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第二章 54

目を覚ますと見知らぬ天井が目に映った。

どうやら、私は再び転生したらしい。

首を回そうとしたが動かないことから、また不自由な赤ん坊からのスタートなのだろうか?

あの最後のバトルは本当に楽しかった。

できればあのままずっとリュートとバトルを続けていたかった。

そんな事を考えていたら、涙が溢れて止まらなくなった。

どうやら今回の身体は、感情も未成熟らしい。


そんな事を考えていたら、ドアを開けて誰かが入って来て、窓のカーテンをシャッと開けた。


「アリアナさん、朝になりましたからカーテン開け……えっ?アリアナさん!アリアナさん!聞こえますか?聞こえたら目を閉じて頂けますか?」


彼女の口にする言葉は懐かしい日本語であった為に、すぐに理解でき、私は軽く目を閉じた。すると、彼女は急かさず私の枕元にあるナースコールのような物を手に取り、スイッチを押した。


[どうしました?]


[アリアナさんが目を覚ましました!意識もあります!至急、先生を呼んでください!]


[えっ!判りました!すぐに手配します!]


それからは、もうすぐ怒涛のような展開で、病院中の医師が集まったのではないかと思うくらい大勢の医師に囲まれ、診察や検査や質問などをされ、私が今どこに居るのかを理解した。


私は、あの飛行機事故の唯一の生き残りらしく、事故後既に半年間も意識もなく、植物人間状態であったらしい。父方の親戚筋から臓器提供の話もあったらしいが、母方の祖母がそれを強く拒否したらしい。そのお陰で、私は今ここに生きている。


私はリュートの最後の言葉を思い出した。約束は守らないといけない。私に先に帰って待ってて下さいと言ったあいつの言葉は絶対に忘れない。私も待ってると約束した。これは間違いなく告白だろう。私はこのプロポーズを喜んで受けるつもりだ。


私の身体は医師も驚く程の回復を見せ、連絡を受けてお見舞いに来た祖母は目を丸くしていたが、その理由は簡単で、異世界で使っていた魔法がこちらの世界でも使用可能であった為だった。


しかし、寝たきり状態で、身体の筋肉はすっかり落ちており、まともに歩けるような状態ではなかったので、これからは日常生活に耐えうる身体を作るためのリハビリを開始することにった。


祖母によると、当然飛行機に一緒に搭乗していた両親は他界しており、両親が所有していた会社は父方の親戚が乗り込んできて、会社の上層部と揉めているらしいことが判った。彼らは、父が生きている頃よりお金を無心することが多く、両親が困っていたことを知っていたので、病院に待機していた秘書の方を呼び、相続に必要な手続きを全て終わらせ、彼らが父の会社に手を出せないようにした。


伊達に村長として三千年も生きていなかったから、そんな事など簡単だったが、祖母は私のあまりの成長ぶりに驚いていた。


会社の経営は、父親が信頼していた役員の人達に任せ、特別決議の単独阻止ができる34%の株を維持できるように、四割の株を私の名義とし、残りの株は会社に売却した。


数十億の資金を手に入れることができたが、次に私が行ったのは、雫やマリナから聞いていたあのトンネルと周辺の土地の買い取りだった。


周辺の土地を全て買い取り、あの区画一帯を私有地へと変えたが、山奥の不便な地域だったこともあり、それでも十億程の資金が残った。


これでリュートがいつ戻ってきても、私は彼に会うことができるとニヤニヤしていると、それを見ていた祖母が、


「アリアナにも好きな人が出来たんだねぇ!」


とニヤニヤしていた。それを見つけた私の顔は真っ赤になっており、おい三千年も生きてきたんじゃないかと突っ込みたかった。


そんなある日のこと、私が自宅でテレビを見ていると、臨時ニュースのテロップが流れた。


[昨年の夏に、行方不明となっていた夜宮雫さんと蒼マリナさんが山中で発見されました]


というテロップが流れた。私は 、即座に秘書に連絡を取り、トンネル内を捜索させると、これまでに見つからなかった様々な品が発見されたという報告が来て、転移してきた彼女達が、トンネルの見張りに気付き、ことを荒立てぬよう逃亡したことが理解できた。


既に調べてあったマリナと雫の自宅に連絡を取り、彼女達が行方不明になっていた間に知古を得た者で、最近意識の戻った飛行機事故の生き残りだと伝えると、たいそう驚き、彼女達から連絡があれば、すぐに私のスマホの電話番号を伝えると約束してくれた。


その三十分後には二人から連絡が入った。


[もしもし、ホントにアリアナなの?どうして日本に居るの?]


というマリナの驚いた声から始まり、私がここに戻ってきた状況や、あのトンネルを購入したことを伝えたりしてるうちに、涙が止まらなくなり、三人で大泣きしながら夜遅くまで話をしてしまった。


彼女達は都合がつき次第、自宅に来てくれることになったが、私は、今後のことを話し合う中で、どうやってリュートとの婚約を伝えようと頭を痛めていた。

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