誕生日ケーキ作戦
青い屋根の小さな喫茶店に、双子の店員さん、メイとアンがいます。メイがオーナーさんでアンがウェイトレスさん。この日は町にすんでいる警察官のケビンの誕生日です。いつも町を守ってくれているケビンをビックリさせたくて、二人は手作りケーキをプレゼントしる事を計画していました。ところが、誕生日パーティーを盛り上げる物がどこにもありません。「メイ、見つかった?」「ダメ。隣町まで行ったけど、どこのお店も売り切れだって」二人とも昨日からずっとソレを探し回っていますが、全然買えずにいます。町を歩き回りヘトヘトですが、二人は我慢してお店じゅう探し続けて行きます。「「あっ!」」メイ、アンは声をそろえて同じ場所を見ました。そこには町の人たちに声をかけるケビンがいます。「ケビンさん、お年寄りの人に避難場所を教えているわ」皆を親切に案内するケビンを見て、メイもアンも余計にケビンの誕生日を祝いたくなりました。「大変そう。でも、だからこそ手作りケーキ、プレゼントしたい」「したいよね。このところ色んな場所で災害や地震が起きてるから、ケビンさんも他のお巡りさんやレスキューの人たちに日頃のお礼をしたい」「でも……アレが、キャンドルが品切れで買えない……」災害のせいで電気が通らなくなって町の人たちは皆、キャンドル生活を続けています。二人が買いたいのはキャンドルです。誕生日の必要アイテム、ハッピーバースデーを歌い終わり、次にキャンドルの火を吹き消す……その時の盛り上がりは最高ですよね。でも誕生日と災害が重なってしまって、キャンドルが品切れならばどうしようもありません。「キャンドル無しでケーキだけでも渡しに行きましょうか……」「ソレはソレでお祝い出来るわね……」ションボリトボトボ喫茶店へ戻ろうとする二人は、フルーツ売りの屋台引きと出会いました。「「!」」その時、名案が浮かび、ガッカリした気持ちが明るくなったのです。
一段落ついて交番に戻ったケビンを、ニコニコ顔のメイとアンが出迎えました。「あれ?喫茶店のお二人さん。どうしました?」不思議そうにするケビンの目の前に、大きな箱を二人で抱えメイ、アンは声を重ねました。「「ケビンさん、ハッピーバースデー!」」箱が開かれ中にあったのは、ケビンの年と同じ数だけ並べたイチゴのケーキ……イチゴをキャンドルの火に見立てた誕生日ケーキを二人は考えたのです。「え……嬉しいけど、皆さんが大変な時に本官だけがこんな……」自身より町の人たちを心配するケビンにメイ、アンが言ってのけます。「大変なのは、ケビンさんも同じ」「毎日お休みの日もお仕事してるの知ってますから」町の人たちに申し訳ないと思う気持ちと同じくらい、ケビンに喜びの気持ちが芽生えてきました。「忘れられない誕生日になったよ。ありがとう!」「「改めてケビンさん、ハッピーバースデー!」」