第28話:忘れていた誕生日
───翌日
今日里で1番早く起きたのは俺ではなかった。1番早く起きたのは精霊のみんなだ。早く起きた精霊たちは里の仕事を先に始めていた。
これが俺が考えた“案”だ。精霊たちに頼んで里で働いてもらう、ということなのだが、精霊契約を結んだ精霊が1日の必要最低限を超える活動をするためには主人の魔力をもらって動くから、お母さんやミラ、里のみんなには心配された。
でもまぁ、俺なら大丈夫だろうというみんなからの謎の信頼でみんなは了承してくれた。
『ファーくんファーくん!精霊さん達のおかげで仕事がすんごく楽になったよ!』
「それじゃあ精霊さん達にお礼しないとね。」
『うん!言ってくる!』
───タッタッタッタッ
アクアに200体以上の精霊たちと契約しようと言われた時はどうなる事かと思ったけど、結果的に里の役にもたって里のみんなとも仲良くしてくれるし良かったな。
一方フェンは………子供たちにモフモフされたり乗られたりしているが、フェンも楽しんでいるようだ。俺もフェンのモフモフに抱きついたことがあるが、あれはヤバい。一瞬で意識を持っていかれそうになる。
そんなこんなで今日も魔術や魔法の練習をして家に帰ったら………誰もいなかった。
「お〜い!誰も居ないのか〜?」
この時間に誰もいないのはおかしい。魔獣に侵入された?いや、ミラやお母さんが魔獣なんかにやられるとは思えない。
「おい………本当に誰もいな──。」
───パァァアン!
『誕生日おめでとう!師匠!』
『誕生日おめでとう!シューちゃん!』
「………誕生日?」
「やっぱり師匠忘れてた。」
そういえば今日は誕生日だったか?長らく誕生日に特別なことはしてなかったから最近はもう存在すら忘れていたな。………ボケてきたわけではないぞ。
「これ、師匠にプレゼント。」
「………杖?」
「うん。師匠には必要ないかもだけど、その杖は特別。その杖は魔力を貯めておくことができるから、魔力が使えない状態になっても安心。それに貯めた魔力を一気に使って聖級魔術もらくらく連発できる。」
「でも魔力込めすぎたら壊れたりしないか?今の俺の魔力自分でもびっくりするくらい多いんだけど…。」
「多分今の師匠の全魔力2回分くらいは貯めれると思うからダイジョーブ。」
いや急に不安になる棒読みやめて?
「それにしてもこんなの高かっただろ。一体いくらしたんだ?」
「ふふふ………それはね………。」
───ゴクリ
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