──*──*──*── 未開の地
──*──*──*── 森の中
護衛のキノコン達に囲まれながら≪ ヒッドユ村 ≫に在る《 薬屋 》を目指して歩く。
遭遇する怪物はキノコン達が倒してくれる。
ワンパンじゃなくてデコピンで一撃なんて、流石は地上最強の怪物だ。
あの手でどうやってデコピンをするのかは謎だけどな~~。
倒した怪物はキノコン達が笠に入れて回収している。
オレが手当てした魔国人を襲った怪物もキノコン達が倒してくれた。
途中で魔国人達の喰い散らかされた死体の残骸を見付ける。
ちゃんと弔ってあげたい事をキノコン達に伝えたら、態々集めて回収してくれる。
セロに頼んで〈 テフ 〉で肉体を構成したら、お墓を作って弔とむらってあげたい。
幾いくら土自然に還るからって、野の晒ざらしはな……。
土ど葬そうにしても良いいけど、飢えた動物や怪物モンスターが掘り起こして死体を喰たべてしまう事もある。
火か葬そうする事に抵抗感を抱いだく人間も居いるだろうけど、社会秩序を維持する為にも亡くなった先祖を尊とうとび、子孫として遺体の尊そん葬そうをするのは大事な行おこないだ。
自分の先祖の歴史を知り、先祖との繋がりを子孫へ残す大切な儀式の1つ。
セロの受け売りだけどなぁ~~。
セロの言う事だから何ど処こまで本ほん当とうか分からないけど、悪わるい事ことをする訳じゃないもんな。
セロって矛盾する事してるよな~~。
《 墓地 》は《 洞どう窟くつ 》の近くに作ってもらおうかな?
森の中を移動すると怪物モンスターに遭遇して危ないから、《 洞どう窟くつ 》に道みちを作って《 墓地 》へ行ける様ようにしてもらった方ほうが安全に墓参りへ行けるよな。
《 墓地 》には動物や怪物モンスターが入はいって来きて荒らさない様ように結界を張らないとな。
村そん民みんからも見付からない様ようにしないと。
見付かったら荒らされる処どころか壊され兼かねないし!
──*──*──*── ヒッドユ村
漸ようやく≪ ヒッドユ村 ≫に到着した。
キノコン分身体の1体が先さきに≪ 森 ≫から出でて、《 薬屋 》の裏うら口ぐちへ向かう。
キノコン分身体が裏うら口ぐちのドアを開あけてくれる。
残りのキノコン分身体達が周囲を見張ってくれている間あいだに怪我人を支えながら《 薬屋 》の中へ入はいる。
──*──*──*── 薬屋
裏うら口ぐちのドアを開あけてくれたキノコン分身体が[ 空あき部べ屋や ]へ案内してくれる。
どうやら伝達を受けた別のキノコン分身体が[ 空あき部べ屋や ]を使える様ようにしてくれたみたいだ。
有能過ぎて助かるぅ~~。
キノコン:分身体
「 此方こちらの[ 空あき部べ屋や ]を[ 療りょう養よう室しつ ]へ模様替がえしましたエリ。
気持ちを落ち着けて癒いやされる空くう間かんをイメージしましたエリ。
[ 療りょう養よう室しつ ]で和なごめる様ように “ 純じゅん和わ風ふう ” を取り入いれてみましたエリ 」
マオ
「 キノコン、有あり難がとな。
裸はだ足しで過ごせる様ように床じゃなくて畳たたみにしてくれたんだな 」
キノコン:分身体
「 ベッドや家具を置く部分だけ床にしてますエリ。
此方こちらは寝ね間ま着き様ようの浴衣ゆかたですエリ。
上うえに羽織る半はん纏てんですエリ。
室内の温度は魔ま国こく人じんの過ごし易い温度に設定してますエリ 」
マオ
「 何なにから何なにまで有あり難がとな 」
キノコン分身体に手伝ってもらって、怪我人が着ているバスローブを浴衣ゆかたに変える。
