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逃げ出した理由と奇縁

旧ディスピカブル・ギイジャロッカ統括地区・召喚者領を再建することになった

「ラブリュスさん、こっちの素材はどうすればいいですか?」「わかんないから適当に山積みで!あぁなんで私が!」王の命により、領主主導の元再建が始まったがラブリュスが投げだして一般人立ち入り禁止にしてもらった研究室の方に入ってきた

「僕も忙しいんだから来ないでよ。ほら、領主様頑張って」「えぇーひーすーい!そもそもあんんたの友達でしょ!」「やだよ、うんしょっと。ヴェートルとりあえずこれで最後だぞ」荷物を下しヴェートルに声をかけた。『システム再起動。分離機能停止』

「んじゃ、俺は今からヴェートルと魔法具の調整に入るから。ほーらがんばがんば」ラブリュスを追い出し、調節を始めた。空気中に分散している微電子を受け取る装置。儲ける為には中に入れるより大型にして世界に廻らす方がいいだろうと、でかいのを用意した

「これをどうやって繋ぐかだな。電気設備を狙われると逆に弱点ともなるしな……そうか、記憶回路接続」ヴェートルに直接アクセスし記憶回路から適切解を導き出した。

「壊れないようにし、別々に配布か。複数させるのもを安く売ってと」記憶領域に書き込み、試作機をいくつか試す。「こうやって刺せば、おーちゃんと光るな」

夕方には終わったと報告が入った。

「ラブリュス、この道具の使い方を教えるから王様に売りつけれないか?」天井に取り付けるタイプのライトと供給機試作型を渡した。「えっとこうして、こう?おお!魔石より便利だ。師匠も言ってたし売れるかもね」「ん?師匠が何言ってたんだ」「一緒に旅したんじゃないのー?あ、ひすいは男の子だからかな?魔石の光って肌に悪いんだよ」「そうだったのか?!」

ヴェートルの情報から疑似の顔を作りラブリュスに付き添うことにした。売り込み自体はスンナリいったが技術の譲渡もしくは共同開発の打診をされラブリュスが叫んだのは言うまでもない。

試し購入として日本円で120万程の収益になったが、到底足りないし。それに死亡扱いになった今この国で行動するにはデメリットの方が大きい。その為、ヴェートルのサブ機を一機用意し旅立つことにした。

「ってわけだ。ラブリュスには悪いけど頑張ってね」「いやだ!私も一緒に出掛けたいよー!ねぇ、いいでしょ」「だめだ、それにまた何かあったら戻ってくるから。そんな顔しないでよ」「だって、だって……師匠が居なくなってから私はずっと一人で切り盛りしてたのよ、もともと長寿だけど時間感覚はみんなと変わらないのよ。人生のたった数回しかない楽しい思い出を」泣きじゃくりながら腰に纏わりつくラブリュス

「ラブリュス……」「だって師匠も今のヒスイみたいに何気なく出かけて…」「今回はヴェートルもいるんだ。わかったよ、定期的に戻ってくるから」「ほんと?」「うん、約束だ」

無理やり説得し研究室を後にした。前回の事で死亡者リストに名前が載っているからアイツらに顔見せるのも不可能だろう。

「ヴェートル行くぞ!飛べたよな確か?」『YESマスター。システム起動します。エネルギー充填完了。サブシステムに委託』地面を蹴るように飛び上がり鳥のように進んでいく。そして大型の鳥と衝突した

『警告。ストール』ふらふらと地面へ落ちていった。「いてて、ヴェートル!何してんだよ」『マスター。こちらの鳥が先に仕掛けてきました』視界の端に≪アーケオプテリクス≫と映っていた『状態は混乱と気絶でしょうか?ぶつかった衝突により機能を停止しています』「これかぁー、食べれるのか?」『NOマスター。最適解は食べ物であるが我々は摂取する必要がないです』

