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男子高校生が若い女性に連れていかれた話

作者: 凜古風

学生時代にはなかった……中年男性の冬休みの恐怖


(1)帰省の交通費

(2)甥とか姪へのお年玉費用

(3)正月のメシ料金

(4)12月1月の電気代  etc


もうやめて!とっくにパパのサイフはゼロよ!

オッサン作者は現実の恐怖に打ち勝つために学生を恐怖に陥れる作品を執筆するのだった。

 富岡誠志もとい僕は、冬休みを終えて学校に到着した。

「あけおめ~」

「ことよろ~。って古っ」

 親世代の略語に毒づきつつ、年末年始の暖房がなく冷え切った椅子に座る。

 教室の暖房は、動き始めたところだった。


 仲の良い友達は別クラスだし、1時限目の開始まで時間もあるし、音楽でも聴いていようと、イヤホンを両耳に差し込み、年末話題になったバヌアツ出身のアーティストの楽曲を聞いて時間を潰し始めると、自分の席近くの女子達がやってきた。


「え?マジ?クリスマスにロストヴァージン?で、冬休みずっと、イチャイチャ?」

「そうなのよ。怖いくらいにハマっちゃってさ。冬だとお互いの体温が心地いいし」


 刺激的な話が飛び交っているが、僕を少し気にしてか声のトーンが小さくなった。

 音楽を聴いている場合ではない、こんな時のための補聴器アプリを起動させてて、聞き耳を立ててみた。もちろん、音楽を聴きながらグテっと伏してるモブ男子スタイルはキープしている。



「えとね……クリスマスイブの夜に初めてしたんだけどね……その後、一週間は生理で、できなかったの」

「それで、おあずけ喰らってたんだ」

「だから、お正月までに、二人で宿題全部すませてさ」

「準備よく?」

「うん。両親と弟は、正月に、お爺ちゃん達の家に行くけど……私は、友達と約束があるからって、行かなかったのね。それでね、家で彼と二人きりでくっついてたんだ」

「……裸で?ベッドの中で?」

「う……うん。ほら、生理前と後って、安全日だし」

「うっわ、計画的な上、最高のタイミング。って避妊しなさいよ」

「ホラちょっとだけ、生で……水くらいに透明になってから……」

「透明?何が?」

「男の子が出すアレだよ。最初らへんは白くて濃くて妊娠しちゃうけど、4回目超えたくらいから透明になってくるし確率下がるんじゃないかなぁ」

「透明になるんだ……4回超えって、どんな」

「彼も3発くらいまでガツガツしてくるんだけど、その後、彼が賢者モードになってからが楽しいのよ。全身にキスしあったりして、こたつとかでイチャイチャしてたら、1時間くらいで復活するし」

「え……と?時間とかは?」

「朝8時くらいに、車で両親と弟が出かけるでしょ?で、そっから彼が来て、一緒にお風呂入って、9時前から、ずーっとかな?」

「終わりの時間とかは」

「夜の10時前に、親が車で出発して、彼が帰り支度はじめたの……私もシーツとか洗わなきゃだし。ドラム式全自動で洗濯&乾燥して証拠隠滅」

「12時間以上、ぶっ通し!?」

「うん、ジュースとかは飲んでたけれど、一緒にお餅とか食べる時間は……なかったよ」

「合計何発くらい?」

「うーん?」

「両手の指じゃ、たらんのかいっ」

「ごめん、わかんない。でも初詣デートとか、どうでもよくなっちゃたし」

「はぁ……1月2日、1月3日に初詣のカップルが多い理由、わかっちゃったよ」



 ……ものすごい、生々しい話を聞いてしまった。

 やばい、ちょっとだけ、股間が元気に……ふぅ、おさまった。

とか、なんとか精神集中していると。


「ちょっと?工場長アンタ?聞きたいことあるんだけど?」

精神集中を遮る隣から声。

「ん?どうしたの?」

内容は聞いていたが、スマホのアプリを全て止めて、イヤホンを外す。

「男の子って、自家発電とか、何発出せるの?」


まさかの直撃弾、それ聞くか?

