運命
キス一回千円。
十回で1万は儲かるけど暴利だなと思う。
でも本当にしてる奴がオレの学校にいる。金でキスをする、と言う噂。
最低最悪。
でもその噂の主は最高に良い男。
一回千円とかありえないけど、キスしてくれるなら払うと言う女は後を絶たないだろうなと感じる。
まぁ所詮噂だし、関係無いし、関わりたくない。
そう思っていた矢先に目撃してしまった。
「ンッ──……はぁ」
男は壁にもたれ、女は男にしがみついている。
必死に舌を絡ませるその姿は、飢えた獣みたいで内心ドン引きだった。
「あの噂……本当だったんだな」
近道して校舎裏を通るんじゃなかったと心底思った。ため息をつこうとしたその時、目に入ってしまった。
男の無機的な冷たい無表情──
「ありがとう、約束の」
満足した女はそう言い金を渡すと顔を赤らめ、目を合わさず立ち去った。
男は黙って見送ると、受け取った金をグシャと握り潰した。
手を開き、その場に捨てると金を踏みつけその場から消えた。
最後まで男の瞳は凍てつき、微塵も人らしさを感じさせなかった。
「──……変な奴」
金に罪は無い。てか勿体無い。とつい地に落ちたお札を拾ってしまう。
これはやっぱり──
「届けないと……ダメだよな」
長くため息をつくと己の性分を呪った。
嫌だな嫌だなと心で呟きながら、諦めて男を追い掛けた。
さっきの出来事。
まだその辺にいるだろうと、キョロキョロと240度、外校舎付近を見回す。
「いない……」
見失った。意外に足早すぎるとボヤくとお札をポケットにしまった。
「クラス知らないけど誰かに訊けば分かるかな」
独り言を呟きながら、自分の教室に帰って行った。
面倒な事になるとこの時気付いてれば、絶対に関わろう何てしなかったと後々後悔する。