名残惜しいが、と鳥を見捨てて森へと進んだ。薄く霧が掛かった森はひどく冷えていた。『マスター。エネルギの一部を保温に回してよいでしょうか』「どうしたんだ?」『この森は気温3度前後です。支障はありませんが前例がないため危険と判断しました』「ならいいぞ。それと最初に逢った時みたいに崩した言い方できないか?」『マスター。貴方が棒読みは嫌だと』「まぁ、気楽な感じでなら何でもいいよ」

目の前に緑色のシステムログが流れ始める。『システム。言語システム、設定完了。声質・抑揚データ。ファイルAベース』三秒ほど間が開き元の視界に戻った。『再起動の許可を』「付近に敵が居なければいいよ」『簡易索敵起動。敵なし。システム再起動開始。この動作は完了までに?!"秒掛かります』

目が自動で開き、一瞬ログが流れた。「で、ヴェートル完了したのか?」『完了したぞ少年。あは!驚くなよ、私だ私、疑似人格だけどマザーだ』「疑似人格にしては上出来だな」『まぁ安心しろ。能力の権限はお前にあるから』「一回一回の許可を省けないのか?意外と判断ミスとか置きそうなんだが」『これは言うなればセーフティーだ。疑似人格やシステム依存ほど怖い物は無いからな。そもそもお前の能力を考えずにポンと打てるようにしてるだけさ』

「そうか、意外と大変なんだな。なんでも頼りすぎたらいけないってことだな」『あぁ、それじゃ行くぞ。この辺は嫌な磁力の波があるからな』「やっぱ機械的に悪いのか」『絶妙な視界不良や思考鈍化、あとは……戦闘システム許可!』「許可する」

勝手に体が飛び上がり後ろへ下がった。『索敵範囲が半径3mほどになります』さっきまでたっていた場所には深々とめり込んだ槍があった。

「いったいこれはなんだ?」『他国の兵隊だ、しまったな凍結国家ルフォヴェランだよ……機械には辛いな』「ひぇー戦うか。それとも俺が領土不法侵入?で投降するしかないかな」『超強力な索敵をかけた結果。一個軍ではないにしろかなりの数だ』MAPに赤い点が表示された。整列した赤い点が近付いてくるのが分かる

『ヴェートルシステム変更許可を』「許可する」『ヴェートルシステム変更戦闘モード解除』ゆっくりと歩を進め、人が見えたあたりで投降の意として手を挙げた。「貴様、我々の国土で何をしている!」「悪気はなかったんです……鳥に衝突して墜落しました」「信用ならんな、一国が消え軍事演習を増やす事態になった矢先にこれだ。留置処分にする、お前ら捕縛しろ」「はぁ、いいですけど別に敵対意識とかないですよ」「それは取り調べで分かる。本日の演習はこれまで!いったん帰国するぞ」

軍隊に捕縛されたまま凍結国家ルフォヴェランの牢屋に連れていかれた。門をくぐると近くの椅子に座らされると、厳ついおっさんが出てきた。「で?どこの国から何をしに来た」見た目のわりに威圧感はなく、言葉にも怒りはなかった。『ここは商人で通せ、国に関しては。商業国家デュラスボロニアあたりを名乗っておけば当たり障りはない。安心しろ、記憶が古い物だったから一日かけて更新した』「商業の物です、デュラスボロニアから向かっていた最中なのですが」「な、お前商人か!荷物はないのか」「あ、あなた方の軍に襲撃された時に落としてしまいました」「怪しいが筋は通ってるな、とりあえず一番近い領主に話は通すからそれまで留置所だ」

ディスピカブルのとは違い、ホテルの一室を思わせる程整備された部屋に通された。扉が外鍵なのを覗けば良待遇である。

『本を読みたい、そこの本をとれ』備え付きの本棚に首が向く。マザー疑似人格に切り替わったせいか主張が激しい。「これか、捕虜の言い訳?留置されてる人間が読む本じゃないだろ」『おもしろそうだな、ここに書いてある文を供述すればなんかありそうだな』「なんでそんなに余裕なんだよ」『なんつーか、生きてた時にも似た事があったしな』「そうだった、ってそこまで話せると疑似人格というより魂じゃないのか?」『そんなことないぞ?マザー、そうだな本物の私はまだ寝ているからなぁ』「そうだった仮人格だったな」