ああ、エロトークが過熱して、リミッターが外れてやがる。


「……一日だと3発くらいが上限じゃないの。だいたい1日1発、自家発電だけど」

「そうなんだ。1日で10発以上とか、ありえる?」

「本番だから、限界突破したんじゃないかなぁ?魂の咆哮かも」

「工場長でも3発が上限なのに、まさしく『愛』の力ね」

「いや、別に……でも僕と、その友人関係の平均値くらいだから、どうだか」

「人によるってトコもあるんだね。教えてくれてありがとう」


 そうして、僕の話を向こう側でしている。

工場長ゼツリンのアノコでも、3発くらいが限界って言ってたよ。限界突破の『愛』だよね」

って、そのまんまかよ。


 そして、『工場長』のアダ名が定着していて悲しい。本名が、富岡誠志とみおかせいしなんだけど、この学校から東南東微南にある世界遺産の富岡製糸場だか何だかに基づいて、富岡精子工場とか叫びながら男子クラスメイトに金玉を掴まれてた時期があって……定着したアダ名が精子工場の持ち主ゆえに『工場長』という流れだったりする。

 しかも、なんでか、精子工場の生産力が高く設定されていて『たまってる男』扱いだからタチが悪い。まぁ、他の健全な男子生徒と同様に抜いてるんだけどさ。

 嫌なことを考えてしまい、すこし精神が疲れたので、今度は本当にグデッと机に伏していると、隣で騒いでいた女子グループは、さらに話題をヒートアップさせて移動していった。


 周囲に誰もいなくなったので、再び僕はスマートホンを取り出す。

「……このパッチ作った人達、天才だよなぁ」

 スマートホンの美少女ゲームに対応するパッチアプリを起動すると、そのゲームの美少女の全ての服が消えて、しかもモザイクまで無いのだ。パッチを作成したのは、リンコフ研究所とか何とかで色々クレイジーなことをしでかしてくれる頭が病んでる会社らしい。

「この動きの遅い機種とも、今日でお別れか」

 クリスマスプレゼントを現金でもらい、お年玉を合わせて、高性能スマートホンを購入する予定日が今日の午後だった。

「ふふふ、今夜、この娘が全裸でヌルヌル動く」

 リアル女子高生のクリスマス性夜トークに混じることもできずに、スマートホンの小さい画面のバーチャル美少女にうつつを抜かしている自分自身を、若干嫌悪しながらも、午前中に学校が終わった後、手に入れる新機種が楽しみだった。


 3学期の始業式やレクリエーションも終わり、学校を出た僕はスマートホンの機種変更にショップへ急ぐ。


 ショップに入ると、

「御予約の富岡様ですね。すぐに準備できますので、もう少しお待ちください」

 並んでいる新機種やマスコットのぬいぐるみを少し見たところで、若くて綺麗なお姉さんのいるカウンターへ向かって座ったのだった。

 そして、保護者からの委任状関係の書類を手渡して話を進め、データ移行などをしてもらう。


「……現在お使いの機種は、五千円の下取りになりますけど、どうします?」

「うーん、メールもSNSもゲーム関連もデータ移行して元通りだし、いらないかなぁ。じゃぁ、下取りでお願いします」

 中古販売なら美品で七千円くらいだろうけど、小傷とかが多いから無理なんだろうしなぁ。と、そんなことを考えながら、僕はスマートフォンの下取りをお願いした。


「それでは、こちらの機種は引き取りますね」

「はい」

「新しい機種は、AIがバリバリ動くので、そりゃもう、すんごいですよ」

「そ、そうなんですか」

「高校生なら、特に、勉強のアシストしてくれて、良いと思います。問題をカメラで撮影したらAIが回答してくれるし、やばいサイトとかも、全部AIが回避してくれて安心で安全ですよ」

「へぇー、楽しみです」

 ゲームの処理速度だけしか考えていなかったけれども、他も色々と期待してしまう。


「それでは、充実したスマホライフをお過ごしください」

「ありがとうございました」


 そうして、僕はスマホショップを出て、やっちゃいけないのはわかっていても、歩きスマホを少ししつつ、無料wifi電波のあるショッピングモールのベンチに座って、スマートホンを触るのだった。


「さぁ、例のアプリで、全裸のあのがヌルヌル動くのを見てみよう」

 期待に胸やら股間やらを膨らませて、美少女ゲームとパッチアプリを起動する。


  ……動かない。何故だ

  トライ・アゲイン!

