✒ 出逢いもん 2
──*──*──*── ヒッドユ村
──*──*──*── 薬屋
──*──*──*── 療養室
別のキノコンが[ 空き部屋 ]を[ 療養室 ]に模様替えしてくれた御蔭で、直ぐに春加さんをベッドに寝かせる事が出来た。
≪ 日本国 ≫出身の日本人って事で、[ 療養室 ]は日本人に合わせて配慮されている。
当分の世話はキノコンがしてくれる事になった。
マオ
「 早く目を覚ましてくれると良いな 」
妖精チック
〔 うん……。
そう言えば、何で君達は≪ 日本国 ≫を知ってるんだい?
転移とか召喚にも詳しいみたいだし…… 〕
マオ
「 そうだよな。
そう思っちゃうよな。
何て言ったら良いんだろうな? 」
キノコン:分身体
「 大陸転移魔法を使って来たエリ。
セロフィート様は並みの錬金術師とは違うエリ。
≪ 日本国 ≫で長く生活をしていた事も有って、≪ 王都 ≫での生活は合わなかったエリ 」
キノコンは呼吸をする様に嘘を交えて話をする。
まぁ、確かに≪ 日本国 ≫で長く生活をしていた事も大陸転移魔法を使って来た事も事実だ。
≪ 王都 ≫には行った事も無い。
オレ達が≪ 日本国 ≫を知ってる理由が判明すれば良いんだから、少しぐらい嘘が交じっていても問題は無い筈だ。
妖精チックは〔 錬金術師って凄いんだね~~ 〕と素直に信じて感心している。
一寸だけ罪悪感に苛まれちゃうな。
妖精チック
〔 ≪ 日本国 ≫でも錬金術師だったのかい? 〕
マオ
「 まさか!
≪ 日本国 ≫で “ 錬金術師 ” なんて如何にもファンタジーな職業は無いだろ。
“ 手品師 ” をしてたんだ。
手品師には資格も免許も必要ないし、気軽にネットで動画配信も出来たからさ 」
妖精チック
〔 ネットで動画配信が出来るって事は、春加とボクが暮らしていた≪ 日本国 ≫と時代が近いのかな~~ 〕
キノコン:分身体
「 御互いに≪ 日本国 ≫の情報を交換してみるエリ。
同じ時間軸を生きていたかも知れないエリ 」
マオ
「 それ、面白そうだな!
チック、やってみよう 」
妖精チック
〔 うん!
ボクも興味有るよぉ~~ 〕
妖精チック,オレ,キノコンは場所を変えて話す事にした。
妖精チックが知っている≪ 日本国 ≫の話とオレ達が知ってる≪ 日本国 ≫の情報を出し合って比べてみたら──、妖精チックと春加さんは、オレが居た≪ 日本国 ≫よりも数十年後の未来から転移魔法されて来た事が分かった。
妖精チックがキノコンの存在を知っているのは、未来の≪ 日本国 ≫でキノコンと関わっていたからみたいだ。
同じ時代だったらセロの大陸転移魔法を使って≪ 日本国 ≫に帰せたかも知れないけど──、未来の時代から来たのなら、残念だけど大陸転移魔法で未来の≪ 日本国 ≫へ帰す事は出来なさそうだ。
まぁ、一応それとなくセロには相談してみようと思う。
もしかしたら別の方法が見付かるかも知れないからな!
妖精チックから聞いた話だと、チックと春加は《 駅 》から《 宿泊施設 》へ向かう途中で転移召喚に巻き込まれたらしい。
《 駅 》なら利用客が多いから、他にも巻き込まれた日本人が居るかも知れない。
この世界に転移召喚をされた日から昨日迄の旅では、日本人らしい人物には会ってないみたいで──、今日が初めてらしい。
因みに春加さんは≪ 日本国 ≫では28歳だったらしく、転移召喚された時には14歳の姿になっていたらしい。
チックと共に冒険者に登録していて、冒険者として依頼を受けては生計を立てているみたいだ。
この世界に転移召喚されて約30年は経っているらしいけど、容姿は変わらず14歳のままらしい。
転移召喚された時の影響でも受けてる──って事かな?
