第19話 バイト 無茶 上司
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楽しんでくれると嬉しいです。
今回もガチ説教です。
「バイトをやめたいです。」
今回の依頼は、退職代行だ。
依頼人は、新しくバイトを始めたが、覚える事が多くてつらいという。
「まだ5回目なのに、もう1人でレジをやらないといけないんです。
なんなら3回目くらいから1人でやってました。
これって普通ですか?」
依頼人は「ありえねーだろ!? な!?」という凄いテンションだ。
普通はバイトの新人は横でベテランの人がついてやるものだ。いきなり1人でやらないといけないのは、どうなんだ。一応、最初の1回はついていたが、2回目からはずっと1人でやっている。前に働いていたところでは、もっとちゃんと教えてくれていたのに、びっくりだ!
と、依頼人はまくし立てた。
「右も左も分からない新人を野放しにする!? お金扱うのにおかしいでしょ!? そんなんだから新しく入った人もすぐやめるんだよ!」
あと、レジからお小遣いもってっちゃう奴も居るし、と依頼人。
「ん~……。」
今回の依頼は退職代行のはずだが、愚痴を聞くのも依頼内容に含まれるのか?
ちょっとイラッとするから、説教してやろう。
「できない事をやらされる、という事に抵抗を感じるわけですね?
でもそれって、やらせる側から見ると、普通なんですよ。」
会社組織の上司が、部下を働かせる上で重要な事は、その部下がやった事がない事をやらせるという事だ。
組織を運営するには、どうしてもこれが必要になる。これをやらないと、いつまでも人材が育たないからだ。
「だから、他のバイトの人も、社員の人も、今やっている仕事は『まだちゃんとできない仕事』だったり、だいぶ慣れてきたとしても『やり始めたばっかり』だったりします。
その事を、あなたの心の中だけで、こっそり認識しておいてください。」
人手不足でどうしようもない場合を除けば、もうちゃんとできるようになった人は、1つ昇進する。そして、昇進した後の仕事は、まだやった事がない仕事、ちゃんとできない仕事だ。
会社というのは、そういう所だ。
「だから『まだちゃんとできないんですけど!?』と思っているのは、あなた以外の全員も同じです。」
どのぐらい丁寧に教えるかは、その部署の責任者が決めることだ。
ただ、「このぐらいで大丈夫だろう」という判断である場合と、人員不足とかで「ここまでしか、やってあげられない」という都合がある場合がある。一概に「普通はこのぐらい教えるもの」とは言えないのだ。
「でも、あなたは、とりあえず『やれ』と言われた事はなんとかできているわけですよ。上司が求めるレベルの仕事はできているという事です。
そういうレベルで、そういう仕事をやらせるわけですから、上司だってあなたの事を『そういうものだ』と思っています。だから大丈夫です。」
前世で、ファーストフード店のバイトをやっていた人と話した事がある。
その人は、
「新人だったのに、1人で店を任された。ありえねえ。」
と言っていた。
ファーストフード店を1人で回すということは、レジもやるし、商品も作るし、サイドメニューやドリンクも作って、テーブルを拭いたりトイレや床を掃除したりもする、という事だ。
それと比べれば、レジだけで済んでいるなんて「よかったね」だ。そして逆に言えば、この依頼人にも1人で店を回せるかもしれないという事だ。
やれば、もっとできる。やれば、きっとできる。そう、あなたにも。
このあと「じゃあ退職代行やってきますね」と続けた主人公に対して、依頼人がどうしたか?
「お願いします」とバイトを辞めたのか、「自信が付いた! もうちょっとやってみる!」と依頼を撤回したのか?
どっちだと思います?




