⭕ 聖女とは 1
──*──*──*── 新居
──*──*──*── 食堂
ドアを通ると《 新居 》の[ 食堂 ]に出る。
秒で着いちゃうって便利過ぎるよなぁ~~。
セロは来てないみたいだ。
まぁ、セロは人形だからな。
抑食事をする必要が無い。
オレに合わせて態々必要の無い食事をしてくれてるに過ぎない訳で──。
別に合わせる必要なんて無いのに、オレに付き合ってくれてるんだよな。
人形の腹の内なんて分からないけど──、意外と優しいんだよなぁ……。
だからセロの “ 特別 ” だって勘違いしてしまう。
キノコン:本体
「 マオ様、お帰りなさいエリ。
出来立ての料理を御運びするエリ 」
マオ
「 有り難な。
セロは来ないんだな…… 」
キノコン:本体
「 セロフィート様は錬金術師として “ 超越者の石 ” を錬成中ですエリ 」
マオ
「 へぇ?
結構時間が掛かるんだ?
セロならパパっと作っちゃいそうだけどな 」
キノコン:本体
「 セロフィート様も万能では無いですエリ。
“ 超越者の石 ” の錬成は “ 賢者の石 ” を錬成するよりも遥かに難しいですエリ。
成功率も大幅に下がりますエリ 」
マオ
「 何か大変な作業なんだな…… 」
キノコン:本体
「 セロフィート様は、マオ様の為に頑張ってますエリ 」
マオ
「 オレの為に?
オレは『 超越者の石が欲しい 』なんて言って無いけどな。
キノコンから聞くまで存在すら知らなかったし…… 」
キノコン:本体
「 マオ様は忘れっぽいですエリ~~ 」
腰エプロンを付けているキノコンが[ 厨房 ]へ下がると、何も付けていないキノコン達が出来立ての料理を運んで来てくれる。
次々とボリューミーで美味しそうな料理が食卓に並べられる。
何れから食べようか迷っちゃうな~~♥️
マオ
「 いただきます! 」
両手を胸の前で合わせて合掌してから、〈 大陸神 〉へ食前の感謝の祈りを簡潔に捧げる。
出されたスープを平らげてから、食事を始めた。
マオ
「 ふぅ~~(////)
美味しかったぁ♪♪♪ 」
キノコン:本体
「 お粗末様でしたエリ 」
マオ
「 謙遜しなくて良いよ! 」
キノコン:本体
「 建前の返答ですエリ。
此方が今晩のデザートですエリ 」
マオ
「 ゼリーか?
綺麗な色をしたゼリーだな。
紫色って事は葡萄かな? 」
キノコン:本体
「 ご想像に御任せしますエリ 」
マオ
「 葡萄じゃないのか? 」
結局キノコンは何を使って作ったゼリーなのか教えてくれなかった。
林檎に似た様な味がしたけど──、林檎じゃない事だけは分かった。
もしかして……怪物を使ったゼリーとか??
ほら、漫画とかアニメで見た事ある!
シュンシュンに付き合わされて見ただけなんだけど……倒した怪物を使って調理する漫画が有って──、アニメ化もされてた。
タイトルは忘れたけど、スライムを使ってゼリーっぽいのを作ってた!!
他の漫画やアニメでもスライムって、ゼリーだけじゃなくてアイスにもなってた気がする。
発想が凄いよな。
何でスライムでアイスが作れちゃうんだよ……。
漫画やアニメにツッコむなんて野暮な事だって分かってるけど、アイスになる迄の工程が分からん。
キノコンに頼んだらマジで作ってくれそうで怖い。
オレは普通に牛乳を使って作られた無難なアイスクリームで良いんだ。
1人で夕食を終えたオレは、食後の感謝の祈りを簡潔に捧げて[ 寝室 ]に入った。
──*──*──*── 夫婦の寝室
[ 自室 ]に居てもする事が無いからな~~。
[ 寝室 ]のベッドの上に仰向けに寝転がって天井を見る。
天井には妖精の翅を生やしたキノコンがファンシーな魔法のステッキらしきモノを掲げている絵が描かれている。
キノコンが掲げているファンシーな魔法のステッキらしきモノからは、虹色の光が放たれていて黒い靄を隅へ追いやっている。
ファンシーな魔法のステッキらしきモノを掲げているキノコンの絵の右横には、神々しく描かれた〈 大陸神 〉らしき人物から、キノコンがファンシーな魔法のステッキらしきモノを与えられる場面が描かれている。
その右横には黒い靄が人々を苦しめている絵が描かれている。
マオ
「 何だよ、これぇ~~~~ 」
おっと、思わず声が出ちゃったよ(////)
妖精みたいな翅を生やしたキノコン──。
これは明らかに何か やらかそうとしてる合図なのか!?
