サドミスト教
ヨシダ村に到着すると、さっそく協会に向かった。
教会につくと、まず、アルスタが話をつけるために先に行った。
若く愛想のいい修道女が迎えてくれた。
アルスタと知り合いなのか、親しそうに話している。
話し終えると、アルスタは教会内に入っていき、修道女はわたしの方に向かってきた。
かわいい。。。
「ようこそ、サドミスター教会へ。 ずいぶんな苦労があったのですね。でも、もう大丈夫です。
安心してください」
優しい声だ。
何が安心って食って掛かりそうなところを抑えた。
修道女はつづける。
「私はこの教会で、修行中のミーコと申します。
私も遠くから魔法陣で飛ばされてきましたが、司教様に救われ、仕事と住まいもいただきました。不安なことも多いでしょうが、きっと我が神サドミスト様に護っていただけます。
まず、司教様に紹介いたしますので、ついて来てください。」
ミーコについて教会内に入っていった。
教会の廊下を進むと、祭壇があり、その前でアルスタと司教が祈りをささげている。
厳粛な雰囲気だが、小声でミーコに、何をやっているのか聞いてみた。
「アルスタ様は、治癒魔法の修行を開始するので、サドミスト様にご挨拶をされているのです。」
「ああやれば、魔法が使えるようになるんですか。魔法なんか本当にあるんでしょうか?」
私の疑問にミーコは穏やかに小さな声で、我々も魔法でこんな場所に運ばれてきた事を諭すように言った。
祈りが終わったところでミーコが司教に声をかけた。
我々が魔法で全く知らない場所から、ここに転送されたこと。
ここには、仕事も、寝る場所も、生きるすべすらないことを伝えてくれた。
「私はこのサドミスター教会の司教を務めるアンジーです。
たいへんな状況に巻き込まれたのに、よくここまでたどり着いてくれました。
まず、今日は、この教会に泊まっていただいて大丈夫です。
案内はミーコが致しますので、ご安心ください。
仕事については、それぞれの適正に合わせて、働き口を紹介いたしますが、お二人とも大きな魔力を備えておられますね。
魔力を生かせる仕事をすれば、自立までの期間を大幅に短縮できるので、鑑定いたしましょう。
そこの台の前に来てください。まず、あなた。」
司祭は牧加東を招いた。
台を挟んで司教と牧加東が立つと、台が光り始めた。
「あなたからは空気を操る魔力が感じられます。心の中で、草原を駆け抜ける風をイメージしてください。」
牧加東君から穏やかな風が流れてきた。
魔法だと!?
どういう仕組みだ?
何か仕掛けがないか?
きょろきょろしていると、司祭に招かれた。
司教の前にある祭壇を確認しながら、先ほどの牧加東君と同じ立ち位置に立った。
台が光りだし、目の前が真っ白になった。
司祭の声が聞こえてくる。
「これは珍しい、あなたからは重力を操る魔法が感じられます。
心の中で重力を強めるイメージをしてください。」
何の変化も見えないが、周囲の雰囲気が重たくなったような気がする。
これが魔法?
私騙されてる?
司教は穏やかな声で告げる。
「サドミスト神を信じて、これから修行していけば、より強く、より多彩に魔法が使えるようになっていくでしょう。 この魔法も含めて、あなたたちに仕事を紹介いたします。
今日は、お休みください。 ミーコ、この人たちを案内してください。」
アルスタを含めた私たち3人は、ミーコについて、礼拝堂から外に出た。
残された司教は、考えている。
風魔法は引く手あまただが、重力魔法はどこに紹介したものか、、、、魔法を活かせる仕事があればいいのだが、、、、
一方私たちは、教会内を案内され、食堂で食事をし、各自の部屋で眠りについた。
夜は更けていき、眠りについた。
これは、夢で、目が覚めたら、元の世界に戻れていないかな・・・・