一話 あたいドジっ娘なの!
森の奥にぽつんと建つ一軒屋。その中で、今日も今日とて料理をしているあたいの名前はヒヨ! 青い髪が綺麗ってよく言われる十二歳よ!
「あ! お師匠様! おはよー!」
「この時間帯だとこんにちはじゃないか? 俺も寝過ぎたな・・・・・・」
こっちはあたいのお師匠様のレーザ師匠。見た目は怖いけどいい人! なんか、あたいのパパとママの知り合いで、パパとママが王都にお仕事に行くからって、ずっと面倒見てくれてるの。
「ねえねえ! お師匠様、あたい、今日変な夢を見たの」
「ん? どんな夢だい?」
「なんかねえ。パパとママが倒れてて、家が火事だった!」
そう言ったら、なんかお師匠様が暗い顔をしたの。あたい、変なこと言ったかなぁ?
「・・・・・・そうか。悪い夢は忘れてしまいなさい」
「うん! そうする!」
悪いことは覚えてても何もいいことないもんね。忘れちゃおうっと!
それで、あたいはお師匠様に朝の・・・・・・じゃなくて、お昼ご飯の目玉焼きを配るの。あとはあたいの分もテーブルに並べて、準備完了。
「いただきます!」
「いただきます」
食べ物の感謝は忘れちゃいけないって、お師匠様が言ってたから、この挨拶は忘れちゃいけない。
あと、あたいはお師匠様の感想を聞きたいから待つの。
「・・・・・・ヒヨ」
「なあに?」
「・・・・・・お前、自分のスキル覚えてるか?」
自分のスキル・・・・・・?
「なんだっけ?」
「《ドジっ娘属性》だよ。お前、塩と砂糖を間違えてるぞ」
あれ? そうだっけ?
っていうか、あたいそんなスキル持ってたんだ。どう見ても外れスキルね!
「一億人に一人の外れスキルなんだから、覚えておきなさい」
「やっぱり外れスキルだった!」
しかも一億人に一人?! あたい、もしかしてレア・・・・・・?
そんなことはどうでもいいの!
というか、お師匠様さっきから苦しそう? と思ったら、無言で目玉焼きをあたいのお皿の上に・・・・・・。
「お師匠様! 食べ残しはダメですよ!」
「お前、自分で食ってみろ」
別に、砂糖と塩ぐらい大丈夫じゃないの? そう思って口の中に・・・・・・。
「・・・・・・お師匠様」
「うん?」
「ごめんなさい・・・・・・」
「それは食材に言いなさい」
目玉焼きさん。ごめんなさい。あたい、さすがに無理だわ・・・・・・。