本棚にあった本20冊ほどをすべて読み終えた。「はやいな、ヴェートルシステム?のお陰か俺も読んだ内容入ってるぞ」『まぁね、記憶領域の共有があるし』「そうかーだったらヴェートル使ってすべて読めば、簡単に覚えられるのでは?」『簡単に言うなよ。疑似人格ってのは起動してるだけで大変なのにそんな一気に本とか読んだらフリーズするぞ』「ならなんで読んだ!」『それは簡単だ、マザーの性格が抑えれないからな』「それだめじゃね?ほかの話しやすいアレは無いのか?」『お、私に不服か?』「いや、話しやすいけど好奇心強すぎってかまぁ、記憶領域同じなら言いたいことくらい分かるだろ!」『まぁ仕方ないな』

『システム。言語システム、設定完了。声質・抑揚データ。ファイルBベース。不必要データの一部処理完了。安全確認。再起動』前回よりも長いログが三分ほど流れヴェートルシステムが起動した『システムを掌握。成程、私があなたをサポートすればいいのですね』「一体どんな情緒でそのキャラをセレククトしたんだ!」『マザーが設定した没人格です。詳細データの破損を確認』「まぁいっか、大人しそうだし」

「さて、今日はもう寝るか」『わかりました。視聴覚情報オールダウン。思考システム停止。ゆっくり休んでください』

『システムセーフティ解除。メイン思考回路エネルギー充填。付近簡易索敵開始。視聴覚情報良好。擬似睡眠システム解除します』目が開くと兵士と目が合った。「ようやく起きたか。田舎者にはわからないだろうが常に日の無い我々の国に睡眠時間など決まって居ない、だから早めに来たのだが6時間も眠るとは」やれやれと今の境遇を説明する兵士、領土不法侵入者を捕らえた割に好待遇で危機感がないのは国柄なのだろうかと関心をしている俺を他所に追加の兵士がやってきた、「捕虜は起きたか?ならいい。ちょうど領主様が来ている」一人が前に、一人が後ろという形で洒落た扉の部屋に通された

「領主様、連れてきました」ひげをたっぷりこしらえた老人が椅子に座っていた。兵士に促されその老人と対面の椅子に着いた。「お前たちは下がっていいぞ」領主の言葉で兵士たちが部屋の外に去っていった。「さて、先に私から名乗るか。この国境付近の森を含む凍結国家ルフォヴェランの大部分を占める領主、ミランドロじゃ。では次はそちらじゃ名前から聞こうかの。何も聞かずにほっておくのは辞めろといったのだがな。相変わらずだのぅ」『名前はそうですね、日本名は危険です。ヴェートルも怖いのでこの世界ではありふれている名前のルネスにしましょう』「ルネスと言います、商人を生業としています」「聞いていた通りか。それで?我が国に対しての商売なのか他国へなのか、それと何を売っているのか聞いておこうか」『んーそうですね、下手に売り込みとでも。いえ迷いますね、商品説明だけでよいかと』

「商品は魔法道具ですね、主に生活用を売りにしているのですが」「そうか、で?どこに売るつもりだったんだ」『ギージャロッカでいいです。最悪ラブリュスへ話を通すようにすれば、委託されたと』「ギージャロッカに向かっていました、領主ラブリュス様はご存じですか?その方の依頼で商業国家デュラスボロニアから運搬していました」「ラブリュス……なーんじゃ!あいつの依頼か、そりゃ悪いことをしたな!はっは、ちょっと待っとれ」

