第3話 冒険者になった
もうちょい書いてから、と思ったけど、続きを書くと長くなりそうなので、ここで切る。
冒険者ギルドに登録した。
「これで今日から俺も冒険者だ!」
テンション上がるぅ!
・・・と思ったが、すぐ下がった。
なんでかって? 気づいたからだよ。
「これお願いします。」
「はい。少々お待ちください。
・・・確認しました。
報酬はこちらの金額になります。」
これが冒険者ギルドだった。
まるで役所か銀行だ。
チンピラみたいな冒険者とか、荒くれみたいな連中とか、粗野な言葉遣いとか、そんなのなかった。
まあ、服装だけはアレだけど・・・これじゃあサラリーマンじゃん。何この慣れ親しんだ空気感。なつかしさすら覚えるね。
「これ、お願いします。」
壁一面の掲示板から依頼書をはがして受付カウンターで受注する。よくあるシステムだ。
俺が選んだのは、大工の手伝いだ。
どこぞの邸宅を補修するらしい。その手伝いで、建材とかの重量物を運搬する労働力として派遣される事になる。
「なんじゃこりゃあ!?」
現場の邸宅に到着して、思わず声が出た。
いや、もう、邸宅っつーか、跡地じゃん。
なにが補修だよ。こっから補修するなら新築と同じじゃねーか。
いや、一応、土台だけ残ってるし、建築の分類としてはリフォーム的な扱いなのか? でも、せめて補修じゃなくて修築と言ってほしい。あんま違わんかもしらんけど。
「こりゃまた、派手にやられたなぁ。」
材木たりねーぞ、と親方がつぶやく。
「え? 派手にやられたって、これ、何かにやられたんですか?」
「心臓の絵が描いてある謎の本だ。
噂じゃ悪魔が封印されてる本らしい。
でも、ここの家主は、悪魔が封印されてるとは思ってないらしくてな。歴史的資料だとか解読するとかい言って、何回かこうなったんだ。今回で13回目ぐらいかな。」