✒ 人形師と妖精さん 2
──*──*──*── フィールド
フィールドの彼此で、パトラーのコスプレをしているキノコン達が、親子連れの怪物を襲う冒険者達を取り締まる為に動いている。
殺る気満々だな。
とは言え、昼間に彷徨いているは冒険者達の姿はほぼ無い。
キノコン達が≪ ヒッドユ村 ≫を取り囲んでいて、怪物が侵入して来ない様に警備をしてくれている。
キノコンが1体でも居るだけで十分な効果が有るんだけど、取り囲んで警備をするなんて随分と厳重だ。
≪ ヒッドユ村 ≫と≪ マーリマ村 ≫を繋ぐ道路もキノコンが建設中で、道路には夜光煉瓦地中に埋め込まれる形で使われるみたいだ。
獲物を探してフィールドを彷徨いている怪物と戦闘を開始する。
妖精チックは宙に浮いた状態で見学、オレは腰に提げている剣を鞘から抜いて構えた状態で見学。
キノコンは口から垂れる涎を吸水性抜群のバスタオルで拭き拭きしながら見学する。
人形師のクルチェが魔法の鞄の中から自動式戦闘型人形を取り出す。
セロが新品同然に直してくれたクルチェが愛用している2体の戦闘人形だ。
一体どんな構造をして動いているのか不思議で堪らない。
クルチェは元から身に付けている鞄から楽器──2つのカスタネットを指に付ける。
2体の人形に向けて「 行くよ! 」と掛け声を掛けたクルチェは、カスタネットを叩き始める。
カスタネットから奏でられる音は曲となって2体の人形達を動かす。
人形とは思えない滑らかな動きで2体の人形は怪物への攻撃を始めた。
どうやらカスタネットの演奏── 演奏と言って良いのか分からないけどぉ~~ ──に依って、人形の動きが変わるみたいだ。
軽やかに怪物の攻撃を避けながら攻撃を繰り出し、確実にダメージを与えている。
どうやら人形が出来る攻撃ってのは、物理攻撃のみで魔法は使えないみたいだ。
今迄の戦闘では物理攻撃だけで乗り切っていた──って事か。
それにしても、戦闘に特化した2体の人形も凄いけど、こんな人形を作れる人形師や操れる人形使いも凄いな……。
クルチェは未だ10後半だろうけど、人形師と人形使いを兼任してるんだよな。
実は凄い子なんじゃないのか??
オレの出番は無さそうかな──。
2体の人形の後ろがピカピカと光っている。
何の光だろう?
「 よし、行ける! 」とクルチェが言うとカスタネットから発せられる音が変わった!?
2体の人形の目が「 キュピーン 」とピカッと光った様に見えた。
2体の人形は交互に技を繰り出す。
コンビネーションが抜群の強力な技を食らって怪物は地面に倒れた。
2体の放った技は思った以上に強力で、思わず興奮してしまった。
チックなんて感激して拍手をしている。
すっかり2体の人形に釘付けだ。
クルチェール・シェムリジ
「 ふぅ……。
凄いや、完璧に直ってる!
動きも嘘みたいに滑らかで吃驚したよ!
錬金術って凄いね!! 」
妖精チック
〔 凄いよぉ~~!!
人形、強いねぇ~~。
人間の冒険者より強いんじゃないかな~~ 〕
マオ
「 確かにな。
B級冒険者とA級冒険者と旅してるより心強いかも知れないな。
まさか此処まで人形が戦えるとは思わなかったよ 」
パトラー:キノコン
「 怪物の回収、済みましたエリ。
解体後はクルチェに渡すエリ 」
クルチェール・シェムリジ
「 有り難う(////)」
マオ
「 旅には倒した怪物を回収して解体の出来るキノコンが必要かな? 」
妖精チック
〔 その心配は無いよ~~。
ボクの分身体が回収して、解体するから大丈夫だよ。
旅に必要な荷物も分身体が管理してるから手ぶらで旅が出来るんだ 〕
マオ
「 へぇ?
チックの分身体も凄いんだな 」
妖精チック
〔 万能じゃないけどね、大抵の事は出来ちゃうよ~~ 〕
マオ
「 クルチェ、古代兵器の人形も使ってみないか。
一寸怖いけど、どんな元素魔法を使うのか見てみよう 」
クルチェール・シェムリジ
「 そうだね。
折角だし、試してみようかな 」
そんな訳で再びフィールドを彷徨いている怪物を探す。
単独で彷徨いてる怪物と戦闘になる。
今度はセロが渡した自動式古代兵器人形が魔法の鞄から出て来る。
クルチェは再びカスタネットを装備すると叩いて音を出す。
自動式古代兵器人形が両腕を前に出すと魔法陣が現れる。
赤色の魔法陣って事は炎魔法かも知れない。
魔法陣から炎が発せられる。
熟練度が低いから大した威力無いみたいだ。
自動式古代兵器人形は次々と色の異なる魔法陣を発動させては、元素魔法で怪物を攻撃する。
10属性の元素魔法を使った後、全属性で攻撃の出来るジャッジメントが発動された。
ジャッジメントの魔法陣は、自動式古代兵器人形の上に現れた。
かなり大きな魔法陣で、中には10属性の魔法陣が含まれている。
ジャッジメントの威力は凄まじかった。
熟練度は無いって事だけど、怪物を一撃で黒焦げにしてしまったからだ。
脅威だぁ~~~~!!
ジャッジメントを発動するには、“ ゲージ ” を上げる必要が有るみたいだ。
“ ゲージ ” は5つ有って、1つのゲージでジャッジメントを1回だけ発動する事が出来る。
ゲージを上げるには元素魔法を使うのが条件だ。
妖精チック
〔 うわぁ~~凄いやぁ!
魔法を人形が使うなんて初めてみたよぉ~~。
最後の魔法は凄かったけど、10属性の魔法の威力は弱いねぇ 〕
マオ
「 熟練度が低いからな。
熟練度を上げさえすれば、威力と攻撃範囲が増えるって言ってたな 」
妖精チック
〔 だったらさ、魔法の熟練度を上げちゃおうよぉ~~。
今から熟練度を上げて強くしといた方が良いよね~~ 〕
マオ
「 そうだな。
各々の元素魔法の熟練度が上がれば、自然にジャッジメントの威力や攻撃範囲も広がるみたいだからな。
クルチェ、どうする? 」
クルチェール・シェムリジ
「 う…うん……。
マオとチックが良いなら魔法の熟練度を上げたい! 」
そんな訳で、自動式古代兵器人形の元素魔法の熟練度を上げる為に怪物狩りを始める事にした。
宙に浮いてる妖精チックは、味方に妖精の粉を振り撒いてくれる。
オレも剣を振って怪物を攻撃して弱らせる。
クルチェは自動式古代兵器人形に元素魔法を使わせて熟練度を上げる。
キノコンは見守ってくれている。
順調に元素魔法の熟練度上げは進むのだった。




