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第二章 1

第二章始めました。

よろしくお願いします。

「姫様、さすがに出てきてくれませんか?リュート様が旅立たれてから、今日で二日目ですよ。このままでは子供達に良い影響は与えませんよ。民から尊敬される女帝になるのではないですか?」


これだけ言っても何も返答がないのは、通常ではあり得なかった。特に女帝の部分は『皇帝になるのはリトなの!私じゃないの!』と返しがあるのが常だった。


「ジャック様、鍵を開けて頂けますか?」


[イエス、マイロード]


「そのマイロードという言葉にもなかなか慣れませんね。」


と言いながら、ジャックに続いて部屋の中に入ると、ベッドの上がこんもりと盛り上がっていた。その大きさに少し疑問を持ちながら、セレニアがその掛け布団を剥ぎ取ると、中には


「マヨルカ!」


両手両足を縛られて、猿轡を噛まされ、衰弱して横たわるマヨルカがいた。


慌てて拘束を解くと、彼女は弱々しく身を起こしセレニアにしがみついた。


「姫様が……」


「何も言わずとも判ります。付いていったのですね……」


深いため息を付きながら、宙を見上げるセレニアだったが、その後呟いた小さな声を聞き止めた者は誰もいなかった。


「あのボア姫(小声)」※


※注 魔族の間では、思い立ったら我慢できずに突き進んでしまう人を、突進したら曲がることも、止まることもできない魔物ボアに例えて、ボア◯◯とか、◯◯ボアと表現することがある。


ーーー

時間は少し遡る。


「ジェシカ、あれってあれだよね。」


[ちょの通り。あれはあれ。]


「あの人達、何を考えてんだろ?絶対に出しちゃダメな人間だよね。」


[おそらく、あれの単独犯行。大人の考え方じゃないでちゅ]


「じゃあ、一番気合いの抜ける食事時を選んでかましてみるか。ジェシカも何かあったら協力してね。」


[イエス、ユアマジェスティ!]


リュートは先頭の窓側の椅子に座って、ひたすら前を見据えるマヨルカに声をかけた。


「そろそろ食事にしようと思いますが、苦手なものとかありますか?」


「全く問題ありません。リュート様の食事に外れはありません。」


(僕は、あの人にそんなに食事を用意したことないんだけどな)


そう思いながら、キッチンへと足を進めたリュートは、ワッフルを焼き、生クリームと苺ジャムを用意し、デザートにはなめらかプリンフルーツ添え、ドリンクにはロイヤルアイスミルクティ(ブランデーちょい足し)を準備してみた。


案の定、マヨルカの目はキラキラと輝き、口元からはヨダレが垂れた。これでリュートは確信した。


「ルリ!アイスミルクティだけど、少しブランデー足してあるけど大丈夫?」


「全然、問題ないよ!お城でも時々飲んでたから。」


自爆したルリだったが、本人は全く気がついていなかった。


「ホントにリュートの食事は最高だよ……あれ?」


マヨルカ(ルリ)は、恐る恐るみんなの顔を見回した。


「……バレてたの?いつから?」


「飛行船に乗った時からかな?」


「わたちは、神ちゃまのお部屋に来た時から気づいてた。バレバレ!」


「そうかぁ、リュートとジェシカだもんね。バレて当たり前か。」


そう言うと、まるで忍者のようにドロンと煙に巻かれて、中から表れたのはダブダブの服を着たルリだった。


「ちょっと着替えてくるね。」


そう言って席を立って、戻ってきたルリは。いつものルリだった。


「事前に、今回の遠征の目的をはっきりさせとくね。」


「えっ?鬼の王の所に行った魔族の人達の調査じゃないの?」


「もちろんそれもあるけど、僕のレベル上げも兼ねているんだよ。ルリは知ってると思うけど、僕の体力や魔力は子供並みと言っても良いくらいに底値じゃん。勇者や王国軍との争いが確定した今となっては、これはマズイと思うんだよ。戦場から飛んで着た小石に当たっただけで死ぬレベルだと、戦場に立てないどころか、ゴブリンに襲われてもアウトだから、そこから脱却するための特訓ツアーを行う予定だったんだ。」


「そうだよね。生産系スキルは神というか、見たこともないレベルだけど、戦闘系スキルは雑魚以下だもんね……止めて!ジェシカ!止めて!」


ルリの身体がジェシカの腕でガッチリとホールドされ、彼女の持つ電磁ブレードが、ルリの首に当てられていた。


「いきゅらルリでも、今の言葉は許容できにゃい!」


「そ、そうね!少し言いすぎたわ!リュート、今のあなたを精密鑑定しても良い?」


「あぁ、構わないよ。」


「精密鑑定!リュート!」


この頃のルリは、既に相手に触れていなくても精密鑑定できる程に力を付けていた。


深海龍人(ふかみりゅうと)

リュート

人種 迷い人

称号 白と黒の父

ジェシカの神

マヨルカの天使

年齢 ???

職業 生成師

熟練度 2クラス

10レベル

体力 68

魔力 169

所持スキル

生成Ⅱ(9) 採集(10) 育児(10) 鑑定(10)

酪農(6) 狩猟(4) 釣り(4) 馴致(2)

天文(2) 薬学(8) 医術(6) 戦略(7)

言語理解(10) 剣術(1) 鎗術(1) 銃術(8)

所持魔法

なし


「あれ?鎗術のレベル下がってるし、前は格闘術があった筈だけど、なくなってる。他のスキルも下がってるのあるような気がする……」


「スキルはね、使わなければ下がるものもあるの。消えちゃうのもあるけど、上位スキルまで上げておけば、そういうことはなくなるから、みんな努力するのよ。」


「ねぇ、ちなみにルリの体力とか魔力はどのくらいなの?」


聞かれたルリは、言葉に詰まってしまった。正直に答えた方が良いのか判らなかったので、不安げにジェシカを見た。


「神ちゃま、ジェシカはね、体力が969,852で、魔力は0だよ。」


「……えっ?」


聞いた数字が信じられず、リュートはもう一度聞き直した。


「969,852と0だよ。」


「そ、そう……スゴいなぁ。ジェシカは強いなぁ。」


その言葉に、ジェシカは満足そうにニンマリ笑い、ルリも彼女のあまりな数字に悩んでいたのがアホらしくなり、正直に答えた。


「私は、体力が3,968で、魔力が9,316かな。同じ年齢の中ではトップクラスだけど、魔族全体で見たら中の下かな。」


「や、やっぱり、僕って弱くね。」


「でも、最初は体力が17で、魔力が33だったから成長してんじゃないかな?」


その言葉に、更に深いダメージを受けたリュートだった。


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