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第二章 2

「やっぱりレベル上げるならダンジョンかな?ダンジョン外は解体しないといけないし、後処理に時間がかかるもんね。」


「そうだね。それが一番早いし、あんまり殺生してる感覚もないから、外での討伐と比較すると気楽にできるかな。」


食後のコーヒーや紅茶を飲みながら、作戦室を兼ねた居間で、クッキーやビスケットを食べながら、三人が今後のことについて話を進めていた。


「この世界のダンジョンでも、魔物は自然に湧いて出て、死んだらダンジョンに吸収されるの?」


「そうだよ。死んだら残すのは魔石と、稀にドロップ品としての魔物の一部かな。ダンジョンボスを倒すと、マジックスクロールとか宝石とか鉱物とか武器とかが宝箱の中から出てくるよ。以前にダンジョン内で亡くなった冒険者や探検者が持っていた物じゃないかと言われてるけど。」


「スキルアップの為の経験値は、外で魔物を倒した時と変わらないの?」


リュートが少し身を乗り出して、ルリに尋ねた。


「そうね、大きなダンジョンには外では滅多に出会うこともない強力な魔物も出てくるから、スキルアップとして魔物を倒したいなら最適かな。」


「じゃあ、この近くで適当なダンジョンってある?」


「私は、あんまり国から出して貰えなかったから……」


理由は言わずもがなで、無理してトラブルが生じるからだろうと、二人には簡単に予想できた。


「神ちゃま!ダンジョンなら、わたちが探知できりゅから、心配ない。実際、ここから南に三十キロ程行った所に小さなのが一つありゅ。」


今、飛行船が飛んでるのは深い森の上で、周囲に建物などは一つもなく、どこの国にも属さない地域であったので、そこでダンジョン探索できることは、三人にとっても有り難いことだった。


暫く南の方向へ飛び続け、緑濃い森の中に所々小さな岩山がある景色が見え始めてきた。


「あちょこ!」


ジェシカが指示したのは、そんな岩山の中でも比較的大きなものだった。


「わたちが先に行って、この飛行船が着陸できる所を作ってくりゅね。」


そう言って、ジェシカが船から飛び出してから数分も立たないうちに、岩山の近くの森がバサバサバサと斬り倒され、真っ白な巨大な焔が立ち上ったと思うと、一瞬にして灰へと変わっていた。更に強風が吹き荒れ、霧のように視界を塞いだが、その霧が晴れた後には黒く焦げた大地しか残っていなかった。


五十メートル四方の空き地に、アンカーを撃ち込み、飛行船は難なく着陸することができたが、大地から立ち上るモアッとした熱気を嫌ったルリが水魔法を発動させた。


「水魔法、トレンシャル・レイン!」


まるでバケツをひっくり返したような豪雨が、狭い範囲で降り注ぎ、熱かった大地をあっという間に冷やしていった。


リュートの周りに居るのは人外ばかりであった。白と黒でさえ、神狼の子供で、その潜在能力は、体力、魔力共に五桁には楽に達する。その中で、体力二桁のリュートは雑魚(モブ)の中の雑魚(モブ)であり、その事を一番理解しているのはリュート自身であった。


「さぁ、行くぞ!」


「ちょっと待って!」


リュートの掛け声にストップをかけたのは、ルリだった。


「どうかしたか?」


「どうかしたって……何なの?その格好?」


「紙装甲で体力、防御力が皆無の自分自身を考慮した上での、僕の戦闘服だが……おかしいか?」


全身を指の一本一本まで黒い鎧状のバトルスーツで固め、頭部は視界を得るためのV字型の隙間以外はフルフェイスで覆われており、頭部から生やした毛の束が銀色である以外は、某アニメのフル装甲バーサーカーに非常によく似ていた。


「神ちゃま、カッコいい!ジェシカとお揃い。」


そう言って、ジェシカはバトルモードにチェンジした。確かに女子型のフル装甲で目の部分のみ露出しており、額鎧の部分から髪の毛が飛び出ている等の違いはあったが、親子のようによく似ていた。


「エヘヘ、おちょろい!」


と、彼女はリュートの腰にしがみついていた。


「このバトルスーツの装甲は、レベル20程度までの魔物なら、物理的にも魔力的にも掠り傷一つつけられないから、相手の攻撃を考慮せずに攻撃スキルのアップのみに集中できるだろ?」


「確かにそうだけど、そうなんだけど……」


「じゃあ、こう考えればどうかな?戦闘スキルを持っている人達は、魔物を倒せば攻撃量も防御力も上がる。生産スキルのある人達は、レベルを上げれば、攻撃力や防御力の高い武器や防具を作成できる。そんな形でバランスがとれているんじゃないかと。」


この時のリュートの言葉は非常に的を射た言葉だったことに気づくのは、それから数週間たった日のことだった。


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