第32話:里の森で見つけたものとは
この村で生活に慣れてきた頃、もう既に休みは残り1週間ほどにまで迫っていた。
この村も懐かしさは感じるが、俺は12歳で独り立ちしたからあまり村自体の記憶は曖昧なところが多く、感傷に浸るほど覚えていない。
それでもここは俺にとって大切な場所で、帰る場所と言えるところの一つだ。これまでは忙しくてなかなか帰ってくることが出来なかったが、これからはなるべく帰って来れるようにしようと俺は決意した。
「今日は何をしようか………。」
お母さんとミラはどこかに出かけてしまっているし、フェンは里の子供たちと遊び、精霊達は街の手伝いをしていて、誰も彼も忙しそうだ。
「少し森の方に出かけてみるか。」
エルフの里には森があり、そこでは豊富な山菜や魚などが取れる。俺も里で暮らしている身だし、散策がてら食べ物も取れたら取ってこよう。
そんなスローライフらしいことをするため、俺は今日1日、森に出かけることにした。
───森の中に入って
森の中に入ってみたが、やはりそこら中に山菜が沢山生えている。どれも質がいいし、空気がおいしい。よく植物や動物が育つためには、このような環境が必要なんだろうなと思う。
「というか、川はどこら辺にあるんだ?」
スローライフといえばまずは釣りだと思い、先程から川を探しているんだが、なかなか見つけることが出来ない。
「ここの近くにはないのかな………。」
この近くには無いのかもしれない。それじゃあさっきと反対方向に進んでみよう………って、これは……?
反対方向に進んでみようと思い、茂みをかき分けて進んでいくと開けた場所に出た。そこにあったものは………
「ダンジョン?」
そこにあったものは、石で造られたであろう入口があり、これもまた石で造られた階段が下に続いていた。王国にいた頃に何度かダンジョンブレイクの処置にあたったことがあるため、見間違いではないだろう。
「こんなところにダンジョンがあるなんてな………。」
ダンジョンが近くにある所に冒険者ギルドを建てるほどダンジョンは資源が豊富だ。これがもし誰にも見つかっていないものだとしたら、大発見………と言ってもエルフの里は結界が貼ってあるから外部のものは攻略ができないが、エルフの里を繁栄させることが出来るだろう。
「これは………街の人に聞いてみた方がいいかな。」
このダンジョンはみんなが知っているものなのか、もし知らなかったらこれからどうしていくか決めるため、俺は1度里に帰ることにした。
「もしかしたら………大発見かもしれないな。」
この作品が良いなと思ったら、下の評価やブックマークをしてくれると力になります。これからもどうぞよろしくお願いします!