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第四章:王妃候補
それから三ヶ月。
私は王宮の改革に尽力していた。
教育制度の見直し、平民の登用、そして、魔法使いの権利保護。
「リリエット様、王太子殿下がお呼びです」
私を呼びに来た侍女に付いて行くと、王太子の書斎へ案内される。
中に入ると、彼は、一枚の書類を手にしていた。
「リリエット。王妃候補の選定が始まる。父王が、君を第一候補に挙げている」
「……私を? でも、私は悪役令嬢と呼ばれていた」
「それだからこそだ。君は、運命に抗った。悪役と決めつけられても、正義を選んだ。そして、真実を暴いた」
彼は立ち上がり、私の前に立つ。
「君は、私が求めていた王妃かもしれない」
私は胸が高鳴った。
だが、すぐに冷静になる。
「……でも、私はまだ、あなたの心を信じられません」
「なら、信じさせてみせる」
彼は、私の手を取って甲にキスをした。
「君の逆襲が甘くないなら──私の愛も、甘くはない」