表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あたい賢者になるっ!  作者: 今野 春
二章 ひよっこ賢者の決意
13/22

十二話 手がかり

 森すらも寝静まったような静寂の中。あたいは無我夢中で駆ける。

 魔法の力でブーストしたその速さは、巨大蜂であっても追いつけず、狼すら襲うのを躊躇する。

 こんなところで、道を間違えたりしたら大変。・・・・・・あたいの外れスキルなんて発動したら大変ね。


「はあ、はあ」


 流石に息が切れてきた。

 そういえば、もう結構な遅い時間だけど、ルトンさん起きてるかな。おじいさんだったから、迷惑かも・・・・・・。

 いや、でも、もうそんなことは言ってられない。

 目の前に現れた、あのボロくも立派でもない家。その扉を、倒れ込むようにして開ける。

 そしてーー


「おはようございます!」


 あたいは、そう思いっきり叫ぶ。


「こんばんわあぁ!」


 すると、あたいの声よりも大きな声がして、思わず体を跳ねさせる。と、その声の主が現れた。


「おや、いつぞやの賢者のお弟子さん。たしか、名前はーー」


 ルトンさん。ーー全裸の。


「きゃああああああぁぁ!」


 挨拶なんて比にならないぐらいの声量が、家の中に響き渡った。


「・・・・・・さ、最近の若者はすごいのお」

「る、ルトンさん! 服を着てください!」

「あ、すまんのお。ここには近くのババアぐらいしかこんから、この服装がノーマルなんじゃ」


 服着てないのに服装とは?!

 そうツッコミかけたけど、それをなんとか抑えてルトンさんに伝える。


「あたいのお師匠様が消えたの!」


 そのあたいの必死な声と眼差しに、ルトンさんが顔の筋肉を引き締める。


「・・・・・・服着てくるぞい」

「あ、はい」


 あたいも流石に全裸のおじいさんと向かい合うのは辛いわ・・・・・・。

 なんだか、緊張が緩んでしまった。いいことか、悪いことかはわかんないけど。


「さて、ヒヨちゃんのお師匠様・・・・・・レーザ様がどうしたのじゃ?」

「着替えるの早?!」

「そうかの? 男子は適当じゃからのお。で? 話は?」


 はっ。そうだった。いくら緊張が緩んじゃったからって、本題を伝えないわけにはいかない。


「さっき、家にメガルハさんっていう人が来たの。それで、一回あたいは家の外に出たんだけど、帰ってきたら部屋が荒れてて、家に誰もいなかったわ」

「・・・・・・メガルハと言ったか?」


 ルトンさんが、ピクリとそのまゆを動かした。


「そ、そうです」

「なるほどな・・・・・・。特徴を教えてくれ」

「は、はい! 金髪の、やつれた顔で、身長はあたいよりも高かったです!」

「・・・・・・なるほど。まあ、名前がわかれば充分じゃな。偽名かもしれんが」


 そっか、偽名・・・・・・。お師匠様がメガルハ様にザーレと名乗ったみたいに、メガルハさんも名前が違う可能性もあるのね。


「わしが傭兵仲間に聞いてくるわい」

「は、はい! よろしくお願いします!」

「あと、兵隊が来たと言ったの? 危ないから、うちに泊まっていくといい」

「はい! ありがとうございます!」


 そうして、あたいはルトンさんの家にお邪魔させてもらった。

 あまりよく寝付けなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