第3話:かつての弟子との再会
「おぉ………すげぇ……。」
城門をくぐり帝国の中へと足を踏み入れた俺は、その活気溢れる街並みに圧倒されていた。
「………すみません、少しいいですか?」
「あぁ、はい。どうしました?」
黒のローブを身につけているということは帝国の中でかなり位の高い人間のはずだ。そんな人が一体なんの用だ?やけにジロジロ見てきているし。
「やっぱりシファ先生ですよね!」
「なんで俺のことを知って………」
どこかで見たような…?
「覚えていませんね………?私ですよ。サラです。」
「あぁ!サラか!」
「先生覚えていませんでしたね。悲しいです。」
「いや俺が教えてた時から時間も経ってすっかり大人っぽくなってたから一瞬おれにこんな美人な知り合い居たかって思っちゃったよ。」
「んなっ……//」
相変わらず先生はなんの躊躇いもなくそんなことを言うんですね。
いやぁ、それにしてもサラがねぇ。綺麗な白髪に整った顔立ち。こんなに大人っぽいのにまだ20前半とかだもんなぁ。
「そういえばサラはその黒いローブを着てるけど仕事は何をやってるんだ?」
「あぁ、今は国立の魔導学院の学院長をしているんですよ。ですからこのローブを私が持っているわけです。」
「おぉ、学院長か!」
帝国では王国とは違って教師や学院長は強さ順に位が高くなっていくらしい。
「しかも私が学院長をしているガイル魔導学院は帝国の中でもトップと言われているんですよ。」
「へぇ、サラに教えてた頃は1度も負けたこと無かったのに、今じゃ考えられないくらい出世したんだな。」
「いえ、今でも私シファ先生には勝てませんよ?教えて貰ってた時からずっと感じていたんですが、やっぱり帝国に来ても先生より強いひとは居ませんでした。」
………どうしてだ?こんなしがないアラサーのおっさんがこの強者の集まる帝国のトップと言っても過言ではないサラより強いだと?そんなわけないじゃないか。
「いや、サラ。俺を上げてくれるのはいいが、お世辞は時に人を傷つけるんだぞ。」
「いえ、私はお世辞のつもりで言ったわけじゃありませんよ?試しに今からでも学院は空いてるので私と模擬戦でもしてみますか?」
「おぉ、久しぶりにサラと戦えるのか。じゃあ1回だけやってみるか!………あ、でもお手柔らかにね。俺ももう30だからさ。」
「フフフ…お手柔らかに、ですね。」
あれなんでだろう?すごく嫌な予感がしてきたんだけど気のせいか?
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