第39話:ボスラッシュは地獄の始まり
───翌日の昼過ぎ
あれからは特になんともなく、今はなぜか順調に18階層をクリアして19階層にいる。6~9、11~14、16~19階層は同じ順番の属性で、相手をするのが楽で助かった。
それで15階層なんだが………あれはもはや楽しかったな。15階層目のボスはこれもエクストラボスで、死霊大王だった。
死霊大王は生物の魂を奪い、自分の魂に取り込んで寿命を伸ばし、その伸ばした寿命の中でまた新しい魂を取り込む、というのを繰り返す、倒さなければ不老不死の存在だ。
死霊大王は魂を奪うし、奪われたら俺らもただではすまなかったのだが、死霊大王には致命的な弱点があった。それは“気配察知が鈍感すぎる”ということだ。
普通であればそんな死霊大王でも魔術を発動しようとすれば居場所がバレるのだが、俺らの隠密の質が高く気づかないまま、膨張で爆発していった。そのさまを思い出すだけで油断してはいけないのに少し頬が緩んでしまう。
「よし、こいつで最後だな!」
死霊大王のことを思い出していた間に俺らは順調に魔物を討伐し、19階層をクリアしていた。
「今日は20階層まで行ってみるか。」
「わかった。」
───数時間後
「これでボス討伐、か。」
1つ言おう、俺は勘違いをしていた。ここまでずっとエクストラボスしかいなかったから、今回もそうだろうと思い込んでいたら、全然普通のボス階層でなんのアクシデントもなしに終わった。
「………あっさりしたボスだったな。」
「………うん。」
今のボスの名前は知らないが、確実に言えることはフュシラの方が強い。
「ま、思ったよりも進めれたし、あと2日で頑張って終わらせるぞ〜!」
そう意気込んだ俺は、まだ“地獄”を知らなかった………。
───翌日
今日も25階層から進めていたんだが、今回も同じ属性の順番で、変わらず24階層まで進めることができた。
「ここからは6階層連続でボス戦………辛かったら言えよ。」
「わかった。」
そうして進んだ先のボスは………
「スライム!?」
またしてもあのトラウマを植え付けたスライムだった。
───3時間後
「やっと終わった………次は………。」
その先に待ち構えていた者は……スライムだった。
───2時間後
「次こそは………!!」
スライムだった。
───2時間後
「も、もう助けてくれ………。」
スライム
───1時間後
「………。」
スライム
───2時間後
「さ、最後こそは………!!」
スライム
───1時間後
ろ、6連続スライムは………どうなってんだよ………。
ミラは力尽きて寝ちゃったし………てかもう夕方じゃねえか。魔道具であるダンジョンでもちゃんと機能する時計を眺めて気がついた。
「お、俺も寝るか………。」
そうして俺は、人生の中で最大の“地獄”の1日を過ごしたのだった………。
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