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「じゃあ、鑑定してみるね。」


そう言って、ルリはリュートの前に立ち、三度目の精密鑑定を行った。


「精密鑑定!」


名前 深海龍人(ふかみりゅうと)

リュート

人種 迷い人

称号 白と黒の父

ジェシカの神

年齢 ???

職業 生成師

熟練度 1クラス

1レベル

体力 50

魔力 111

所持スキル

生成(1) 調理(10) 育児(10) 鑑定(8)

酪農(8) 狩猟(6) 釣り(6) 馴致(3)

天文(3)

言語理解(6) 剣術(1) 鎗術(2) 格闘術(2)

所持魔法

なし


ジェシカの書いた紙には、見知らぬ職業が記載されていた。


「……生成師?これ、どんな職業なの?」


「「……」」


「何?レア職なの?どういうこと?」


「今までの私の知る人の中に、生成師などという職業を持つ人は存在しませんし、これまで覚えた知識の中にもありません……ジェシカはどうなの?」


「わたちのメモリにも生成師という職業はありまちぇん……かつての神ちゃまは、万能者という称号を持っていたけど、職業は持っていたかどうかは判りゃない。」


「……その万能者という称号にも、突っ込み処満載だと思うけど、生成師が進化したり、クラスがアップしたら呼称が変わるのかな?判らないな。まっ、とにかく体力も魔力も上がったから、少しは進歩したのかな?」


「魔法は覚えてないから、魔力はあまり関係ないかもしれないけど、スキルを一回使う毎に魔力を1消費するから、連続で使えるスキルは増えたかもね。」


その言葉に、初めて聞いたようにリュートがルリに尋ねた。


「もしかして、スキルをかなり回数使った時に、身体が重くなって、やる気が失せたことが時々あったんだけど、それと関係あるのかな?」


「おそらくそうだと思う。始めの魔力は三十台だったから、三十分もあれば回復してたはずだから、あまり感じなかったと思うけど……」


「……なるほどね。じゃあ、これまで苦手だったゴーレム作成してみて、生成スキルが、どのくらいの魔力を消費して、どのくらい役に立つのか調べてみるかな。」


そう言ってリュートは、この前の戦闘で手に入れた鋼のインゴットを取り出し、早速試してみた。


アイアンゴーレムなんて見たこともなかったから、頭の中にイメージしたのは、某アニメの中に登場していた丸い体躯のロボットだった。


「生成!アイアンゴーレム!」


すると、鋼のインゴットが光り始め、時間はかなり掛かってはいたが、少しずつ人型の姿を取り始めた。


そして、大まかな姿が確定した時点で、それは眩いばかりの鮮紅色の光を放ち始めた。そして、爆発するようにその光りが四散すると、そこにはリュートがイメージした通りの、ずんぐりむっくりな体高一メートル程のアイアンゴーレムが立っていた。


「できた!」


そうリュートが言うよりも早く、ジェシカがそのゴーレムに飛び付いた。


「おとぅとよ!待ってたよ!わたちが、あなたのお姉ちゃんでちゅよ!さぁ、遊びに行まちゅよ!」


と言いながら、手を引いて外に飛び出そうとしても、そのゴーレムは全く動きもせずに、その場にバタリと倒れた。


「トントン、起きるでちゅよ。お姉ちゃんが待ってるですよ……神ちゃま、この子動かないでちゅ……」


泣きそうなジェシカの顔を見て、困ったように眉をひそめて、リュートもそのゴーレムを調べ始めた。


「……そんなことを言われても、俺にもどうしたら良いのか判らない……ルリは何か知ってるか?」


そのリュートの質問に、目の前に出現した特異なアイアンゴーレムの姿に圧倒されていたルリが、ハッと我に返り、思うことを口にした。


「普通のゴーレムにはコアがあるんだけど、この子にもあるの?」


聞いたこともない言葉に、リュートは首を傾げながら、ジェシカを創造した時のことを振り返り、胸の中にあった透明な宝珠を思い出した。


「そうか……あの胸の中にあったのがコアか……この前のジェミニの宝珠を使えば、動くかもしれないけど、あいつは絶対に文句言うだろうな……あいつイメージして造ってないし、ジェシカと比較すると弱すぎるもんな。コア……コアか、あの時は魔石を使ったから、魔石を使えば造れないかな……」


そう言って、リュートは魔石を集めた壺の所から、最近ちょくちょく畑に侵入してくるグレイウルフの魔石を取り出した。大きさは大魔石まではいかなかったが、中魔石の中では大きな方で深緑色をしていた。


「生成!ゴーレムコア!」


その彼の言葉に答えるように、その魔石は光り出し、周囲に明るい緑色の光を放ち始めた。先程と同じ様に眩い光が爆発するように四散すると、そこにはテニスボール大の緑色の宝珠が輝いていた。


「できた!早速ゴーレムの心臓に移植するぞ!」


ゴーレムの胸を開け、そこにその宝珠を納めると、顔の部分にある一つ目が紅く点灯し、彼の顔を確認すると頭を下げた。


「動いた!お前は……」


「あなたのにゃ前は、ジャックでしゅよ!わたちは、あなたのお姉ちゃんのジェシカでしゅ!よろしくね!」


『ジャック……私の名前はジャック……了解しました。』


記念すべき第一号の名前は、ジャックと決まり、その日からリュートは毎日一騎のアイアンゴーレムを生産し、鋼が足りなくなれば、川原から砂鉄を採取してきて、生成スキルを使って鋼のインゴットを作成した。


色が同じだと区別がつきにくいので、ジャックのボディカラーは赤とし、青、黄、緑、白、黒、桃、紫、黄緑、水と変えていき、それ以降は腕にラインを入れて、一本線は一号、二本線は二号というように番号をつけていった。


それぞれに役割を決め、畑班、田んぼ班、酪農班の三班に分け、畑班は更に麦班、豆班、雑穀班、サトウキビ班に割り振り、それぞれの仕事を担当させた。第一号であるジャックは総括責任者の役職を得ていた。

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