第12話:冒険者登録で問題起きまくり
───数日後
ミラ達と別れてから何日か経った。そして、時間が経つにつれて教師の仕事も慣れてきた。まぁ、1つ問題があるとすれば、俺が近づいて来ると生徒たちが怖がって離れてしまっていることぐらいだ。
あの決闘で学院トップクラスの生徒複数人をボコボコにしてしまってからというもの、他の生徒たちは俺のことを避け始めていた。
「あれ、これって教師として致命傷じゃないか?」
え、やっぱりそうだよな?生徒から避けられてる教師ってやっぱり致命傷だよな?………どうしたものか。
あれ以来、決闘に挑まれることもなくなったが、代わりと言わんばかりに生徒から話しかけられることもなくなった。
まるで俺の周りにバリアでも張られているかのように、生徒は俺を避けていく。………そんなに露骨に避けられたら俺悲しくて泣いちゃうよ?
「はぁ………どうしたらいいものか。」
クソデカため息をついた俺は、思考を巡らせていた。俺はサラに雇われている身だし、このままではいけない。どうにかしてでも、俺は生徒との関係を取り戻さないとけない………とは言っても、元からそんなに仲が良かったわけでもないが。
どうにかするって言っても、そのどうにかってのが思いつかないから困ってるんだよなぁ。もういっそのこと、俺から話しかけてしまおうか?………いや、流石にそれはなしだな。
「あの決闘で自分の力に自信はついたけど、その結果がこれじゃな………。」
帝国に来たばかりの頃は俺なんか………って思ってたけど、サラと戦ってからはある程度自分の力に自信がついてきた。それに生徒たちの決闘も経て、自信については問題ない。だけど力は、
「自分に使うものではない、だよな。」
自分の為だけに力を使っていてはそこら辺にいるゴロツキと一緒になってしまう。しかし、最近は体を動かしていないし、久しぶりに体を動かしたい気分になってきた………
「そうだ!今日から数日休みだし、冒険者になろう!」
別に冒険者も教師も副業?が禁止されているわけではない。だから俺は教師の仕事をこなしながら、冒険者になることもできる。
「そうと決まれば早速冒険者ギルドに行ってみるか!」
とは言ってみたものの、実際に冒険者になろうと思ったら、手続きのやり方とか分からないぞ?
………まぁ、行ってみればなんとなくでわかるか。
───冒険者ギルドにて
「すみません、冒険者登録をしたいんですけど…。」
あれから俺は冒険者ギルドに行き、受付の人に冒険者登録をしたいと伝えていた。
『冒険者登録ですね!それじゃあこちらにサインをしてここに血液を垂らしてください。』
そこから書類っぽいものに自分の情報を書いていたんだが、名前と年齢だけって………本当に大丈夫なのか?あまりにも情報が少なすぎる気がするが………。
書類に書いてあるとおりに進めていくと、誓約書みたいなのがあり、仮に依頼をしている時に死んでも、責任は一切負わないとの事だった。恐らく記入事項が少ないのもそれと関係しているのだろう。多分、サラも言っていたが、冒険者になる人のほとんどは1年も経たずに死んでしまう。だから、必要最低限のことしか書かなくていいのだろう。
「それじゃああとはここに血液を垂らして………。」
───ピカッ
「え、なにこれ?」
俺が血液を垂らしてその血液が書類についた瞬間、おとぎ話の勇者が聖剣を抜いた時みたいな光がギルド全体、もしかしたら街の方まで辺りを包み込んだ。
『これは………!?』
え?俺なんも悪いことしてないよね?ギルドのお嬢さんに言われた通りに進めてたよね?どっかで間違った?………これはもう、適当な理由をつけて逃げてしまった方がいいのかもしれない。
「あ、あの〜………。」
その判断をしてから、それをすぐに実行に移そうと俺は話しかけようとした。
『す、すごいですよ!あなた一体何者なんですか!?』
「え、俺はただの教s………。」
危ない危ない。職質のようなものだったらサラにも迷惑をかけてしまうかもしれないしな。………と言っても、俺は仕事について何も知らない。どうしようか…。
「あれ、シア師匠?」
そんなことを考えていると、何か用があったのか、慌てた様子で冒険者ギルドにヒュイとミラが入ってきた。
「ヒュイ!どうしたんだ?」
そういえば2人とも冒険者になったんだっけ。じゃあ普通に依頼を受けに来たのか?
「いや、ギルドからすごい光が出たじゃないですか?あれが街の中心部まで届いていたらしく、警備の人になにか起きてないか様子を見てこいって言われて………。」
「あ、あぁ〜なるほどねぇ〜。」
いい感じにはぐらかして逃げようかなって思ってたけど、これってもしかして………
「俺捕まっちゃうやつ?」
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