兵士に連れられ元居た部屋に戻されてから数時間ほど待つと聞いた声が近付いてきた。「さすがー、ミランドロ!なんか理由ないと領地から出れないのホント不便だよな!」「だな!50年ぶりか?私もかれこれ10年は外に出ておらんしな」扉が開いてラブリュスとミランドロが入ってきた。「おーいヒスイ!来てやったぞ!私を置いていこうなんて千年早いんだよ」背中をバンバンと叩いてくるラブリュスに小耳で「ばれたらどうする」と言ったがどうやら話は通っていたようだ。

「ルネス、いや改めてヒスイといったな。訳アリで伏せられていたのは不服だがラブリュスの知り合いともなればそんな感情はポイじゃ」『どうやら私が機能していない間にラブリュスも領主としての仕事をこなしていたようですね』若干ポカーンとしつつも状況整理をした。

「しっかしな。飛行道具で鳥にぶつかるとは、警戒して損したのぅ」ミランドロの家に通されてた。メイドたちがテーブルに料理を運んできた「さぁ、食べてくれ。久々に友にも会えた!ヒスイには感謝じゃな」楽しそうに語るミランドロ「ヒスイったらひどいんですよ!私を置いて外に出る―とかいって」そのミランドロに愚痴りまくるラブリュス。改めてラブリュスが長寿な種と悟った。『食事は摂取して大丈夫ですよ。疑似消化器官の動作確認もしたいので』「疑似消化器官ってなんだ?」『VERTOL-nsは疑似生物活動を可能にした人形なので摂取した食料をエネルギーに変換して、100キロカロリー当たり2時間の活動を可能としています』

食事を終えてから一息つくと街を案内したいとミランドロから言われ街に出向くことにした。

「まずは軽い食事処から説明するかの、お昼に食べた後に食べる御飯はまた格別じゃ」入った店で魚を使った刺身に似た料理を出された。「この体のせいか沢山食えるけど、みんなあんなに食えるのか?」三人で食べれば少ないが、一食後には多すぎる食事に迷いを覚えヴェートルに尋ねると『ここは寒い国だからエネルギー消費率が高いのですよ。その為、たくさん食べる習性が付いているのですよ』と返ってきた。

「うーん、ぜんぶおいしい!うちの国で作ろうと思うとお魚が腐っちゃって作れないんだよねー」「そうじゃな、私の国は寒さだけが取り柄じゃからな。おかげで食料消費に生産が追い付かんが」ラブリュスとミランドロが領主あるあるや、国の違いを楽しそうに語っているのに疎外感を感じて席を外した。「なぁヴェートル、これって肌の感覚をオンにしたらどうなる?」『森は3度でしたが街はマイナスになります。ただ単に寒いだけですが、試しますか?』「いや、やめとく。なんとなく気になっただけだから」『そうですか、そういった好奇心であればヴェートルシステムに直接接続すればわかりますよ』「まぁ、それでもいいんだが誰かと話したりすると生きてる実感があるだろ?この体にはその感覚がないからな」

街の人たちは厚着をしているが生き生きと活動をしていた。軍が演習をしているなんて知らないかのように。「なんか捕まった理由のわりに警戒感の無さがすごいよな」『それはこの国がどの国からも必要とされていないからですね』「なんだそれは、つまり攻められないから形上は脅威を排除するも実態として動くまでもないと?」『地形が関係しています、逃げるには最適な場所なんです。そのため逃げてくる犯罪者も昔は多かったのです。犯罪者を匿ってるとか荒波立てられても困るし、厳しい体制を引いてるってことです』

しばらく放浪をしていると武器屋を見つけた。「お、見ろよ!日本じゃ見たことないぞ!」『はしゃぎすぎです、ですが武器は必要になりますね。素手と戦闘システムで闘うのは無理があるので』「よっしゃ!俺剣とか弓とか使いたい」わーぎゃー独り言を言いながら武器屋に入ると綺麗な女性が居た。明らかに武器屋とは似つかないそんな。『マスター!伏せ』唐突にヴェートルシステムが警告を発ししゃがみ込んだ。頭の上に剣が突き刺さっていた。「あぶねぇ、あと一歩遅れてたら死んでたぞ!」叫びながら先程の女性を見るとそっぽを向いていた。

