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第二章 29

次の階は、その全体が一人の為の、或いは一人の家族の為の階層だった。


エレベーター孔から、扉を壊して入ったと同時に周囲からかなりの数の銃弾が撃ち込まれ、ミサイルらしき物も放たれたが、ジェシカにより一刀両断されていた。


[ジャック型のゴーレムが複数展開しています。指示をお願いします]


[それは間違いなく、ジャック型なの?]


[間違いないと思われます]


[判った。ちょっと待って!]


もしも、その機体がトンネルより持ち出され命令系統が弄られているだけなら、簡単にその機能を停止させる方法があった。リュートは音声回路を開き、音量を最大にした。


「マスターであるリュートが命じる!戦闘を停止せよ!もう一度言う!戦闘を停止せよ!」


[[[[[マスターの声を聴取。声紋を確認します。声紋を確認。マスターと一致します。戦闘を停止します]]]]]


念話を通して、そこにいたジャックに良く似たゴーレム達が武器を下ろし、待機状態へと移行した。残っていた他のアイアンゴーレム達は攻撃を続けていたが、それらは直ちにジェシカによって制圧されていた。


リュート達が廊下へと出ていくと、五機のジャック型機体が待機していたが、その機体どれもが、片手、片足だったり、肘や膝から下がなかったりといった部分欠損が認められた。


そのうちの一体の胸を開き、内部を確認すると、宝珠の隣に魔石がセットされており、思考回路の部分に人為的な破壊の痕跡があった。


この子達に確認すれば、かなりのことが判るかもしれないと判断したリュートは、彼らを修理することに決め、仲間に確認を取ると、さっそく作業に入り、リングより素材を取り出し、その五機の復元修理を開始した。


「再生!復元!修理!」


まずは一機の失った四肢を再生し、劣化した素材を復元し、破壊されている回路を修理した後に、その機能を確認した。


「どうだろうか?不自由な部分はないか?」


「イエス、ユアマジェスティ!マスター!有難う御座います!お久しぶりです!まるで生まれ変わったようです!問題ありません!」


「良かったよ!久しぶりだね!」


そう言って、その機体にハグすると、そのモノアイがキラリと光った。


ジェシカが、その機体に地下より話し始めたのを確認してから、残り四機の修理、復元を完了した頃には、ジェシカとジャック隊の間から、昔話が始まっているかのような和気藹々とした雰囲気が伝わっていた。


そのうちの一機の機体がルリの所にやってきた。


「もしかして、ルリ皇女ではあられませんか?あなた様の警護とお世話を担当しておりました。ジャック一番隊赤の一号機であります。城壁から抜け出す時にはいつもお世話させて頂きました。」


「な、な、何を言っているのよ!私はまだそんなことをしていないわ……これからは判らないけど…」


自分でもやるかもしれないと思ったのだろうルリ皇女は、真っ赤になって否定したが、次の言葉はもっと悲惨だった。


「おかしいですね。声紋は全く同じです。あの時の夜の失敗……」


その機体の口に当たる部分を、さっき以上に顔を真っ赤にしたルリが、必死になって塞いでいた。


「……もう止めてよ~!まだやってもない失敗を暴露するなんて、ヒドすぎる~」


あまりに申し訳なかったが、ルリの言葉でその場の雰囲気は一気に緩和した。


ーーー

「この基地の司令官ないしは、それに準ずる者の部屋はどこにあるか判るか?」


「イエス、ユアマジェスティ!こちらになります。」


「じゃあ、赤の……呼びにくいな。これからは君のことアカイ・ジャック、通称アカイ君って呼んで良い?」


「イエス、ユアマジェスティ!感激であります!今後私はアカイ・ジャックと名乗ります!」


そう答えるアカイ君を羨ましそうに見る他の機体にも必ず名前をつけるからねと約束して、その後はみんな上機嫌になったようだった。


アカイ君に続いて、両開きの豪華な多きな扉の前へと案内されると、


「少しお待ち下さい。警備装置を停止します……停止完了しました。お入りください。」


中は、これまで以上に豪華な家具や敷物で溢れていた。


「これはダメだ!こんなことしてたらすぐに破滅だよ。この部屋の住人はいったいどんな奴なの?」


「はい、この部屋の持ち主は、エルドというアルフ殿の三男の方となります。長男、次男の方は、ジェシカ様が行われた殲滅戦により戦死されておりますので、この三男の方がアルフ一族の族長。つまりアルフ王国第二代国王となります。」

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