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化け猫物語  作者: takayuki
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策略

【第三幕二節】策略


 「どうして上様は、一か月もこちらへお渡りにならぬのじゃ!あの女のせいじゃ」


 側室の伝は、徳松がいるのに、ここへ来ない綱吉と湧いて出たかのようなお藤に、いらだちを隠せずにいた。


 「のう?何かあの女にできる嫌がらせはないかのー?」

と、侍女に問い詰める。


 「・・・そうですね。今度のお花見は桂昌院さま他、大勢の方々がご出席されます。その時にどうでしょう。お綺麗なあの方のお洋服を汚して恥をかかせては?」

 それを聞いた伝は、その時のお藤の様子を想像しながら下を向きニヤリとわらった。


 「うん。それにしよう」



 春の桜が満開になったころ、お花見は開催された。とても清々しい陽日が気持ちよく、将軍綱吉のお気に入りのため正室ら近くで、花見をするお藤も久々の外の景色に心がなごむ。将軍のまわりには、主だったひとが立ち並び、あの側近の柳沢吉保やなぎさわよしやすも将軍の近くではべっていた。次々に出される出しものと食事に、みな大そう楽しんで過ごしていた。そんな中側室の伝が


 「将軍様?お藤殿にも、おしゃくをいただいてはどうですか?」

と、将軍をきづかったかのように話を振った。


 「おぉ。そうだのー。お藤ここへ来てわしにお酌してはくれまいか?」


 お藤はスーと綱吉の近くへとより、品をだだよわせながらお酌をくりかえした。すると大奥の女性が琴や太鼓をもって集まり、演奏がはじまった。その音と華々しさとで、みな大いに盛り上がった。

 そして、伝の侍女が継ぎ足しのお酒を持ってきたとき足元を引っかけたようで、体制がくずれてそのお酒がお藤にかかってしまった。伝が笑うとまわりの人もくすくすとわらいはじめた。すると桂昌院が笑いをさえぎるように


 「ええい。何をしておるのじゃ。はやくお藤殿のお召し替えをするのじゃ」

と、その場を収めようとした時であった。


 急に、綱吉が苦しみだし、首をかきむしるかのように悶え始めた。


 柳沢が叫ぶ。


 「!・・・・・・毒じゃ。毒じゃ。医者を呼べ。みな離れよ!」


 すると、侍女がお藤の足元に白い紙で包んだ粉が落ちているのに気付いた。


「これは何ですか?お藤殿!」


 みなその言葉にお藤へと視線が集まり、兵士たちが駆け寄り状況を把握はあくしようとそれぞれ、動かぬようにと指示を出した。すると、綱吉のとなりで食事をしていた伝の息子の徳松も苦しみはじめたのだ。驚いた伝は、徳松を抱きかかえ口から吐き出させようとしたり、ゆすったりしたが、幼きこどもには強すぎた毒なのかすぐに、徳松は動かなくなってしまった。その様子をみた伝は発狂して、まわりを見渡し、お藤の姿をさがしだし


 「おぬしやりおったな!とんでもないことをしでかしたな!!」

と大声をだしながら襲いかかるのを兵にさえぎられ、とめられた。



 お藤は捕えられ、お藤の部屋も捜索された。

 その部屋からは、同じ毒が発見された。


[第三幕二節]完


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