何の目的で、誰に召喚されたのか未だに分からないらしい。
≪ エンデカル公国 ≫には約5年程前に入国したらしい。
どうやら転移召喚されたのは別の≪ 国 ≫みたいだな。
だけど、召喚儀式が可能らしい≪ 神都ミリスムルパ国 ≫には行った事も無ければ、名前を聞いたのも初めてらしいから別の≪ 国 ≫って事になる。
チックと春加さんが自分達の時代に帰れる日が来ると良いな。
≪ 日本国 ≫出身の誼として、何か手伝える事が有れば良いんだけどな~~。
マオ
「 チックと春加さんは何で馬車に乗ってる状態でローブ男達に襲われてたんだ?
然も、“ 聖女出生の地 ” って言われてる≪ マーリマ村 ≫と “ 辺境の村 ” って言われてる≪ ヒッドユ村 ≫の間のフィールドで── 」
妖精チック
〔 それはボク達が聞きたいくらいだよ~~。
春加とボクは《 冒険者ギルド 》で依頼を受けただけなんだよね~~。
≪ リンサドの町 ≫の出入り口に馬車が停まっていてさ、依頼を受けた春加とボクを乗せてくれたんだよね~~。
依頼場所は遠いから馬車で送ってくれる事になっていたのにさ~~。
≪ マーリマ村 ≫を出た後で、ローブの男達に変わってさ、馬車を襲って来たんだから、訳が分からないよ~~ 〕
マオ
「 依頼を受けた時から “ 仕組まれてた ” って事か?
“ 襲った ” って事は、初めから春加さんを狙って──。
それとも妖精のチックが目当てだった? 」
キノコン:分身体
「 仮に春加さんを亡き者にしても妖精を手に入れる事は出来ないエリ。
妖精からは触れても、人間からは妖精を触れないエリ。
捕まえる事も出来ないエリ 」
マオ
「 確かにな──。
でもさ、それで欲深い人間が諦めたりするかな?
実体化してる貴族がチックを欲しがって企てられた計画だとしたら──。
今度は魔法を駆使して襲って来るかも知れないぞ 」
キノコン:分身体
「 有り得るエリ。
貴族はねちっこくてしつこいエリ。
目的を果たす迄は諦めないかも知れないエリ 」
マオ
「 大問題だな。
これからも狙われ続ける可能性が有るって事か。
≪ エンデカル公国 ≫から出れば狙われる事も無くなるだろうけど── 」
妖精チック
〔 神聖力を使えば、春加を守護るのは簡単だよ~~。
≪ 国 ≫を出ちゃっても盗賊とか山賊とか居るからね、心臓の調達は出来ると思うけど、長くは続かないかもだよ~~。
何時でも出会える訳じゃないしぃ~~ 〕
マオ
「 定期的に何処かの≪ 国 ≫に立ち寄る必要が有る訳だな 」
キノコン:分身体
「 マオ様、もう直ぐ夕食の時間になりますエリ。
《 新居 》へ帰ってくださいエリ 」
マオ
「 もうそんな時間なんだな。
チックも来るか? 」
妖精チック
〔 ボクは春加の傍に居るよ。
春加の半径5m以内がボクの行動範囲なんだ~~ 〕
マオ
「 春加さんから “ 離れられない ” って事だな 」
キノコン:分身体
「 チックさんの食事は《 薬屋 》の[ 厨房 ]で作るエリ 」
マオ
「 宜しくな、キノコン 」
妖精チック
〔 わぁい♥️
実体化してからは心臓以外も食べれる様になって楽しみが増えたんだよねぇ~~。
キノコン、囲碁が出来るならボクの相手をしてほしいな~~ 〕
キノコン:分身体
「 勿論エリ。
お相手するエリ 」
どうやらキノコンとチックは打ち解けれそうだな。
チックの事もキノコンに任せようと思う。
オレはキノコンとチックに挨拶をしてから、ドアを通って《 新居 》へ帰った。




