十三話 あたい・・・・・・見られた
「おはようございます・・・・・・」
「ヒヨちゃん。おはよう。よく寝付けたかの?」
「あんまりでした・・・・・・」
お師匠様のことが心配で、なかなか寝付けなかった・・・・・・というか、一睡もできていない。
どれだけあたいはお師匠様のことを・・・・・・。
「わしはちょっと出かけてくるでの。ヒヨちゃんはここでゆっくりしていくといい。・・・・・・家が気になるなら、その間に行ってきな」
「はい。ありがとうございます」
目をこするあたいを見て、ルトンさんが難しい顔をした。それからすぐに扉から出ていった。
さて、じゃああたいは何をしよう。
・・・・・・お家を見に行こう。それ以外、することもないし。・・・・・・何もされていないといいな。
あ、あとお風呂にも入ろう。昨日はそんなこと頭になくて、入らなかったから。
あたいは、魔法で薪を燃やして湯を沸かす。そして、ゆっくりと湯に浸かって今後のことを考える。
みたいなことは、すぐに頭の中から消えた。
「はぁ〜・・・・・・。気持ち〜」
この二言に尽きるわ。やっぱり、お風呂っていいわね・・・・・・。
お湯の中に漂う自分の青い髪を弄りながら、もう一度息を吐いた。
そうして身も心も癒されたところで、あたいはお風呂からあがる。そして、服を着る前に髪を風の魔法で乾かしてーー
ガチャッ。
お風呂場の扉が開いた。そしてーー
「・・・・・・」
「・・・・・・」
扉の取っ手を握ったまま硬直するジャンと目が合った。
あたいの中で時が止まる。
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・すまん」
ジャンの顔面に思いっきり水の魔法を撃った。
バタンッ! と、勢いよく扉が閉まる。
・・・・・・見られた。
あ、あたい、裸見られた?!
そう理解した途端、とんでもない恥ずかしさが体を襲う。
な、なんでジャンがルトンさんの家に?! というか、いつ入ってきたの?! 音しなかったし・・・・・・。待って、あたい今どうやって魔法使ったの?! え、詠唱してないのに・・・・・・ああ、もう!
あたいは、力任せに思いっきりくしを床に叩きつける。
「もう! 最悪!」
顔が火照るのを抑えるのに時間がかかった。




