⭕ 錬金術師
──*──*──*── 翌日
──*──*──*── 新居
──*──*──*── 食堂
キノコンが用意してくれた朝食をクルチェと一緒に食べていると、[ 食堂 ]にセロが入って来た。
雪の様に真っ白な髪を後ろで1つに結んでいる。
オレがいつぞやにプレゼントした髪留めを使ってくれてるぅ(////)
セロフィート
「 御早う、マオ。
彼女が人形師のクルチェール・シェムリジさんですね 」
マオ
「 うん?
彼女??
朝っぱらから何言ってるんだよ、セロ。
“ オレ ” って言ってるんだから男の子だろぉ~~ 」
クルチェール・シェムリジ
「 何で分かったの? 」
セロフィート
「 錬金術師ですし。
男性と男装している女性の区別くらい付きます。
ですね、マオ 」
マオ
「 えっ…… 」
セロフィート
「 おや、マオは分かりませんでした? 」
マオ
「 分からなくて悪かったな!(////)」
クルチェール・シェムリジ
「 あっ……えと…初めまして!
人形師で人形使いのクルチェール・シェムリジです 」
セロフィート
「 初めまして、クルチェさん。
マオの師匠で錬金術師のセロフィート・セロッタ・シンミンです 」
椅子に腰を下ろして座ったセロは、キノコンが淹れた紅茶を飲む。
クルチェはセロの美貌に緊張してるみたいだ。
男のオレが一目惚れしちゃうくらいだもんな。
朝食を終えた後、セロに案内されて《 薬屋 》の地下に在る[ 工房 ]へ向かった。
──*──*──*── 薬屋
──*──*──*── 地下
──*──*──*── 工房
マオ
「 あれ?
オレの知ってる[ 工房 ]と違う? 」
セロフィート
「 此処は錬金術を行う為の[ 工房 ]です。
クルチェさん、壊れた人形を錬成陣の中へ置いてください 」
クルチェール・シェムリジ
「 う…うん……あっ、はい! 」
緊張してるっぽいクルチェは錬成陣の中に壊れた人形を置く。
セロは飾り気の一切無い何時もの杖を持つ。
床に描かれている錬成陣の上で杖の先を軽く2回叩いた。
錬成陣が反応して光始める。
錬成陣の線から虹色の光が出て来てユラユラと揺れている。
まるで床から生えたオーロラのカーテンを見ている様だ。
クルチェール・シェムリジ
「 綺麗…… 」
クルチェは錬成陣から発生している虹色に光るオーロラのカーテンに見惚れている。
次第にオーロラのカーテンが低くなって、錬成陣が光らなくなった。
実際に錬成陣が発動した所なんて見た事が無いから、これは完全にセロのヤラセだ。
セロフィート
「 錬成が終わりました。
人形は元通りになりました。
戦闘に使うとキノコンから聞いたので、壊れ難くしときました。
以前よりも丈夫です 」
マオ
「 元通りにするだけじゃなくてコーティング迄したのかよ? 」
セロフィート
「 折角直したのに直ぐに壊れてしまっては直した意味が無いですし。
これから先、どんな怪物と遭遇するか分かりません。
旅を続けるなら怪物だけでなく、盗賊,山賊,海賊…等々厄介な人間と対峙する事も有るでしょう。
強度を上げるのは当然です。
丈夫で頑丈,柔軟性の優れた素材を使い人形を錬成しました。
軽くて持ち運び易いですよ 」
クルチェール・シェムリジ
「 あ…有り難う……御座います…………嘘みたいです!
諦めないといけないくらい壊れていたのに……まるで新品みたい…… 」
セロフィート
「 新品です。
マオが助けた子ですし、サービスしました 」
クルチェール・シェムリジ
「 あの……どうやって御礼をしたら良いですか?
オレ……持ち合わせが無くて…………か…体で──、労働で返すしか── 」
セロフィート
「 クルチェさんはワタシに対価を “ 支払いたい ” と言うのですね。
そうですね、クルチェさんへの対価は──、今日マオが助けた妖精チックさん,舘嵜春加さんとパーティを組み、一緒に旅をしてください 」
クルチェール・シェムリジ
「 え……? 」
セロフィート
「 “ 労働で返したい ” との事ですし、丁度良いでしょう。
舘嵜春加さんは戦闘が苦手な様ですし、一緒に旅の出来る同性の話し相手──友達も必要でしょう。
妖精チックさんは小さくても戦闘では頼りになります。
クルチェさんも1人で旅を続けるより、頼れる仲間と旅を続けた方が安全です。
妖精チックさんと舘嵜春加さんなら、クルチェさんを囮にして逃げる事はしません 」
クルチェール・シェムリジ
「 あ…… 」
セロフィート
「 決めるのはクルチェさんです。
舘嵜春加さんは気を失って眠っています。
先ずは妖精チックさんと話をしてみてください 」
マオ
「 だったらオレが一緒に行くよ。
キノコンとオレが助けたからさ 」
セロフィート
「 それと、人形が1体だけなのは心伴無いでしょう。
丁度良い人形が有ります。
人形使いのクルチェさんに使ってほしいです 」
マオ
「 なぁ~~んか嫌な予感がするぅ~~ 」
セロフィート
「 気の所為です♪
古代文明時代に作られた古代兵器に似せて作った “ 自動式古代兵器人形 ” です♪ 」
マオ
「 ヤバいヤツ持って来たぁ!!