  ……動かない……


 画面にポップアップが出てきた。

『R18の画像を検出しましたので、AIがアプリを停止しました』


 なん……だと……マテ


 僕は、アプリだけでなく、お気に入りのエロ画像サイトやエロ動画サイトにアクセスを試みる。


 また、画面にポップアップが出てきた。

『R18の画像や動画を検出しましたので、AIがサイトへのアクセスを停止しました』


 なん……だと……OMG

 くっ、こうなったら。

 

 僕は、例のアプリの動画をスクリーンキャプチャしたデータの再生をした。

『R18の動画を検出しましたので、AIが削除しました』


 嗚呼、なんという。

 必死で貯めたお金で買ったというのに、

 嗚呼、なんという。


 絶望という2文字は、こんな時に使うのだろう。

 AIが世界を支配して、人類を駆逐する日は近いのだろう。嗚呼。

 この世界に、夢も希望もありゃしない。

 ホラーの恐怖なんて通り越して、目の前が真っ暗になった。


 女性総理がさ……

「働いて、働いて、働いて、働いて、働いて、まいります」

とか言っていたけれども……

「うなだれて、うなだれて、うなだれて、うなだれて、しまいます」


 僕は、泣いていたのだろうか、怒っていたのだろうか、まるでゾンビのように生気を無くして、とぼりとぼりと歩いて、ショッピングモールを出ていくと。


「あらあら?さっきの学生さん?どうしたの?死にそうな顔して」

「……ショップの、お姉さん」


 お姉さんのそれは、営業スマイルだったのか、地の笑いだったのか。

  ニコニコ……にやにや……


「ぷ~っクスクス♪ひょっとして、AIの大活躍に恐怖してるの♪」

「洒落にならないですよ、生き甲斐が全滅……AIこわい」

「マジうける、ひぃいいいい、お腹いたい」

「ちょっ、わかっていたんですかっ、恐怖のエロ駆逐システム」

「いや、察してた程度だけどね。データ転送で、あんなのやらこんなのあったけど、プライバシーの問題もあるし、私が言うのも……ねぇ?」


 ケタケタ、げらげら、笑い転げてやがる。


「そんな、大人ってヒドイ。これから僕はどうすれば……」

「あーはいはい。じゃぁ、今から私が色々教えてア・ゲ・ル♪」


「……え?……」


「明日から、もうスマホ画面の美少女になんて、戻ることできないわよ」

「……そ、そんな、いいんですか」


「いいわよ。ただし、今から私のことを『女王様』って呼ばないとね」

「わ、わかりました。女王様」

「若いんだもの、10発以上は余裕よね……」


 その夜、少年の新しい扉が開いた。


(おしまい)

もうやめて!とっくに○○○の×××はゼロよ!

 私達の世代って、エロ本、エロビデオ、エロゲーの三種の神器は、別々の媒体でした。時は令和で、これら全てが、スマートホンに集約されていますもんね。

 思春期少年がスマホから全てのエロを奪われる新感覚ホラーを味わっていただけましたでしょうか?

 ちょっと、前半が無駄に長かったかなぁ。まぁいっか。


(1)噂話やクラスメイトのトークの前フリ

(2)想定外のやんごとない状況に陥る恐怖

(3)なんやら、かんやらで気が付けば解決


ホラー作品の王道方程式に基づいて執筆したもん♪

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― 新着の感想 ―
そういえば視点人物の富岡君は高校生でしたね。 スマホのユーザー登録には年齢も入力するでしょうから、そこでAIがR18関連を弾いてしまったのですね。 これはなかなか難しい所です。 しかしそれがキッカケで…
此のお話しはホラーなんでしょうか? 読み終えたとき、怖いってなるより羨ましになったんですけど。
ほ…。、ホラー?Σ(゜Д゜) どっちかっていうと……青春小説(^.^;
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