✒ フィールドで 1
──*──*──*── ヒッドユ村
マオ
「 あれ?
誰かがキノコンに言い寄ってる? 」
キノコン:分身体
「 危険なフィールドへ出ようとしている若者を止めてるエリ 」
マオ
「 夜行性の怪物が出現するフィールドにか?
最近の若者は自殺願望でも有るのかよ? 」
キノコン:分身体
「 武装してるエリ。
自殺願望は無いと思いますエリ 」
マオ
「 武装してるのか?
怪物狩りでもする気かな? 」
若者達に言い寄られて文句を言われているキノコンの元へ向かう。
文句を言って来る若者達を喰わないで律儀に対応してるキノコン、偉いな~~。
キノコンも日々成長を──。
キノコンの口からは涎が垂れかけている。
めっちゃ涎を垂らさない様に我慢してるぅ~~!!
喰べたい気持ちをグッと堪えてるんだ!!
少しでもキノコンの気を若者達から逸らさないと大変な事態が「 こんにちは 」しそうだ。
オレが間に入らないと!!
オレは若者達に言い寄られているキノコンへ駆け足で近付く。
マオ
「 キノコン!
どうかしたのか? 」
キノコン:分身体
「 マオ様ぁ~~! 」
マオ
「 キノコン、我慢が出来て偉いな。
凄いぞ! 」
キノコンの笠を撫でて労う。
キノコンは嬉しそうに喜んでいる。
序でに涎も拭いてもらう。
マオ
「 アンタ等、夜間のフィールドは昼間のフィールドよりも “ 危険が増す ” って事を知らないのか?
武装したって夜行性の怪物には太刀打ち出来ないぞ。
抑戦闘経験は有るのか?
剣術稽古の経験は有るのか? 」
若者:A
「 有る訳ないだろ! 」
若者:B
「 ≪ 村 ≫に怪物が来た時には追い返した事は有る!
実力は有るんだ! 」
マオ
「 そんな程度で倒せる程怪物は弱くない。
アンタ等にも家族が居るだろ。
アンタ等が死んだら悲しむ家族が居るだろ。
家族の為にも馬鹿な事は止めとけよ。
自殺行為だ。
キノコン達、コイツ等を《 自宅 》へ連行だ!
外に出れない様朝まで番をしてくれるかな 」
キノコン:分身体
「 かしこまりエリ!
コイツ等を《 自宅 》に連行するエリ!
《 自宅 》から出さないエリ! 」
4体のキノコン達が来てくれて、無謀で分からず屋な若者達を連行して行く。
死なれでもしたら、「 フィールドへ行くのを見逃した! 」って家族達から文句を言われて、キノコン達が責められる事になる。
キノコン達が村民を喰べる様な事にでもなったら面倒な──じゃなくて、一大事になるからな!
マオ
「 ふぅ……。
血気盛んな若者達には悪いけど、余計な被害者を出す訳にはいかないもんな。
見張りと警備をするキノコンの数が減っちゃったけど、御免な 」
キノコン:分身体
「 大丈夫ですエリ。
4体の補充は直ぐ出来ますエリ。
あぁ言う無駄にイキッてる頭の弱い人間の相手は疲れますエリ~~ 」
マオ
「 そうだな。
食欲と戦いながら辛抱しないといけないもんな。
キノコン達には酷だよな…… 」
キノコン:分身体
「 マオ様のお蔭で一件落着しましたエリ。
マオ様、≪ ヒッドユ村 ≫を出ますかエリ? 」
マオ
「 そうだな。
夜間に出歩いてる村民は居なさそうだし、行こうかな。
夜間に村民が勝手に≪ 村 ≫から出ていけない様に丈夫な柵や門を作った方が良いかも知れないな。
必要な材料は此方で用意出来るしさ。
明日、駄目元で村長に提案してみるか? 」
キノコン:分身体
「 畏まりましたエリ。
直ぐ作業に取り掛かれる様、材料と道具の手配をしときますエリ 」
マオ
「 有り難な、キノコン。
頼むよ 」
≪ ヒッドユ村 ≫の出入り口に着くと、見張り役のキノコンがビッシと敬礼をして見送ってくれた。
──*──*──*── フィールド
夜間のフィールドは視界が悪い。
何か薄い霧みたいなのが出てないか?
