序章のような何か
この世界には魔法という物と特異能力という物が存在する
魔法とは己の魔力と世界に漂う魔素を合わせイメージにより現象として創り出す物だ
魔力は生まれたときに個人差があり成長や努力または特異能力によってより大きい魔力を持つことが出来るようになる
特異能力とは生まれながらにして一部の者がもって生まれ
負の感情により特殊な力を得ることが出来る物が多く能力に目覚めた者が人ならざる者に変異するため世間では忌み子として迫害される対象であった
魔王および魔王率いる配下は全員この特異能力により人ならざる者に変異した忌み子であった
どこかの村にて名も無き少年が死の淵に立たされていた
足は折られて立てず腕も縛られていた
そんな少年の前には柄の悪そうな男が2人立っていた
「おい糞ガキ俺は言ったよな?今日中に金を持って来いと」
「お前のような忌み子に話しかけてやるやさしい俺らの言うことが聞けないなら世の中のためにも殺しちまったほうがいいよなぁ」
訂正しよう柄の悪い男が2人いた
男達はそう言い先ほど少年から奪い取った金袋を懐にしまった
「それがいいな弟よ忌み子は教会すら嫌悪している存在だ俺達は世界の為にこいつを殺すとしよう」
そんなやり取りを聞いて少年は怒りと憎しみをどこにもぶつけることが出来ずに二人を睨むしか出来なかった
痛みはとうに麻痺している折られた足は動くことも出来ずに少年は魔力も微々たる量しか持っていなかった
そんな少年に歯向かう力は無くそれでも状況は悪いほうに流れていく
「おいおいこいつ睨んでやがるぜ兄よ」
「こいつを匿っていた爺の躾がなっていなかったんだろうよ弟よ」
「!?」
「おいおい爺の話になってこいつ動揺してやるぜ」
「爺思いの子供だことだあの世で爺もさぞかし喜んでるだろうよ」
「……どういう……ことだ?」
気力を振り絞り少年は男達に言葉の意味を尋ねる
少年は忌み子と言われた時に親に棄てられ空腹で餓死しかけていた所を偶然通りかかったおじいさんに助けられ育てられていた
おじいさんは忌み子だった少年に忌み子でも明るく元気な子に育ってほしいという思いでライトと名前を付け非常に可愛がってくれた少年の心の拠り所であった
そんなおじいさんの名前が出てライトが動揺しないはずも無い
しかし現実は無常にも残酷だ男達はへらへら笑いながら答える
「どういうことも何も忌み子を匿ってる時点で重罪死罪は免れないだろうよ」
「そういうことだ俺らは忌み子を匿ってる罪人を殺しさらに忌み子をも殺したことによって報酬金がでるんだよ」
「そうそうこんなゴミみたいな生活ともおさらばだぜ」
そう言い男達は隣の部屋開けてライトに中を見せた
そしてそこでライトが見たものは胸を刺されて息絶えてるライトを可愛がってくれていたおじいさんだった
「っ!!」
声にならない悲鳴をあげ取り返しが付かないものが壊れていく感覚を感じつつライトは憎しみを抱いて意識を手放した
「おいおい汚ねぇな、色々垂れ流して失神してるぜこいつ」
「ははは、弟よそういってやるなこいつは元から汚かったんだからな」
と男たちは笑って少年を見下していたそしてそろそろ殺すかというときに「それ」は起きた
《一定値の絶望と憎しみを確認しました特異能力破滅の申し子が発動します》
少年の中でそんな声のようなものが聞こえた気がした
しかし少年はまだ気が付かないその特異能力に目覚めたことを
男達から見て変化は劇的だった
殺そうと思った少年の体から黒い何かが発生したのだった
「!兄よこれは一体何なんだ」
黒い何かを見た弟は異変を感じ後ろに飛びのいた
だが兄は一瞬判断が遅れてしまった
黒い何かに触れた兄はそのまま倒れ死んでいた
「一体何がどうなったんだ」
弟は今何が起きているのかを理解しようとしていたそして気づいた少年の体が変質していくのを
「まさかこのガキの特異能力か!?」
そう気づくが気付いたときにはもう遅い黒い霧状のものは一瞬にして肥大化し村全体を包んだのだった
後にこの村はこう呼ばれることになる「災厄の始まりの村」と