未だ諦めて無かったのかよ。
キノコンが空を飛べる様になったら地上だけじゃなくて、上空でも最強の怪物になるじゃないかよ。
空まで制するキノコン──、恐ろしいな!!
上半身を起こしたらベッドから降りる。
[ 寝室 ]を出て[ 食堂 ]に戻った。
──*──*──*── 食堂
マオ
「 キノコン、一寸さ聞きたい事が有るんだけど── 」
キノコン:分身体
「 マオ様、どうされたエリ。
デザートのおかわりですかエリ? 」
マオ
「 あ…いや、そうじゃなくてさ──。
[ 寝室 ]の天井に描かれてる絵の事なんだけど── 」
キノコン:分身体
「 あれですかエリ。
あれは≪ エンデカル公国 ≫に布教する為、絵本に描く挿し絵ですエリ 」
マオ
「 ≪ エンデカル公国 ≫に布教する絵本??
≪ エンデカル公国 ≫には聖女が出生した≪ マーリマ村 ≫が在るけど?
翅を生やしたキノコンを布教するなんて事して大丈夫なのか? 」
キノコン:分身体
「 大丈夫ですエリ。
妖精キノコンは〈 大陸神 〉から地上へ遣わされた “ 御遣い鳥 ” ですエリ 」
マオ
「 御遣い鳥??
鳥ぃ!?
幾ら何でもキノコンを “ 御遣い鳥 ” って言うのは流石に無理が有るんじゃないかな~~ 」
キノコン:分身体
「 問題無いですエリ。
妖精キノコンは正体がバレない様に普段は可愛い文鳥の姿で聖女に囀ずりますエリ 」
マオ
「 文鳥の姿ぁ? 」
キノコン:分身体
「 そうですエリ。
文鳥の姿で聖女をサポートしますエリ。
聖女は文鳥の姿の妖精キノコンを〈 大陸神 〉から地上へ遣わされた “ 御遣い鳥 ” として認識し、共に世界浄化の旅をしますエリ。
聖女は〈 大陸神 〉から地上へ遣わされた “ 御遣い鳥 ” に選定された “ 御使い ” として世界で活躍しますエリ 」
マオ
「 捏造が半端無くヤバいな 」
キノコン:分身体
「 キノコンの存在を浸透させるには〈 大陸神 〉に乗っかるのが1番ですエリ。
聖女を崇め奉る現在の信仰は、今は亡き聖女を神格化させてますエリ。
人間の霊を神格化させ、神として崇め奉る信仰は〈 大陸神 〉を蔑ろにし、冒涜してますエリ。
間違った信仰は正す必要が有りますエリ。
あくまでも聖女とは【 〈 大陸神 〉から地上へ遣わされた “ 御遣い鳥 ” に選定された “ 御使い ” として世界浄化に貢献した信仰心の強い尊い少女であった 】という事実を弘めますエリ 」
マオ
「 事実じゃなくて捏造だよな? 」
キノコン:分身体
「 事実にしますエリ。
この時代の人間はチョロいですエリ。
奇蹟を見せればコロッと騙されてくれますエリ 」
マオ
「 えぇ~~。
でもさ、魔法が使えるのに奇蹟を起こしても驚かれないだろ。
回復魔法だって見方を変えたら奇蹟みたいなものだし…… 」
キノコン:分身体
「 人間が使える魔法は “ 元素魔法 ” だけですエリ。
“ 超越魔法 ” や “ 古代魔法 ” を見せれば、人間は “ 神の奇蹟 ” だの “ 神の御業 ” と言って平伏しますエリ 」
マオ
「 平伏って…… 」
キノコン:分身体
「 準備は着々と進んでますエリ。
手始めに≪ ヒッドユ村 ≫に立派な《 教会 》を建てますエリ。
《 教会 》には妖精キノコンの石像も建てますエリ 」
マオ
「 立派な石像を作るんだ? 」
キノコン:分身体
「 石像には色を塗りますエリ。
翅は特殊な素材で作り、光の加減で様々な色に見える様にしますエリ。
完成を楽しみにしてくださいエリ 」
マオ
「 色付きの石像か。
出来上がりが楽しみだよ 」
◎ 訂正しました。
アニメかもされてた。─→ アニメ化もされてた。