マオ
「 キノコン、この薄い霧みたいなのが何か分かるか? 」
キノコン:分身体
「 それは “ 魔障気 ” と呼ばれる魔力と障気を含んだ霧の一種ですエリ。
人間の目には見えませんエリ。
真昼の怪物より、夜間の怪物が強い原因ですエリ。
これは大地から発生している為、消す事は出来ませんエリ 」
マオ
「 大地から発生って事は、“ 大陸の意思 ” って事だな 」
キノコン:分身体
「 その通りですエリ 」
マオ
「 人間の目には見えない魔力と障気を含んだ霧── “ 魔障気 ” か。
物騒な霧だな。
因みにだけどさ、人間が “ 魔障気 ” を吸い込んだら どうなるんだ? 」
キノコン:分身体
「 身体に悪影響は無いですエリ。
吸い込んで身体に以上が有れば、冒険者達は短命で死んでますエリ。
“ 魔障気 ” はあくまで怪物を強くする為の霧ですエリ 」
マオ
「 そっか。
人間には無害なんだな 」
キノコン:分身体
「 怪物はマオ様を避けてますエリ 」
マオ
「 みたいだな。
キノコンが居なくても賢い怪物なら近寄って来ないだろうな 」
フィールドを歩いていると何組かの冒険者パーティを見掛ける。
流石にソロで夜のフィールドを彷徨いてる馬鹿な冒険者は居ないみたいだ。
怪物との戦闘に苦戦してる冒険者パーティが幾つか有るけど、助太刀する気はないから無視する。
とある冒険者パーティの戦闘が視界に入る。
どうやら親子連れの怪物と戦闘をしてるみたいだ。
大きな怪物は小さな怪物を守っている。
親怪物が子怪物を冒険者パーティの攻撃から守る為、盾になっているんだ。
キノコン:分身体
「 マオ様、あれは “ リュンユン ” と呼ばれている怪物ですエリ。
稀に夜間のフィールドに出没する稀少な怪物ですエリ 」
マオ
「 へぇ?
あの怪物が?
確かに他の怪物とは違う感じがするな 」
キノコン:分身体
「 他冒険者パーティは親子連れの怪物との戦闘は避けてますエリ。
親子連れの怪物と戦闘をしてるのは、あの冒険者パーティだけですエリ 」
マオ
「 親の怪物を倒すのは兎も角、子供の怪物も倒すのか? 」
キノコン:分身体
「 調教師に調教させて怪物コレクターに売りますエリ。
貴族のペットにされたり、良からぬ実験のモルモットにされたり、見世物小屋で客寄せパンダにされたりしますエリ。
丈夫で幼い怪物は日頃の鬱憤をぶつけるサンドバックにされる事も有りますエリ 」
マオ
「 酷いな。
捕まえた子供の怪物にそんな事をさせるなんて──。
キノコン、これからは親子連れの怪物を冒険者達が襲わない様にフィールドのパトロールもしてくれないかな。
人間の玩具にされる為に怪物は生きてないしさ 」
キノコン:分身体
「 マオ様は怪物にも、お優しいですエリ~~。
分かりましたエリ。
マオ様の想いを汲んで親子連れの怪物を襲う冒険者達を厳しく取り締まるエリ!
今からキノコンをフィールドに派遣しますエリ。
フィールドを取り締まるパトラー出動エリ! 」
マオ
「 有り難な、キノコン。
よし、あの怪物の親子を助けに入ろう!
話の通じない冒険者パーティだったら、キノコンの玩具にして良いからな 」
キノコン:分身体
「 有り難う御座いますエリ♥️ 」
そんな訳で、お供をしてくれているキノコンと共に親子連れの怪物と戦闘をしている冒険者パーティの元へ走った。




