ほろ酔いJourney
男女二人用。
(個室。扉の外から他の客の話し声や店員の「いらっしゃいませ」という挨拶が聞こえる。)
(ビール半分くらい一気に飲む。その後グラスをテーブルに叩きつけながら突っ伏してうなり声を上げる。)
女「ううううう…」
男「うわー…マジ…お前…またか…」
女「ちが…違うの!付き合わせて本当申し訳ないけど私の言い訳も聞いてくれる!?
私もさあ別に不毛な恋がしたいわけじゃないの!
これでもちゃあんと学習して事前に周りから探り入れてみたり家にお邪魔させてもらったり…慎重にやってるつもりなの!」
男「それでもなおって言うなら明らかに情報収集不足じゃねーの…お前が探偵になっても俺絶対依頼しないわ…」
女「ほんまそれなー私も絶対向いてないと思った!…って違うやん!?」
男「悪い悪い、つい。 んで?」
女「でー今回はめちゃめちゃ浮気男でさあ、私の他に何人彼女いたと思う?
聞いて驚け6人だちくしょう!
あれか!?曜日彼女か!?私は何曜の彼女だったんだ!?」
男「何曜だったん?」
女「どうも土曜の女です!」
男「土曜だったかー」
女「土曜でした!休日なだけ優先順位高かったと思いたい!」
男「そこポジティブなの面白すぎるだろ」
(けらけらと軽く笑う。)
(残りのビールを飲んでグラスを普通に置いてから)
女「もうさーほんとなんなんだろうね
気付けばいつも相手は既婚者!ヒモ!浮気性!モラハラ!…彼氏にしてはいけない男の見本市か!?
最近友達から『あんたがいいなと思った男は大抵クズだから、駄目男センサーとして参考にしてる』って言われたのよ
もーあいつー!20年来の親友の使い方間違ってるー!」
男「まあでも事実だからなー
俺毎回こうやって惚気と別れ話交互に聞いてるけどさ、本当に正気か疑う話ばっかだし
お前の男運何なの?ここまでくるといっそホラーなんだが」
女「うるさーい!あんたはどうなのよーそっちこそコロコロ彼女変わりすぎじゃん!」
男「は?俺しばらく彼女いねーけど?ていうか彼女いたらこんな定期的にお前と飲みしてないわ」
女「嘘だあ、だってこうやって会うたび色々変わってるじゃん…それ彼女の影響じゃないの?
こないだは髪派手色にしたと思ったらまた黒くしたり服のジャンル変わったり、料理にハマってみたり…キャラブレか…?」
男「ブレてねーわ一途だわ
あー…前にさ、お前派手髪似合う人ってかっこいいよねって言ってただろ?」
女「あーあのアイドルにドハマりしてた時期ね、はいはい」
男「んで今度は今の時代は黒髪だよねとか彼氏に料理作ってほしいとかああいう服着てる人センスがいいとか…」
女「あーあー言った言った、そんな前のよく覚えてんね」
男「つまりそういうことだよ」
女「…ん?つまりどういうことだよ…?」
男「つまり!どれもこれもお前のせいだよ!」
女「ええ…もしかして、もしかしてなの?えーまじか、えっえっ、まじかー…え?…可愛すぎん?私のこと好きすぎでは?」
男「やめろ!恥ずかしいだろ!」
女「えー照れないでよこっちも恥ずかしくなってくるじゃん
いつも変なのばっかりだったしこんなの全然気付いてなかったから普通に嬉しいんだけど…
でもさ、あんたとなら絶対幸せになれるわ」
男「当たり前だろ、絶対幸せにしてやるよ」
(お互い照れ笑いしながら乾杯する。)
(他愛のない話をしてるなかフェードアウト)
男「そういや派手髪にしたとき後輩に『めっちゃ髪おもろい感じになってますよ最高!』って
褒められてんのかディスられてんのかわからんこと言われて、その後その子筆頭にチーム内で派手髪が流行ったんだよ」
女「えっそれ大丈夫だったん?接客じゃないとはいえ怒られん?」
男「めっちゃ怒られた。けどみんな理由知ってっからフォローしてくれた」
女「ちょっと待ってみんな知ってるの?」
男「知ってる」
女「まじか、やーまじかー」
【台本に関係ないどうでも設定】
吾妻良太
→中小企業SE、南原とは高校時代のバイト仲間、片思い歴10年、元カノはいた、最近の悩みはイメチェンする度新人事務の子にからかわれること
南原遥
→アパレルショップ店員、ダメ男ホイホイと製造機のハイブリッド、恋愛体質、最近の悩みは悪縁切るために縁切神社へ行ったのに効果がないこと