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刹那的な君へ  作者: 早見千尋
Day 2:死神の質問
5/9

Ⅰ 嘘と真実、表と裏

 放課後、俺は刹那を相手に苦戦していた。

「買ってー、買ってー、買・っ・てー!!」

「ガキかテメェは!?」  


 授業も終わり、(三浦はさっさと帰ってしまったが)友達と他愛もない話をし、さー帰るぞと伸びをしたところを刹那に腕を引っ張られ。そして、連れてこられた購買でこの騒ぎである。 

 売れ残りの棚の前で「買って買って」と指差す先には、新作のお菓子。パッケージには「メロン牛乳味」とある。……企業よ、なぜそんないかにもマズそうなモノを発売した。


 そう少し現実逃避してみるものの、刹那は以前腕をつかみ叫びまくっている。 今は購買のおばちゃんがいないからいいものの、他人から見たら完全に不審者だ。刹那は姿も声も周りには見えないので、他人からは俺は独り言というか、一人怒鳴りをしているように見えてしまう。


「メ・ロ・ンー! 牛・乳ー!」

 ああもう。

 そう思って視線を窓の外に向けたときだった。


「ん?」

 西校舎の廊下を三浦が歩いているのを見た。刹那は俺の声に気付いたらしく、騒ぐのを止めて俺と同じほうを見た。 


 この校舎は中にはを囲むようにして建てられている。今俺がいる購買のある校舎は東校舎の最上階で、三浦がいる校舎は西校舎だ。

 (あいつ、もう帰ったんじゃなかったっけ?)

 そう思って少しみていると、三浦は屋上へと続く階段を登り始めた。


「!?」

 俺が声にならない声を上げるのと同時に、刹那も身を硬くする。

 あの時以来、俺も三浦も椿の話はしていない。三浦は俺以上に椿の件に関しては敏感で、屋上にいくことなど、まずない。 


「……刹那、それ買うかどうか決めるの、もう少し後にしてくれないか」

「………」

 刹那はうなずくと、静かに俺の腕を放す。

「行きましょう、翔君」

 そして黒いローブの下から俺の目を見つめて言った。

「でも、絶対に買ってもらいますからね、メロン牛乳のおかし」

  


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