期待したから
「君はどうして笑えるの?
こんなふざけた世界に、
幸せも何もないじゃないか。
嬉しいこと、
楽しいことは、
ほんのちょっぴりで。
悲しいこと、
寂しいこと、
辛いことばっかりじゃないか。
無理して笑ってるの?」
『無理なんかしてないさ。』
「じゃあ、どうして笑うのさ。
何が楽しいの?
何が嬉しいの?
君の口から溢れる笑い声は、
どうしてそんなに優しいの?」
『それは、もう全部諦めたからさ。』
「諦めた?
諦めたら笑えるようになるのかい?
君はなんだか、楽しそうだけれど。」
『いいや、どうでもよくなったんだ。
誰かが泣いても笑っても、
ボクには関係ないんだよ。
ボクがいなくなったって、
ボクはもうどうでもいいんだ。
もう疲れたから、
全部投げ出してやったんだ。』
「僕もそうしたら、
君みたいに笑えるようになるのかな。」
『なれるさ、
期待しなければいいだけだ。
でも優しい君には、
少し難しいだろうね。
すべて失ってから、
君は涙を流すのさ。』
「僕は、期待しているつもりなんか、
ないんだけれど。」
『いいや、
期待しているさ。
少なくとも、
君はボクの返答を期待しているから、
そうやってボクに質問をしているんだろう?』
「それを期待だとか、
少し言いすぎじゃないのかい?」
『言いすぎなんかじゃないさ。
ボクが答えなかったら、
君は落ち込むだろう?
返事をしてくれよと、
一度は言うだろう?
それは知らぬ間に、
ボクの返事を期待していたからなのさ。
君がどうかは知らないけれど、
ボクはそういう考えだ。』
僕は何も言わなかった
君に何も返さなかった
僕が何も言わなかったのを
君は気にも留めずに
何処かへ行ってしまって
すぐに後ろ姿すら見えなくなった
もう少し話したかったのに。
そう思ったのもきっと
知らず知らずのうちに
会話をしてくれる君を求めて
期待していたからなのかもしれない
ご覧いただきありがとうございました。
期待しないのは、難しいこと。
誰かに届きますように。




