表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢と言わせて  作者: 古城朔
1/1

〜大学生2年の初夏〜

初投稿作品、愛を込めて作ります。

気軽に読んでいただきつつ、現代の恋愛物語にも関心を惹けるような内容に。



1.夏休み


 2006年7月、夏期講習を終えた僕は田舎のおばあちゃん家に来ていた。毎年夏休みに僕だけがおばあちゃんの家に行き、手伝いをするのが恒例行事で、その間両親は、仕事へ行っている。おばあちゃん家では今時、扇風機と氷で体を冷やし、夏の暑さを凌いでいる。

腰痛持ちのおばあちゃんが持てない氷を僕が銀のタイルの上に乗せようとしたら、足を滑らせた。


その光景を見てたおばあちゃんが


「あんたは相変わらずドジじゃのぉ、力も無いし、じいちゃんに比べたら月とスッポンの差ね」


いつもおばあちゃんは僕に対していつも毒舌。



優しさが仇となった…なんで僕にばっかりこうなんだ…


何も返事せず、畳の部屋で横になってると、つい睡魔に襲われてしまう。そして、僕はそのまま眠りについてしまった。



…しばらくしてから、激しい痛みで飛び起きた。



「痛っ!!」


なんの痛みかと思い飛び起きると、顔を真っ赤にしたおばあちゃんが目の前にいた。


「あんたは何を呑気に昼寝しよんのか!、早よ畑仕事手伝わんね!」


おばあちゃんの手には、ハエ叩きを持ち、何回も僕の頭を叩いてきた。


「分かったよ…何回も叩かないでよ…」


「叩いとらん!早よ行かなまたばぁちゃん叩くよ!」


そう言いながらまた僕を叩いた。


こんな威勢のいいおばあちゃんは他にいないだろう。


刃向かってもろくなことにならないのは目に見えてるため、僕は足早に畑に向かった。




畑仕事を終え、携帯の時刻を見ると16時を過ぎていた。


僕は、収穫したてのきゅうりを食べながら、家路を辿っていた。


今年も新鮮なきゅうりが取れたなぁ〜


なんて呑気に思いながら、のこのこ歩いていると、向かいから人影が見えた。

徐々に近づくと、麦わら帽子と、水色のシャツを羽織る女性が現れた。

すれ違いざまに、目を合わせると彼女は僕に微笑み返してくれた。

心奪われている隙に、彼女は消えていってしまった。


…なんて素敵な女性がこんな所にいるんだ…



男友達としか遊んで来なかった僕は、ぎゅっと胸が苦しくなった。


あ…あの人は誰なんだろう…毎年帰省してるのに初めて見た…あんな綺麗な人


独りで空想に浸りながら、夕焼けが消えかける頃おばあちゃん家に着いた。


洗濯をしても、ご飯を食べても、何をしても、

彼女の顔が離れなかった。


「もう夜も遅いから、早よお風呂入ってき」


「はーい。あ、おばあちゃんの服タンスにしまっといたよ。」


「ありがとう、お風呂から出てきたら牛乳飲んでええからね」


「はーい」


珍しくご褒美を貰って嬉しいが、やっぱり彼女が離れられない。


風呂に入り、牛乳を飲みながら部屋の窓から夜空を見上げた。久しく空を見ることがなかったからか、少しだけ感動した。



あ、奴らにも見せてやろう。



携帯を取り出して、半月と夜空に浮かぶ星を撮った。瞼が重たくなり、持っていたコップを置いて、ベットに吸い込まれていった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