✒ 辺境の村 2
──*──*──*── 村長の家
マオ
「 じゃあ、空いてる土地は自由に使って良いって事? 」
村長
「 あぁ、構わないよ。
空き家も在るから住んでくれても構わないしな。
空き家の場合は修理や手入れをしない住めない状態だがな。
更地から建てるよりは楽だろう 」
マオ
「 確かに~~。
セロ、どうする?
取り敢えず、空き家を見てから決めるか? 」
セロフィート
「 そうですね。
トリゴさん、≪ ヒッドユ村 ≫の地図は有りますか? 」
トリゴ:村長
「 いや、≪ 村 ≫の地図なんて作ってないな 」
セロフィート
「 そうですか。
見て回る序でに簡単な地図も作るとしましょう。
≪ 村 ≫の中心部に≪ ヒッドユ村 ≫ の地図を描いた案内板を建てれば、初めて≪ 村 ≫を訪れた旅人も助かるでしょう 」
マオ
「 あっ、それ良いな!
賛成! 」
トリゴ:村長
「 いやいやいや……有り難い話ではあるが──、≪ 村 ≫に来たばかりのアンタ達にそんな事は頼めない── 」
セロフィート
「 地図が完成してからの話です。
それにマオもワタシも案内板は作りません。
日曜大工の得意なキノコンに任せますし 」
トリゴ:村長
「 きのこん?? 」
セロフィート
「 マオがテイムした稀少な怪物です 」
トリゴ:村長
「 テイムって──、マオ君はテイマーなのかい?
怪物をテイム出来るテイマーは≪ 王都 ≫に在る《 テイマー協会 》の保護下で≪ 王都 ≫暮らしをしてると聞いた事が有るんだが── 」
マオ
「 あはは……≪ 王都 ≫での暮らしが合わなくて…… 」
セロフィート
「 ワタシは豊富な素材を求めて≪ 村 ≫へ来ました。
≪ 王都 ≫に居ては手に入りませんし、買えたとしても高額です。
破産し兼ねません 」
トリゴ:村長
「 ははは──、確かにな。
≪ 王都 ≫の物価は年々上がってるらしいな。
商人も嘆いていたよ 」
マオ
「 ≪ ヒッドユ村 ≫の後ろに広がる森からは “ 未開の地 ” なんだよね?
“ 未開の地 ” で見付けた素材をタダで使えるんだから、引っ越して来て正解だよな! 」
トリゴ:村長
「 おぃおぃ、森に入るつもりなのか?
珍しい素材の宝庫なのは確かだが、篦棒に怪物が強いんだぞ。
子爵が兵士や冒険者を募って森の調査へ向かった事が有るんだが、誰も戻って来なかった危険な森だぞ! 」
セロフィート
「 それなら問題無いですよ。
マオもワタシも森へは入りません。
森へ入るのはキノコンです 」
マオ
「 キノコンなら楽勝だな!
オレも森に入りたい…… 」
セロフィート
「 マオはワタシの手伝いをしてください。
遊んでる暇は無いですよ 」
マオ
「 遊ぶのはセロの方だろ~~ 」
村長のトリゴさんへの挨拶を済ませたセロとオレは、村長の家を出た。
セロと一緒に≪ 村 ≫の中を見て回る。
すれ違う村人達に≪ 村 ≫の事を聞きながらだ。
セロは “ 錬金術師 ” って設定で≪ 村 ≫に滞在するみたいだ。
神秘的な美を纏った浮き過ぎているセロの格好は、逆立ちしても “ 錬金術師 ” には見えない。
因みにオレは、セロの弟子って事になっている。
テイマーって設定なのに錬金術師の弟子も兼任って──。
セロフィート
「 マオ──、この空き屋を民家に使いましょう 」
マオ
「 おぉ~~!
ボロボロだな!
雨風を防げないボロ民家! 」
セロフィート
「 そんな目で見ないでください。
この空き家は庭付きです。
庭を花壇にし、薬に使う薬草を育てましょう 」
マオ
「 住む場所は確保したけど、空いてる土地も使うのか? 」
セロフィート
「 野菜,果物,穀物も栽培します。
資金を増やす為にも販売しましょう 」
マオ
「 ははは……。
何時ものパターンか。
此処でもキノコン、大活躍だな 」
セロフィート
「 後はキノコンに任せて、マオとワタシは村人に挨拶回りしましょう 」
セロが古代魔法を発動させると、地面に魔法陣が現れる。
≪ キノコン王国 ≫で暮らしているキノコンを呼び出す為の召喚陣だ。
召喚陣から1体のキノコンが現れる。
キノコン
「 お待たせ致しましたエリ。
お呼び頂き有り難う御座いますエリ 」
セロフィート
「 このリストに書いてある作業を同時進行で進めなさい 」
キノコン
「 畏まりましたエリ 」
セロから手渡されたリストを受け取ったキノコンは、ビシッと敬礼を決める。
分身体を出す為に体をリズミカルに上下へ動かし始めた。
分身体を出せば、手分けをして作業に取り掛かれるし、同時進行も出来るんだ。
セロフィート
「 マオ、行きましょう 」
マオ
「 うん。
キノコン、頑張ってな! 」
キノコン:本体
「 行ってらっしゃいませエリ 」
キノコンに見送られながら、セロと一緒に空き家を後にした。