてやらなきゃいけない事を放置していたといえば確かにそうだろう。
だけど
「リメイクスキル【百発百中】!!」
スキル【命中】を作り直しどんな体勢、方向から撃っても確実に当たるスキルへと変化させた【百発百中】でひたすらにオートボウガンを撃ちまくる。
オートボウガンも頼れる仲間が作ってくれた自動装填機能の付いたボウガンだ。正直マシンガンが欲しかったがこれでも充分オーパーツレベルだから自重したかったが……
「ダメだシュウ!効いてない!!」
「嘘だろ……!?」
自動追尾のように対象へと向かっていった矢は防がれるでもなくあろうことかそのまま通過する。まるでそこに何もないかのように、だ。
しかし彼らには確かに見えている。この世界ではあり得ない、スーツを着た二人組が迫ってきている。
彼らは突然やってきて、開口一番こう言ったのだ。
『立石修司様、大変申し訳ございませんが契約終了となりました。近日中にモルテシアより退去していただきます。つきましては退去準備の方を……』
意味が分からなかった。いや、言っている言葉の意味は分かる。だがなぜ突然、しかもまるで住んでいる所が改築するから出て行け、と日本で済んでいた時のような事を言われなければならないのか。
当然抵抗の意思を見せた結果、「強制退去」に変わったらしく攻撃され始めた。
街中を逃げ回りながら思いつく限りのスキルを使っているが、魔法だろうと剣だろうと謎の障壁によって防がれる。オートボウガンに至ってはもはや当たりもしなかった。
「シュウ!このままじゃ……」
「クソ……なぁ、話をしてくれよ!何なんだよモルテシアからの退去って!?強制退去って言ったって説明するくらい義務はあるだろ!?理由次第じゃ……退去って言うのにも応じる」
そんな義務があるのかは立石は知りはしなかったがその言い分は相手に通じたらしく立ち止まる。もちろん退去に応じるつもりはないが、その原因の一端でも知れればそこから打開策が……
『退去理由については伝達を推奨しません。それでも聞きますか?』
「あぁ……」
『退去理由は依頼主が想像以上の活躍が無く飽きた、からです』
「……は?」
『了承、非了承問わず退去していただいた場合にはあなたの死亡原因である事故の改変、謝礼金として百万円を日本にて振り込ませていただきます』
「あき、た?人を、勝手にこの世界に呼んでおいて……飽きたから、帰れ?……ふっっっざけんなよ!!!」
【剣を巨大化させるスキル】【肉体を超強化するスキル】【魔力を百倍にするスキル】【剣に魔力を纏わせるスキル】【無敵化するスキル】【即座に習熟化させるスキル】、思いついたが強力だから自重していたスキルの数々を即座に創り出し発動する。
負けるわけにはいかない、突然この世界に力だけ受け取ってやってきて、大切なものだってたくさんできた。この世界に来て初めて出来た友達も、この世界に来て初めて愛し合えた人も居る。
飽きた、なんて理由でこの世界から出て行け、なんて認めて
「……えっ?」
隣で強化魔法をかけてくれていた親友が、支援魔法をかけてくれていた恋人が倒れた。なんで、と視線を向ければふと手元が軽くなる。
剣が、根元から折れていた。そして目の前には、スーツ姿の男が音も無く立っている。友と恋人が倒れたのも、スキルを注ぎ込んだ剣が折れたのも、目の前の男がやったのだとしたら……勝てない。超強化したはずの肉体で視認も出来ないほど速く彼が動けるのであれば、太刀打ちしようがない。
「い、嫌だ。戻りたくない……失いたくないものがこの世界にはたくさんあるんだ!やめろ……やめ」
『お疲れ様でした。日本での益々のご検討をお祈りしております』
頭を掴まれ、バチンという音と共に立石修司のシュウとしての物語は終わった。




