⭕ 人形師と妖精さん 1
──*──*──*── 薬屋
──*──*──*── 療養室
マオ
「 チック、御早う!
春加さんの様子はどうかな? 」
妖精チック
〔 あっ、マオぉ~~。
御早うだよぉ~~。
春加は未だ起きないよ 〕
マオ
「 そっか。
昨日の今日だもんな。
実はチックと春加さんに紹介したい子が居て連れて来たんだ。
会ってもらえないかな? 」
妖精チック
〔 春加とボクに?
良いよぉ~~。
男じゃなければねぇ~~ 〕
マオ
「 そっか、良かった!
男装してる女の子なんだ。
昨日の夜、フィールドで怪物に襲われていた所を助けたんだ 」
妖精チック
〔 ふぅ~~ん。
夜間のフィールドでねぇ?
随分な挑戦者だねぇ~~ 〕
マオ
「 パーティを組んでた冒険者達が逃げ切る為に囮にされたんだ。
人形師なんだけど、肝心の戦闘人形が冒険者達に壊されたみたいでな。
間一髪だったよ 」
妖精チック
〔 クズい冒険者は何処にでも居るもんだねぇ~~。
ムカつく彼奴を思い出しちゃったよ!
ボクの春加の寝込みを襲おうとした最低な奴ぅ~~! 〕
マオ
「 春加さんの為にチックも苦労してるんだな 」
妖精チック
〔 春加は唯一無二の相棒だからね。
どんな手を使ってでも危険から衛るよぉ~~ 〕
マオ
「 春加さんは幸せ者だな 」
妖精チック
〔 其処は複雑かな~~。
それでそれでぇ、信じてた仲間に裏切られて囮にされちゃったバッディガールは何処だい? 〕
マオ
「 バッディガールって──。
この子だよ 」
クルチェール・シェムリジ
「 初めまして!
人形師で人形使いのクルチェール・シェムリジだよ。
オレの事は “ クルチェ ” って呼んでくれ 」
妖精チック
〔 此方こそ初めましてだよ~~。
ボクは春加の相棒妖精のチックだよ~~。
ボクの事も “ チック ” で良いよ。
敬称は要らないよ~~。
マオぉ~~、この子、自分の事を “ オレ ” って言ってるけど、本当に女の子なのかい? 〕
マオ
「 男装してる女の子だよ。
セロが言うんだから間違いないよ 」
妖精チック
〔 ボクは未だ “ セロさん ” には会ってないんだけどぉ~~。
信じて良いのかい?
実は『 男でしたぁ♥️ テヘペロ 』だったら、マジで許さないよぉ~~。
激おこプンプンいんふぇるのムカ着火ファイヤーだからね! 〕
クルチェール・シェムリジ
「 大丈夫!
師匠から『 旅に出るなら男装して口調も自称も男っぽくしろ 』って言われたから、男の真似してるだけだから!
胸が無いのは元からだし……、何なら下を確認──(////)」
妖精チック
〔 分身体に調べさせるから其処迄しなくて良いよ。
嘘吐いてたら心臓を抜いて喰べるだけだからねぇ~~ 〕
クルチェール・シェムリジ
「 し…心臓を抜いて食べる?? 」
マオ
「 あぁ~~と…………チックは神聖力を高める為に人間の心臓を喰べる妖精なんだ。
悪さをする悪党を対象にしてるから、クルチェは大丈夫だよ!
だよな、チック 」
妖精チック
「 ボクの春加に危害を加えたり、敵になったりしなければねぇ~~ 」
クルチェール・シェムリジ
「 そ…そうなんだ……。
心得ておくよ 」
妖精チック
〔 それでそれでぇ~~。
何で春加とボクにクルチェを会わせたかったんだい? 〕
マオ
「 女の子の1人旅は危険だから、旅を続けるなら、チックと春加さんと一緒にしたらどうか──って、セロからの提案なんだ。
冒険者と組んで、今回みたいな事がまた起きてもな……。
春加さんも年齢の近い女の子の友達が居たら良いかも知れないし? 」
妖精チック
〔 春加に同性の友達ねぇ~~。
友達に関しては春加任せかな~~。
ボクが口出しは出来ないからね~~。
( 春加の年齢は28歳なんだよね~~。
10代の子と友達になれるのかなぁ~~ )〕
クルチェール・シェムリジ
「 同性の友達(////)
友達なんて初めてだよ!
仲良くなれるかな? 」
マオ
「 気が合うと良いな 」
妖精チック
〔 ところでぇ~~、人形師で人形使いって事は、戦闘は人形がするのかい? 〕
クルチェール・シェムリジ
「 そうだよ。
オレは戦えないから、自動式戦闘型人形に戦闘を任せてるよ 」
妖精チック
〔 興味深いなぁ~~。
人形に戦わせて高見の見物なんて本当に出来るものなのかい? 〕
クルチェール・シェムリジ
「 高見の見物なんてしてないよ。
人形に指示を出さないといけないし 」
マオ
「 そう言えば、どうやって人形に指示を出すんだ?
普通に声で指示を出すとか? 」
クルチェール・シェムリジ
「 楽器を使って演奏をして人形を動かすんだ。
オレの場合はカスタネットだよ。
両手にカスタネットを装備して、軽やかに叩いて人形に指示を出すんだ 」
マオ
「 カスタネットを叩いて??
そんなんで人形が動いてくれるのか?
信じられないな~~ 」
クルチェール・シェムリジ
「 メンテナンスをする時に調整するんだ 」
妖精チック
〔 どうやって怪物と戦うのか見てみたいな~~。
今からフィールドに行かないかい? 〕
マオ
「 オレも見てみたいな。
何か有れば、オレが怪物を倒すし、キノコンにも同行してもらえるから行くか!
クルチェはどうかな? 」
クルチェール・シェムリジ
「 良いよ。
錬金術師さんから直してもらった人形の性能を確かめてみたいし 」
妖精チック
〔 よぉ~~し、皆でフィールドへ行こう~~ 〕
そんな訳で、妖精チック,クルチェ,オレの3人でで、フィールドへ向かう事になった。
[ 療養室 ]を出て、裏口から《 薬屋 》を出たら、≪ 村 ≫の見張りをしてくれているキノコンに声を掛ける。
キノコンが1体、護衛として着いて来てくれる事になった。
あれ?
チックって春加さんから離れられないんじゃなかったかな?
半径5m以内が行動範囲とか言ってた気がするんだけどぉ~~?
≪ 村 ≫の出入り口で、制帽を笠の上に乗せて、パトラー係りのタスキを掛けているキノコンが敬礼をした状態で待ってくれていた。
ちくしょう、スマホが合ったら写メれるのになぁ~~!!
実に惜しいっ!!
妖精チック
〔 くっはぁ~~~~!
キノコンがコスプレしてるぅ~~。
春加に見せてあげたいのに残念過ぎるよぉ~~ 〕
クルチェール・シェムリジ
「 こすぷれ??
何か昨日のキノコンより強そうだね 」
キノコン:パトラー
「 お待ちしてましたエリ。
昼間のフィールドもパトロールしてますエリ 」
マオ
「 有り難な、キノコン 」
キノコン:パトラー
「 今回はボクが御供しますエリ 」
マオ
「 宜しく頼むよ 」
妖精チック,クルチェ,オレの3人はパトラーのキノコンと共に≪ ヒッドユ村 ≫から出た。
◎ 訂正しました。
何処のにでも ─→ 何処にでも
友達になれるのかなぁ~~)〕─→ 友達になれるのかなぁ~~ )〕




