⭕ 新居 1
──*──*──*── 新居
セロと一緒に《 共同洗濯所 》と5つの枯れた井戸を見て回った後、空き家へ戻って来た。
ボロボロで住めそうな雰囲気が全くしなかった空き家は、嘘みたいに見違えていた。
如何にも安物っぽい木材で作られていた空き家は、丈夫な丸太が使われた立派なログハウス風の作りに変わっていた。
マオ
「 これが……あの空き家なのか?
短時間で完成させるなんて──、キノコンは凄いな!!
流石だよ!! 」
セロフィート
「 見事です。
花壇は明日以降の様ですね 」
マオ
「 そう言えばさ、此処は新居になる訳だろ。
店舗は何処に建てるんだ? 」
セロフィート
「 広い空き家を見付けたので、其処を店舗にします 」
マオ
「 ふぅん。
じゃあ、新居から歩いて通わないといけない訳だな 」
セロフィート
「 新居と店舗は転移ゲートで繋ぎます。
態々通う必要は無いです。
店舗は森寄りの場所に在ります。
新鮮な状態の素材を使う事が出来ますよ 」
マオ
「 新鮮な素材かぁ。
でもさ、森の近くに在る店舗に御客は来てくれるのかな? 」
セロフィート
「 森と≪ 村 ≫の間には結界を張ります。
これからは森に棲息している怪物の被害は受けません 」
マオ
「 これからは?
今迄は怪物の被害を受けた事が有るみたいな言い方だな 」
セロフィート
「 被害に遭ってから年数は経ってる様です。
店舗の付近には壊された空き家が在りますよ 」
マオ
「 マジかよ…… 」
セロフィート
「 壊れた空き家は解体所と農具庫として再利用します 」
マオ
「 空き家の使い過ぎじゃないか? 」
セロフィート
「 トリゴさんからの許可は貰ってます。
場所が場所ですから誰も住みたがらないそうです 」
マオ
「 森に近いもんな……。
店舗の方は出来上がってるのか? 」
セロフィート
「 未だですよ。
明日の午後には完成する予定です 」
マオ
「 明日か~~ 」
セロフィート
「 新居に入りましょう。
元々狭いですから、転移ゲートで部屋を繋げてます 」
マオ
「 そうなんだ!
じゃあ、《 裏野ハイツ 》と繋がってるのか? 」
セロフィート
「 そんな訳ないでしょうに。
マオの実家に在る[ マオの部屋 ]です 」
マオ
「 そっちかぁ……。
じゃあ、セロとは別々になっちゃうんだな…… 」
セロフィート
「 残念な顔しないでください。
マオは1人でも寝れる子でしょうに 」
マオ
「 寝れるけどぉ~~。
夫婦なんだから、同じ[ 寝室 ]で寝たいじゃんかよぉ 」
セロフィート
「 ふふふ(////)
マオの甘えん坊さん♪ 」
セロと一緒にログハウス風の新居の敷地内へ入る。
新居を囲む様に柵の代わりに洒落乙な壁で囲まれている。
──*──*──*── リビング
玄関のドアを開けるとチリン──と鈴が鳴る。
室内に入ると[ 居間 ]だ。
とは言っても、ソファーも無ければTVも無い。
床には土足用の大きい絨毯が敷かれている。
見るからに立派な絨毯だけど、値段を聞くのが怖いな。
1人用の立派な椅子が2脚と長方形のテーブルが置かれていて、薪仕様の暖炉も作られている。
マオ
「 [ 居間 ]なのに殺風景だな 」
セロフィート
「 これからです。
奥は[ DK ]です。
食事はキノコンが用意してくれます。
此方は[ マオの部屋 ]です 」
マオ
「 オレの部屋は[ DK ]から行けるのか? 」
セロフィート
「 [ DK ]の壁にはドアの壁紙を貼ってます。
入れば[ マオの部屋 ]です。
[ マオの部屋 ]には、[ 洗面脱衣室 ][ 浴室 ]に入れるドアを貼ってます 」
マオ
「 じゃあ、[ DK ]に入ろう!
[ DK ]にはドアが無いんだな 」
壁にはアーチ型の穴が空いている。
城みたいな作りだな。
キノコン曰く、此処には暖簾の代わりにリボンカーテンを取り付ける予定らしい。
──*──*──*── ダイニングキッチン
[ DK ]に入ると食欲をそそる匂いが漂っている。
マオ
「 わぁ(////)
美味そうな匂い!
今晩の夕食かな? 」
セロフィート
「 [ DK ]には結界を張ってます。
料理の匂いを遮断し、[ 居間 ]へは匂いがしない様にしてます 」
マオ
「 そう言えば、[ 居間 ]は無臭だったな。
えと──、ドアは12個も在るのか 」
左右の縦の壁にドアが3つずつ、左右の横の壁にもドアが3つずつ在る。
絵だから開く必要が無いから、ドアとドアとの間隔──幅は短い。
ドアの絵の上にはドアプレートが付いている。
マオ
「 オレの部屋の右隣は[ 寝室 ]なんだ 」
セロフィート
「 [ 寝室 ]の右隣はワタシの部屋です。
どちらの部屋からでも[ 寝室 ]に入れる様にしてます 」
マオ
「 オレの部屋からも[ セロの部屋 ]からも[ 寝室 ]に入れる訳だな! 」
オレは〔 マオの部屋 〕と書かれているドアプレートのドアの絵に向かって歩く。
ドアの絵の奥は、《 マーフィ宅 》の中に在るオレの部屋に繋がっていた。