「あんた、何してくれるんだ!」「あぁ、すまないね。殺気に似た何かを感じてビビって拭いていた剣を投げちまったよ」どこか申し訳なさそうに俯きながら謝罪をしてきた「殺気って、ただ武器屋に入ったら綺麗な人が居て思考停止してただけですよ」はぁ、とため息をつくと今度はしっかり謝罪が飛んできた。

「なんだ、てっきり昔しばいた野党が来たのかと思ったよ。悪かったね、デュランダって言うんだがよろしくな?迷惑かけちまったしオーダーでも正規品でも一つくれてやるよ」「それは悪いよ、謝罪も貰ったしちゃんと良い物なら買わせてもらうよ」「あん?私の恩返しを断るってか?」近場の斧を手に取り磨き始めるデュランダに「はい」というしかなかった。

並べられた武器は剣を含む数百種類、盾や防具も陳列していた。「うーん、いざどれかってなると迷うよな。使いたい武器多すぎるけど適正とか……」「なら試すか?家の地下に試す場所があるんだが」デュランダの案内で地下に降りると沢山の折れた剣や凹んだ防具、壁に刻まれた大きな傷。戦場かと思わせる程のひどさだった。

「おー!すげぇこれなら色々試せそうだ」「まぁな、そいつに合う武器を使ってほしいからな。ほれ、とりあえず剣から試してみろ」剣を受け取り近場の的に斬りかかった。手に鈍い衝撃が伝わり剣を落としてしまった。『ヴェートルシステムを切り替えた方がいいですよ』「だよな、戦闘モード起動」全身に血が廻るような感覚を覚えた。『エネルギーを表面に回し、纏わせる形で起動しました。マスターメインで戦闘するのが最適と出ましたので』「だな、俺が合う武器にしないといけないもんね」再び剣を構えた。「ヒスイだっけ、剣が駄目ならほかの武器も試すか?」と近くのレイピアを持ってきた。「いや、大丈夫です!」もう一度的に斬りかかった。今度は的の真ン中まで切れ込みが入った。

「お、いいじゃぁねぇか。まぁ私なら!っと」近くの木の枝で的を粉砕するデュランダ。「ひぇ」っと小さい声を漏らすくらいの衝撃波が付近を伝わった。「よし、剣をくれ。どれどれ……ふーん、次は弓を使ってみろ」デュランダが弓を投げてきた。『マスター、ヴェートルシステム記憶領域より弓のデータを参照しますか?』「そうだな、剣はおもちゃとかなりでも振ったことあるけど弓は触ったことすらないしな」ヴェートルシステムで自動的に体を動かす、指を放すと同時に音を立てて矢が飛んでいき的を割った。「あ、割れた」「うん、いいな」

それから何種類か試し休憩をしていた。「ほら、食えよ。魚を小麦練ったやつで挟んだもんだ。味けはねぇが、この赤の悪魔を潰して食えば暖まるってもんだ」魚をパン?で挟んだ物の上に唐辛子に似た何かを握り、そこから出る赤い液体を掛けるデュランダ。「うげ、何してるんですか」「あん?これは寒いこの国を生き抜く魔法の食材さ。まぁ私以外は食わないが、ほれ食ってみろ」べとべとで真っ赤になったソレを渡され食べるが味はしない。『戦闘モード解除。味覚起動』ヴェートルが思い出したように味覚を入れた。その瞬間口から火が出た、いやそう感じただけだが。『ましゅたぁ、異常検知!味覚オフ』「はぁ、はぁ……死ぬかと思った」「ちぇー最初簡単に食べてたからいけるのかと思ったけどだめか……」「いや、驚いただけです。まぁ僕は食べれなくはないですが」『味覚異常、数時間伝達系えらぁ』転がって悶える前に味覚が切れたがヴェートルシステムがダウンしてしまったようだ