名前に “ 古代兵器 ” って付けるなよ!
物騒だろぉ! 」
セロフィート
「 古代兵器ではなく、古代兵器に似せて作った自動人形です。
ドラゴンの群れを一掃する程の威力しか備わってないですし、害は無いです 」
マオ
「 ドラゴンの群れを一掃する力って、物騒過ぎるからな!
有害だよ!! 」
セロフィート
「 2人の女の子を衛る為の人形です。
この程度の強さぐらいは必要です。
炎,水,風,雷,氷,土,光,影,聖,魔と10属性の元素魔法を使えます。
因みに “ ジャッジメント ” は全属性魔法で攻撃が出来る奥義です。
ジャッジメントには熟練度は無いですけど、10属性の元素魔法には熟練度が有ります。
熟練度を上げると威力が増し、攻撃範囲も増えます。
どんどん使い熟練度を上げてください。
10属性の元素魔法の熟練度を上げれば、ジャッジメントの威力も上がり、攻撃範囲も増えますよ 」
マオ
「 とんでもない人形だな…… 」
セロフィート
「 魔法使用に特化した自動人形ですから、物理攻撃は出来ません。
丈夫で壊れませんから、戦闘では前線に出し、盾としても使えます。
耐久性が優れてますし、自己回復機能も付いてますから、物理攻撃,魔法攻撃にも余裕で耐えれます 」
マオ
「 マジかよ…… 」
セロフィート
「 クルチェさんの旅に連れて行ってくれますね? 」
クルチェール・シェムリジ
「 有り難う御座います…。
こんなに凄い人形を作れるなんて──、錬金術師って凄いんですね! 」
セロフィート
「 ワタシは特別な錬金術師ですから。
自動人形を入れる魔法の鞄も使ってください。
盗まれても困りますし。
2体の自動人形も魔法の鞄もクルチェさんにしか使えない様にします。
マオ、自動式古代兵器人形と魔法の鞄を錬成陣の中へ置いてください 」
マオ
「 分かった 」
セロに言われた通りに魔法の鞄と物騒極まりない自動式古代兵器人形を錬成陣の中に置く。
錬成陣の中には錬成されて新品として生まれ変わったクルチェが愛用している自動式戦闘型人形,魔法の鞄,セロが用意した自動式古代兵器人形が有る。
古代魔法を発動させるんだろう。
セロフィート
「 クルチェさん、錬成陣の中へ入ってください。
クルチェさんにしか使えない様にする為に必要な事です 」
クルチェール・シェムリジ
「 あ…はい…… 」
クルチェは不安そうな顔をして錬成陣の中へ入る。
セロが杖の先を錬成陣の上で軽く3回叩く。
さっきとは明らかに違う光で錬成陣の線の色が変わる。
まるでクリスマスツリーに付ける電飾みたいにポカポカとカラフルに光る。
光が消えると何の変哲も無い普通の錬成陣に戻った。
セロフィート
「 これで上書きが出来ました。
クルチェさん、錬成陣から出てください 」
クルチェール・シェムリジ
「 う…うん 」
クルチェが錬成陣から出た後、セロの指示で、魔法の鞄の中には自動式古代兵器人形と自動式戦闘型人形を入れてから、クルチェへ手渡した。
セロフィート
「 マオ、クルチェさんを妖精チックさんの元へ案内してください 」
マオ
「 分かった。
クルチェ、《 薬屋 》に案内するよ 」
クルチェール・シェムリジ
「 う…うん…… 」
セロに見送られながら、[ 工房 ]を出ると[ 食堂 ]に戻って来た。
《 新居 》を出て、クルチェを連れて《 薬屋 》へ向かった。
◎ 訂正しました。
頑丈で丈夫,─→ 丈夫で頑丈,
熟練度はないですけど、─→ 熟練度は無いですけど、




