✒ 新居 4
──*──*──*── 寝室
[ 寝室 ]の中へ入ると大きなベッドが置かれている。
ベッドを椅子代わりに座ってセロが読書をしながら待ってくれていると思っていたけど、肝心のセロは居なかった。
オレはルームシューズを脱ぎ捨ててベッドの上にダイブした。
マオ
「 セロの嘘吐きめぇぇぇ~~~~!!
期待させる様な事、散々言っといてぇぇぇ~~~~!! 」
もしかしたら、[ 創造主の館 ]の方に居るのかも知れない。
だけど、オレはあまり[ 創造主の館 ]へは入りたくないんだよな……。
[ 創造主の館 ]は無駄に広くて、セロが何処に居るかも分からないからだ。
[ 食堂 ]でキノコンに何か──夜食でも作ってもらおうかな。
という訳で──、オレは[ 食堂 ]に行く事にした!
──*──*──*── 食堂
[ 寝室 ]のドアから[ 食堂 ]に出たオレは、キノコンが管理している[ 厨房 ]に顔を出す事にした。
マオ
「 ぅん?
立ち入り禁止ぃ?
何でだろう?? 」
[ 食堂 ]と[ 厨房 ]の間に “ 立ち入り禁止 ” と書かれた看板が、紐で吊られた状態でブラ下がっている。
[ 厨房 ]がキノコンの城だからかな??
──*──*──*── 厨房
マオ
「 キノコ~~ン。
何か夜食を作ってくれないかな? 」
オレは “ 立ち入り禁止 ” の看板を無視して、[ 厨房 ]に足を踏み入れる。
キノコンは[ 厨房 ]で “ 何か ” を切っていた。
タイル張りされている[ 厨房 ]の床が赤く染まっている。
マオ
「 き…キノコン……こんな時間に何を切ってるんだ??
明日の仕込みか?? 」
キノコン
「 マオ様ぁ~~!
[ 厨房 ]は21時から立ち入り禁止になっていますエリ。
入って来ちゃ駄目ですエリ~~ 」
マオ
「 ご…御免な……。
うっかりしてて──。
そ…それよりさ……床が真っ赤だけど……何を切ってるんだ? 」
キノコン
「 これですエリ?
これは≪ 村 ≫の周辺を嗅ぎ回っていた厭らしい盗賊ですエリ。
コイツ等の夜襲が原因で、マオ様の睡眠が妨害されてしまうリスクを排除しましたエリ。
これから部位毎に切り分ける作業を始める所ですエリ 」
マオ
「 …………盗賊って事は……人間…?? 」
キノコン
「 はいですエリ。
しょうもねぇ人間ですエリ 」
マオ
「 …………部位毎に切り分けたら…どうするんだ? 」
キノコン
「 調理をしてから、美味しく頂きますエリ 」
マオ
「 調理……するんだ?
何時もそのまま食べてたのに…… 」
キノコン
「 エリ?
キノコンは調理した人間は喰べませんエリ。
人間は生で喰べた方が美味ですエリ 」
マオ
「 えっ……。
じゃあ、誰が食べるんだよ?
まさか──、セロ?? 」
キノコン
「 セロフィート様は人間なんて食されませんエリ。
調理した人間を食べるのは、変態キモブタ野郎な金持ちですエリ 」
マオ
「 は?
調理した人間を人間が食べるのか??
何でだ?? 」
キノコン
「 色んな趣向の人間が居ますエリ。
調理された人間の部位をコース料理で食べたがる変態も居ますエリ。
キノコンはイカれた趣向の変態キモブタ野郎共に高級コース料理を提供し、お小遣いを稼いでいますエリ 」
マオ
「 ……………………お小遣い?
キノコンに “ お小遣い ” って必要なのか?? 」
キノコン
「 マオ様に美味しい料理を食べて頂きたいですエリ。
食材や調味料を購入するには資金が必要ですエリ 」
マオ
「 ………………因みにさ、どの部位が人気だったりするんだ? 」
キノコン
「 調理方法で変わりますエリ。
男の変態キモブタ野郎には、子宮,卵巣,乳房,目玉を使った料理が大人気ですエリ。
マオ様も御賞味されますエリ? 」
マオ
「 オレは蛞蝓とGと人間は食べない事にしてるんだ…… 」
キノコン
「 それは残念ですエリ~~。
お夜食に──と思いましたエリ 」
マオ
「 絶対に止めてくれな! 」
寝る前に嫌な話を聞いちゃったな……。
マオ
「 提供する部位の人間は……悪人ばっかりなのか? 」
キノコン
「 はいですエリ。
男の盗賊が居るなら、女の盗賊も居ますエリ。
“ 犯罪者 ” を善良な一般市民と偽って提供していますエリ 」
マオ
「 …………悪い事してるなぁ~~ 」
キノコン
「 変態キモブタ野郎の口には、犯罪者の部位が “ お似合い ” ですエリ。
でも代金はガッポリと頂きますエリ★ 」
マオ
「 ………………ははは……。
程々にな?
じゃあ、オレは[ 寝室 ]に戻るよ。
キノコンの “ 小遣い稼ぎ ” の邪魔しちゃ悪いからな…… 」
キノコン
「 マオ様ぁ~~。
お夜食の提供を出来なくて御免なさいですエリ… 」
マオ
「 大丈夫だよ。
寝るだけだしな! 」
オレは[ 厨房 ]を出て[ 食堂 ]に戻る。
夜食は諦める事にして[ 食堂 ]から[ 寝室 ]へ戻った。