「お、食えるのか!なんか他人じゃない気がしてきたな!今夜泊ってくか?」「ちょ、ぐいぐいしないでください。それと訳あって領主様の家に厄介になるんで」「げ、上客かよ。殺してたら今度こそ国追い出されてたわ」「一体過去に何をしたんだ、あんたは」「そうね、さっきみたいに剣が滑って第一王子の足がもげ掛けたとかかな!」明るい笑顔で答えるデュランダにこれ以上は聞けないと、手元の物を平らげ立ち上がった。

一通り試し終えるとデュランダが斧を構え始めた。「ヒスイ、今まで使った中でしっくりくる武器を手に取れ!」ぽんっと飛び上がるデュランダに警戒をしつつ近くの日本刀もどきを構えた。「うらぁぁ!!」斧が近くの地面に刺さった。「急に何するんですか!危ないですよ」「あとは本人のしっくり感を試すしかないだろ?的相手より実践の方がってな」

ヴェートルシステムが一部機能しないせいで回避が続いた。「逃げ続けてるだけじゃわからないぞ?女の子を追いかける感覚で!」斧で斬りかかり続けるデュランダが斧を置いて両手を広げた。「さぁ!攻めて来いヒスイ」「仕方ないな、行くか……ヴェートルシステム起動!」『AWhwigw&"521848%oodhdwohg]/……システム強制再起動。ヴェートルシステム戦闘システム起動』「おーし!行くぞ」頭蓋を狙って振りかざしたがデュランダの拳が剣先を反らした。

「ふぅーん、いい顔になったじゃないか!握りが微妙だな、あと重さも少し足りないだろ!」振るう斬撃を軽々よけ、時には白刃鳥を咬ますデュランダ「まじかよ、本気でやってんのに」『解、彼女は能力を有しています。血液は薄いので出し切ってないみたいですがね。マザーと同じ時期に連れてこられた人の中にデータベースがありました【武器達人(ウェポンマスター )】ですね。武器に関しては右に出る方は居ないと謳われていた程の能力です』「血が薄まっててもこんなに出るのか?」『解、複数の能力が混血して開花したものと考えられます。敵ではないのが救いです』「だな、とりあえず仲よくして殺されないようにするしかないよね」ちょくちょく来る反撃を避けながら数時間とも思える時間、模擬戦闘をした

「ふぅ、わかったよ。それよこしな!いい具合に調節するよ」刀を受け取るとデュランダは奥の工房に行くと去っていった。「好きにしてていいとは言われたけどどうしたもんかね」『解、武器が沢山あるので並行移動の練習がいいでしょう』

ヴェートルの案で能力を起動させた。「まずは、剣を投げてと!【並行移動】」投げた剣を並行移動し、自分の方へ向けた。「よし、ここでもう一度【並行移動】!」移動させ的に剣を刺した。『これをうまく使えれば複数の敵と難なく戦えます』「よーし、さらに加速でどこまでいけるか試すぞ!ヴェートルシステムフル起動!【並行移動】!!」上から下へ右から左へ縦横無尽に武器を飛ばし、避けて的を狙う。

「なんというか、疲れぐぅえ!」展開が乏しくなり一方的に飛んでくる武器に吹っ飛ばされた。『マスター、エネルギー消費が供給を超えました。システム軽動作モードに変更』視界が薄暗くなり、音声にノイズが増える。駆動系が維持機能を失い音を立てるように倒れた。『エネルギー残量1%。簡易索敵・防御システム起動。メインシステムダウン。サブシステム防衛モード起動。外骨格への電磁バリア展開』ヴェートルを守るよに電磁バリアが展開され、目の光が消える。

大きな音に気付いたデュランダが慌てて駆け寄るのが視界の隅に見えて途絶えた。

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