第23話:心奪われるイベント
───ガタガタガタガタガタガタ
俺のお母さんがエルフの里の里長と知ってからミラの調子がずっとこんな感じになってしまっている。
まぁ無理はない、なぜならエルフの里長はその里で1番精霊との感応力が高いものが選ばれる。要は1番強いやつってことだ。
エルフは『精霊の加護』のおかげもあって全員の戦闘力は聖級魔導師レベル。その中のトップと聞いたらこうなるのもなんら不思議ではない。
「そんな緊張しなくていいぞ、お母さんの強さは俺と同じくらいだしリラックスしていけ。」
俺はそんなことを言いながら家の中に入る。エルフの家は人間と違って鍵がかかってない。エルフ同士で盗みをすることは1度もないし、外界から魔物や人間が入ってくることもないかららしいが、人間の俺からしたら危険過ぎると思う。
そういえば家に入る直前にミラを見たら震えが激しくなってる気がしたが………気のせいか?
「お母さん、ただいま。」
「あら!シューちゃんおかえり〜!」
「もう30にもなってるんだからその呼び方はやめてくれ、恥ずかしいから。」
「でも私や里の子たちからしたら30なんてまだまだ赤ん坊よ?」
「エルフと人間歯違うんだよ、ったく。てかミラも早く座らないのか?立ちっぱなしだと疲れるだろ。」
「う、うん。」
俺の隣にチョコンと座ったミラだが、まだ緊張してるっぽいな。
「あら、この子は………?」
「外の世界で俺が魔術を教えてた……いわゆる弟子だ。名前は……。」
「…ミラです。」
「ミラちゃんね!可愛い名前。」
「お母さんが里長って聞いてからミラが緊張しちゃってるんだが何とかしてくれないか?」コソコソ
「ん〜そうだ!ちょっとシルちゃんおいで〜。」
───パァァアァァ
「この子は風の最上位精霊でシルフィって言うんだけど、愛称はシルちゃんね!」
『どうしたの?』
「ちょっとアレやってくれないかしら?」
───家の外に出て
『じゃあいくよ〜!』
ヒュゥーという風の音がなって、世界樹の花が里全体にヒラヒラと舞い落ちていく。
「わぁぁぁぁ………………きれい。」
「これはね、新しく客人が来た時にこの里を気に入って貰えるように行うイベントみたいなものなの。ミラちゃんも気に入ってくれた?」
「はい、こんなに心を奪われたのは初めて師匠の魔術を見た時以来です。」
ミラちゃんもやっと緊張が解けてきたみたいね。
「じゃあこの後私ん家で少し小さいけど夜ご飯兼パーティーでもやりましょうか!」
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