第11話:お客さんの正体とは………!?
「………俺のお客さんって誰なんだ?」
───ガチャッ
騎士に魔導師………?やっぱり王国からの使者なのか?
「えっと、すみません。どちら様でしょうか?」
『………え?まさか師匠、覚えてないんですか?』
その呼び方………。というか俺ってまたひと目で弟子って気が付かなかったのか………最低だな。
「このローブ………ミラか!って、泣くなよ。覚えてなかったのは悪かったって。」
「先生が女の子泣かしてる………。」
「いやだから違うんだって…!!ってことはそっちはヒュイか?」
ミラにヒュイ………この2人もかつての弟子だが、潜在能力はサラに匹敵するほどだ。
『そ、そうですよ。やっぱり覚えてなかったんですね………。』
や、やめてくれよヒュイ………そんな顔で俺を見ないでくれ………。
───ジロッ
やめろよサラ。そんな目で俺を見ないでくれ、心が痛むから………それに何年も経っているんだぞ?覚えていなくても仕方がない………とまではいかないが、大目に見てくれよ。
「ってことはミラとヒュイは17歳と25歳か。大きくなったなぁ。」
「へぇ、ヒュイさんは私より歳上なんですね。」
「そうですね。と言ってもシア師匠に師事したのはサラさんよりも後なんですけどね。」
そう、サラの方が先に弟子になりたいと言ってきたが、実際にはサラに教えた後すぐにミラ、ヒュイの順番で俺に師事していたんだ。
「ってことは2人とも私の妹弟子ってことですね。ふふ、なんだか嬉しいです。」
早速2人は打ち解けたようで、俺も安心した。それにしても、王国からの使者じゃなくて本当に良かった。
「そういえば今は2人とも何をしてるんだ?」
俺はこれまで何人か弟子をとってきたが、ある程度強くなったら教えるのをやめていた。その後の話はあまり聞かないから、サラの時もこの2人も何をしているかが分からないのだ。
「えっと、私は昨日まで王国第1騎士団団長をしていて、ミラは王国第1魔導師団団長をしていたそうです。」
ほぼ王国の中でもトップレベルの権力者じゃねぇか………!?
「へぇ、サラといい、2人ともすごいな。ミラに関してはまだ17歳だろ?それなのにこんな国の大黒柱な仕事していたなんて………って、“していた”ってまさか………。」
「うん、私たち辞めた。」
「辞めたってそりゃまたなんで……!?」
どういうことだ?王国の第1魔導師団と第1騎士団の団長なんて、追放かおじさんおばさんになるまで辞めるやつなんてほとんどいないのに。
「王国に師匠居なくなったから私帝国に来た。その途中でヒュイさんと会って話したら目的が一緒だった。」
いや、そんな理由で?将来安泰な人生よりも俺を選ぶなんて………どこで教え方を間違えてたんだ…。
「いや、嬉しいけどお前らなぁ。」
嬉しいというのは本心だがたかが俺のために将来安泰な仕事を辞めて来るなんて、狂ってるだろ……。ちなみに2人にランクはない。小さい頃から騎士団とか魔導師団にいる優秀なやつらは引き抜きされるかもだからランク試験を受けさせて貰えない。
俺は普通に仕事として魔導師団の指南役してたからランク試験を昔に受けていた。
「それで、これからお前らはどうするんだ?」
『これから………?』
「もしかして何も考えていなかったのか?」
『………………。』
まったく、困ったヤツらだ。力こそあって優秀なのに頭は回らないのか。………しかし、本当にどうするんだよと思ったが、この2人の実力ならここ帝国でならやっていけるだろう。
「じゃあやっぱり、冒険者になればいいんじゃないか?実力はあるみたいだし、パーティーを組めば俺も冒険できるし………どうだ?」
「冒険………!!私、冒険者になる。」←ワクワク
「そうですね。ミラとも仲良くなりたいですし、とりあえず2人でパーティーを組んで冒険者になってみたいと思います。」
思ったよりもミラが冒険者に興味があるようで、なんか意外だな〜と思ってしまった。
「そ、そうか。でも泊まる場所とかは?」
「それは学院の教師寮を使っていいですよ。部屋も余っていますし。」
「いいの!?」
「まぁ一応学院長ですからね、私!」
なんかサラが先輩風吹かせてるな。面白いものが見れた………俺からしたら3人ともまだ子供だけどな、1人はまだ20にもなってないし。
「………なんか誰かにバカにされてるような気がします。」
『………………………?』
サラのやつ、勘がよすぎなんじゃないのか?それも経験のうちの一つ………なのかな?
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