安静に休める様ようにベッドへ寝させた。
マオ
「 ふぅ……。
《 洞どう窟くつ 》の改装が終わる迄、この[ 療りょう養よう室しつ ]で過ごしてくれな 」
怪我人
「 σπωλйёы 」
キノコン:分身体
「 怪我人の御世話はキノコンが責任を持ってさせて頂きますエリ 」
マオ
「 有あり難がとう、キノコン。
怪我が完かん治ちして元気になる迄、宜しくな。
オレも時間を作って会いに来くるよ 」
キノコン:分身体
「 療りょう養よう中ちゅうに≪ エンデカル公国 ≫の現状を教えますエリ。
何なにも知らないよりは知っている方ほうが役に立つエリ 」
マオ
「 それもそうだな。
≪ 未開の地 ≫で永えい住じゅうするつもりなら、≪ エンデカル公国 ≫の言葉の読み書きも出来ないとだよな。
原げん住じゅう民みんとして何なんとか村そん民みん達を誤魔化せないかな? 」
キノコン:分身体
「 セロフィート様への報告として上あげときますエリ 」
マオ
「 頼むな。
オレからも相談してみるから 」
キノコン:分身体
「 心得ましたエリ 」
マオ
「 そう言えば、未まだ名前を聞いてなかったよな。
呼ぶ度たびに “ アンタ ” じゃなあ。
名前、教えてくれないかな 」
怪我人
「 αεποй=ъσя=ечгнл=тпчсх 」
マオ
「 えと……長いし発音が難むずかしくて何なんて呼んだら良いいんだ?? 」
キノコン:分身体
「 マオ様、“ アスさん ” で通つうじますエリ 」
マオ
「 アスさん?
超ちょう短みじかっ!
えぇと──、“ アスさん ” で良いいかな? 」
アスさん
「 пρнейσ 」
マオ
「 良いいんだ。
じゃあ、今から “ アスさん ” って呼ぶな。
オレの事は “ マオ ” で良いいから。
キノコン、アスさんの事、宜しくな 」
キノコン:分身体
「 お任せくださいエリ。
マオ様、森へは入はいらないでくださいませエリ。
お散歩は≪ 村ヒッドユ ≫の中だけに留とどめてくださいエリ 」
マオ
「 ≪ 村ヒッドユ ≫の外そと──周辺は駄目なのか? 」
キノコン:分身体
「 必ずキノコン分身体を1体、お供に付けてくださいエリ。
1人では駄目ですエリ 」
マオ
「 分かったよ。
≪ ヒッドユ村 ≫以外にも≪ 村むら ≫ってないのか? 」
キノコン:分身体
「 マオ様……。
≪ マーリマ村 ≫が在りますエリ 」
マオ
「 マーリマ村?? 」
キノコン:分身体
「 “ 神護の樹き ” が在る≪ 村むら ≫ですエリ。
≪ マーリマ村 ≫は “ 聖女出しゅっ生せいの地 ” と呼ばれて有名ですエリ 」
マオ
「 聖女出しゅっ生せいの地??
この≪ 大陸 ≫って聖女が居いるんだな 」
キノコン:分身体
「 今から約280年前まえの事ですエリ。
とっくの昔に聖女は死んでますエリ 」
マオ
「 だろうなぁ~~。
≪ マーリマ村 ≫かぁ。
行ってみたいな。
因ちなみに現在、聖女は居いるのか? 」
キノコン:分身体
「 いませんエリ。
聖女と言っても要ようは、“ 超能力者 ” の事ですエリ。
“ 超能力者 ” は滅めっ多たに生うまれませんエリ 」
マオ
「 聖女の正体は超能力者なのかよ。
種明かしされちゃうと浪ロ漫マンを感じないなぁ~~ 」
キノコン:分身体
「 現実は そ・ん・な・も・ん・ですエリ 」
アスさんの事はキノコン分身体に任せる事にして、オレは[ 療りょう養よう室しつ ]を出でた。
未まだ昼食ランチ前まえか。
≪ ヒッドユ村 ≫を出でて、周辺を回ってみようかな。