第1話:追放された最強魔導師、帝国に向かう
まずは読者の皆さん、読んでいただきありがとうございます。この作品はモチベが続いてる間は毎日、モチベが切れ始めてもできる限り週4,5本投稿していきたいと思っています。飽き性なので続かないと自分でも思っていますが笑
でも長い目で見ていただけると幸いです。
小説を書くのは初心者なので書き方とか変かもしれませんが誤字があれば教えていただけると幸いです。
これからも何卒よろしくお願い致します。
「お前は追放だ!」
その一言は、玉座の間に鋭い刃のように突き刺さった
俺──シューファは目を丸くしながら、しばし呆然とした。
「……え? 陛下、それは……冗談、ですよね?」
思わず声が裏返る。七年間、俺はこの国の魔導師団を支えてきた自負がある。魔導師団の指南役として、俺は弟子たちに知識も技術も叩き込んできた。だが、王は眉間にシワを寄せ、威圧するように声を張り上げた。
「冗談なわけあるか! 三十路を迎えた老いぼれが、若者を導くなど笑止千万! お前が国を衰退させているのだ!」
三十路……老いぼれ?
心の中で苦笑した。魔導師の指南役など、本来は白髪交じりの老人が担うことだ。俺はむしろ若すぎる方だったはずだ。それでも「お前のせいで国が滅ぶ」と言われれば、もはや言い返す言葉はない。
「お言葉ですが、私はこれまで優秀な弟子を数多く育ててきました。その成果は──」
「黙れ! 優秀な者はもとから優秀だったのだ。お前の力など不要! さあ出て行け!」
俺の言葉を遮った短い剣戟のような言葉が、俺の胸に突き刺さる。
………結局、俺の努力も弟子たちとの時間も、王にとっては無意味だった。
頭を下げながら、脳裏に浮かぶのは弟子たちの顔だ。
火球を制御できずに泣いていた少年、魔法陣をうまく描けずに悔し涙を流した少女。彼らが成長し、笑顔を見せた瞬間、そして人生のどんな娯楽よりも弟子達の笑顔は俺に勇気を与えてくれていた。
「……承知しました。」
俺は静かに言葉をのみ込み、玉座の間を後にした。
これ以上この国に縋る意味はない。
城下町に降りると、空気が妙に澄んで感じられた。
追放されたはずなのに、胸の奥に奇妙な解放感がある。もしかしたら俺は、知らないうちに指南役という牢屋に閉じ込められていたのかもしれない。
「はあ……七年か。長かったな」
23で最年少の指南役となり、毎日弟子たちの才能を磨くことに全てを費やした。だが、その年月は王の一言で消された。いや、違う。消えたわけじゃない。弟子たちの中に、俺の教えは残っている。ただ今は、あそこで言い返せなかった自分が恥ずかしい。
そんなことを考えながら歩いていると、一枚の看板が目に入った。
『帝国に新たな神童あらわる!?』
「神童……か」
かつて俺もそう呼ばれた。
だが“神童”の看板を背負った者が、大人になって本当に大成するのは稀だ。俺もその一人だ、才能を持て余し、大人の都合に振り回されて、気づけば国王には「老いぼれ」と呼ばれている。
だが──帝国。
噂では、帝国では子どもたちの憧れは冒険者だという。王国で蔑まれる冒険者が、あちらでは実力を持つ者として評価される。強さが正しく評価される世界。
「俺だって、行きたいよ。強さで認めてもらえるなら。」
思わず独り言が漏れた。
いや………そうだ、俺はもう自由なのだ。指南役という枷は外れた。行きたいと望めば、誰の許可もいらずに帝国へ行ける。
不安がないわけではない。
見知らぬ土地、文化の違い、そして何より帝国の実力者たちに通用するかどうか。だが、その不安すら今の俺には心地よい。挑むべき壁があるなら、久しく感じなかった熱が胸を満たしてくれる。
弟子たちの顔がまた浮かぶ。
できれば別れを告げたかったが、彼らの前に無様な姿をさらすのは避けたい。俺が旅立ったと知った時、彼らがどう感じるか──いや、これからはもう、彼らの道だ。
「……新しい人生の幕開け、か」
口にした瞬間、足取りが軽くなった。
これまで鉛のように重かった足が、未来へと弾む。
帝国には俺が欲するものがある。
それがどれほど遠くとも、たとえ月の彼方にあるとしても、俺は掴みに行くだろう。
追放された指南役、シューファ。
俺の第二の人生は、今まさに幕を開けようとしていた。
───俺は帝国へ向かう、その決意は確固たるものだった。
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