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第二章 30

この部屋をざっと見ただけでも、寝室が四つもあり、それぞれに風呂もトイレもかなり贅沢なものが備えられていた。


「これは四人の奥さんとか側室の人がいたということなのかな?」


「能無しの王は、力を誇示する為だけに多くの側室を持つこともあるし、強欲な王は、優秀な子孫を残す為にも優れた能力を持つ複数の伴侶を持つこともある。こいつがどっちなのかは判らないなぁ。」


そんなことを話ながら、部屋を探索していったが、これまでの居住スペースと同じように貴重な物は全て持ち去られており、大した成果は得られず、警護を任されていたアカイ君達も、通路の警備だけで、この部屋には入ったこともなく、有力な情報を得ることはできなかった。


「マスター、この部屋の警護には秘書との兼務になりますが、ドゥム型の機体が一機配属されていたはずです。」


「えっ?でも、そんな子は残されてないよ。連れていかれたのかな?」


すると、執務室の探索をしていたジェシカ達から念話が入った。


[執務室背後にあるデスクの床下に空間があります。どうも地下への階段のようです]


白、黒、アカイ君達と共にリュートが執務室に入ると、頑丈な木で作られた大きな書斎机の下の床が押し上げられ、地下へと続く階段が確認できた。


「アカイ君達と白と黒は、ここの入り口を確保しておいてくれ、僕達は地下へ降りてみる。」


ジェシカ、ルリ、シュテンと四人で階段を降りていくと、数十段降った所に木製の頑丈な扉があった。


リュートが鬼斬丸でその扉を斬り裂き、扉を蹴破って中に入ると、その中は床も壁も全てがレンガ張りの頑丈な構造になっており、中央には、周囲に固定用の鎖と腕輪が備えられた解剖台のような石でできたベッドがあった。


部屋は縦横二十メートル程もある広い部屋で、ベッド以外にもさらし台のような鉄製の器具や鉄製の三角木馬のような置物、天井からぶら下げられた鎖や鉄製の首輪、壁に取り付けられた拘束金具等の拷問器具を思わせるようなものが至る所に転がっていた。


「……な、何だこれは……」


首輪や腕輪の下には、千切れたような腕の骨や頭蓋骨のような物もあり、時間が経過していなければ、おそらくこの部屋にはかなりの血の匂いが充満していただろうと容易に想像することができ、骨は人間と思われるようなものだけではなく、オークやゴブリン、コボルトといった魔物の骨と思われる物も多数転がっていた。


「「ヒッ!」」


壁側の探索をしていたリュートが振り返ると、解剖台のような石のベッドを調べていたルリ達がボードを発見し、その再生画像を確認していた。


「どうした?何か見つけたのか?」


そう尋ねたリュートに、ルリはそのボードを手渡した。


そこには、人間や鬼族、エルフの若い女性達が、ゴブリンやオーク、コボルト達に凌辱され、生きたまま貪り喰われる映像や、彼女達が、エルフのような人間に、拷問され、強姦され、生きたまま解剖される映像が残されていた。


それを見たリュートは、そのボードを床の煉瓦に放り出し、リングから取り出した鉄製のハンマーで粉々に破壊した。


「……クズ野郎が……」


その顔は怒りに歪み、いつもの飄々としたリュートからは想像できないほど怒りに満ちていた。


「ジェシカ……たぶん僕もその時代に生きていたら、こいつらは殲滅せずにはいられなかったと思う……」


嫌な気分のまま、更に探索を続けたが、その後からは新たな発見はなく、皆でそのおぞましい部屋を出てエレベーター孔へと戻ってきた。


「ここより下には、もう構築物はないのかな?」


「神ちゃま、見てきます。」


そう言って、エレベーター孔にジェシカが飛び込んでいくと、すぐに念話で連絡が入った。


[その階層から三十メートル程地下の部分に扉を発見しました。鋼鉄製のかなり分厚い扉です]


[すぐ行く!待機していてくれ。みんな行くよ。]


アカイ君達もスラスターを使用して、短い時間なら飛行も可能だったので、一緒に降りてきていた。

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