第22話:実家に帰省します
───久しぶりにお母さんの所に帰るか
そう思ったのはつい昨日のこと。だけど俺はもう既にエルフの里に行こうとしていた、とは言っても、そんな何十泊もするわけではないし、何日かだけ滞在しようと思う。でもお母さんに押し通され何日かいるような気もするが………。
「ま、それは行ってから考えるしかないか。」
そうだよな。お母さんのことを考えたって行ってからしか分からないんだから。ちなみに教師の仕事は黒龍の事件があったから夏の長期休暇が前倒しになってひと月ちょっと休みになった。
「よし、行くか!」
エルフの里は普段、結界により外界とは隔離されている状況になっている。俺のお母さんがエルフじゃなかったら俺は一生エルフの里に行くことができなかったかもしれない。冒険者が目指すのもガーネットランクかエルフの里か、とも言われるほどだ。
ただこのお母さんが作ってくれた『エルフの簪』とエルフの里にある『泉の聖水』を持ってエルフの里の座標に向かうと結界を素通りできる。
だから後はエルフの里の座標まで歩くだけなんだが、
「それが1番キツイんだよなぁ。普通に森の奥だから魔物は強いし、この暑い時期はジメジメしていておっさんにはキツイんだよ。」
───3日後
「たしかこの辺りだったはず………お!あった。」
このお墓程度の大きさの石碑がエルフの里の目印だ。エルフが作った『エルフの簪』を身につける、と言っても俺は男でつける場所がないから頭の上に乗せるだけなんだが、そしたら石碑に『泉の聖水』をかけると……、
「やっぱり世界樹はでかいし綺麗だな。」
『あ、ファーくんだ!』
「久しぶりだな〜!」
エルフは長寿と言っても人間でいう20歳前後までの成長過程は人間と一緒だ。そこから人間の15歳がエルフでいう1歳ほどしか老けないし、いつ思ってもズルい。それに『精霊の加護』があるから魔術の適性も高いしな。
それからお母さんの家に行くまで里の人と挨拶を交わしたりしていたんだが、
「そういえば、本当に来たけど馴染めそうか?」
せっかくだからサラ、ミラ、ヒュイの3人も連れていこうとしたんだが、サラは例の事件のせいで仕事が多いらしく、ヒュイは特別依頼を受けて帝国を出てしまってたからミラと一緒に来ていた。
「う、うん。」
さすがにまだ慣れないか。
「お、着いたぞ。お母さんの家。」
「え、なんかさっき通り過ぎてる時に見た家よりも大きくない?」
師匠のお母さんって一体何者なんだろう………?
「まぁ俺のお母さんここの里長だからな!」
「…………え?」
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