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k  作者: か
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招待

書く練習

 風に舞う火薬の匂い 空を切る弾の音


 自分がこんな世界に立つとは思ってもいなかった。


 そう、今俺がいる場所、それは……戦場



灯照(ひでる) (かず)は普通の生活を送る至って普通の一人暮らしの高校2年生だった。


「面白くねぇ。」


和は、その普通の生活に飽きていた。

いつものように授業を受け

いつものようにバイトに行き

いつものように家でカップラーメンを食べる。


何か起こらないかと期待しても、起こる訳もなく1日が過ぎていく。


「誰かが俺を拐って、いつのまにか全然違う世界にでも連れてってくれれば面白いのにな。

ははは。」


「そんなこと言ってたらホントに起こるからな、はは。」


和は学校の窓から外を見ながら、友達とそんなことを話していたこともあった。

完全なフラグだった。自分がそうなることを知る由もなかった。


和の世界が急変したのは、彼がその日の夕食のカップラーメンを買い、帰っている時だ。

烏の様に暗い夜道の中、多少の恐怖を紛らわせるために、歌を歌っていた。


「せまいでぐちに、こ~と~ばたち~が~ ふんふんふふふんふ~ん……」


和は歌に夢中だった。

そのせいで、後ろから不審な車が近づいてきているのに、気がつかなかった。

車は和の横に停めると、たちまち……




気がつくと小さな部屋の中に居た。

麻酔でも打たれたのか頭がクラクラする。


「嘘だろ…………マジで俺、誘拐されたのかよ……」


和は可能な限り状況を整理しようとしていた。


俺はいつのものように、ラーメンを買って帰っていたんだ。

そしたら急に二人くらいの男達が俺を抱え込んで……

「っくそ……」


そこからが思い出せなかった。

自分が座っているソファの前には鉄製の扉がある。近づこうと思い、立ち上がろうとした瞬間だった。


「Hey」


「 ! ! ? 」


突然かけられた声に驚きのあまり喉に声がつっかえた。そして自分が転んでいたソファから転げ落ち、声のした方を向いた。


「Hey, do not be surprised so much (おい、そんなに驚くなよ)」


重みのある低音の声が話しかけてきた。

そこに居たのは175の和の身長より遥かにデカイ黒人の男だった。部屋の隅の小さなイスに腰かけていた。



「び、ビックリした……誰だよ……あんた。」


返事は無い。


和はこの男が自分を拐った犯人だと考えた。


「ふ、フーアーユー? 」


恐怖しながらも、和が英語で、「お前は誰だ」そう尋ねると、男は静かに立ち上がり丸太の様に太い脚を動かし近づいてくる。


もう俺死ぬのか。どうせなら最後に大嫌いな教頭の顔面を思いきり殴ってから死にたかった。


「俺の名前はマイクだ。よろしく。」



……え?



「…………英語喋れるのかよ!! 」


思わず口に出てしまった。

すると、マイクと名乗る男は床に寝転び腹を抱えて笑いだした。

子供のような無邪気な笑い声が部屋に響いた。


ひとしきり笑ったマイクは正式に自己紹介を始めた。


「ああ、すまなかった。改めて、俺はマイク。マイク トンプソンだ。すまなかったな。人を驚かせることは、俺のなによりの生き甲斐なんだ。ま、今から生死を共にする事になるんだから許してくれ。」


はた迷惑な趣味だ。

和はそう思いながら自分も自己紹介を始めた。


「かず、灯照 和だ。」


「Oh カズか。カズ~カズ~」


和はゴリラのような体で、ウサギのように、はしゃぐマイクを見て、こいつは犯人じゃない、そう考えた。

ふと、マイクが言った言葉が頭をよぎり、問いかけた。


「生死を…共にする……? どういうことなんだ? 」


「ん? なんだ、Inviter(招待者)だったか。」


よく分からないことを口にするマイク。


「どういうことなんだ!? 生死を共にするって……。」


「まあまあ、落ち着け、俺たちは……」


マイクがなにかを言いかけた瞬間、部屋の扉が開き、外から武装した男が二人現れた。


「ついてこい。」


そう言って、武装した男達は和と、マイクを部屋の外に連れ出した。


あまりの急展開に和の脳はついていかなかったが、すぐに考察を始めた。

こいつらが俺を拐った奴らか。


長い廊下を歩いている途中で再びマイクに問いかけた。


「なあ、一体どういうことなんだ。説明してくれよ。」


「ん~……まあ、もうすぐ分かるかな。」


マイクはそう言って話を濁した。

モヤモヤが頭のなかで渦巻いている。


ここはどこなのか? こいつらは誰なのか? 目的は何なのか? 和には、考えることが多すぎた。


「到着だ。」


武装した男の一人が言った。目の前にはさっきの部屋の扉より、頑丈そうな扉が現れた。

男がその扉をゆっくり押し開けると広いホールが広がっていた。

そこにはたくさんの色んな人間が居た。男、女、中年のおじさんに、自分とそう歳の変わらないような青年。


ここはどこなんだ?マイクにそうに訪ねようとした時だった。


「レーーディーーーーーーーース! エーーーーーーーーン! ジェントルメーーーーーーーーン! ! 」


ホール中に設置されていたスピーカーから大音量で声が発せられた。

するとホールのステージがライトアップされ、男が現れた。

白スーツにピエロのようなメイクをしていて、バットマンのジョーカーを想像した。


「本日は~~? この一攫千金のデスゲームにお集まりいただき~~まことにあーりがとーーーございまーーーーーーす! 」


独特なクセのあるしゃべり方だ。

そのクセのあるしゃべり方のせいで上手く聞き取れなかったが、男が信じられないような言葉を発した気がした。


「金の亡者の~~? 皆様には~~これから、とある島で命を賭けた殺し愛♥をしていただきまっっすうううううう。」

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