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ログアウトブレイバーズ  作者: 阿古しのぶ
エピソード3
62/128

62.ζa異cA-暴

 ブレイバーはコアが損傷しなければ消えない。


 だから、サイカが少しでも手を抜いてしまえば、オリガミは何度でも立ち上がってきた。


 そして最終的にサイカは斬られる。


 何度も、何度も、何度も。


 あの時と違うのは、ロウセンの助けは来ず、オリガミの無慈悲な一撃でサイカのコアが砕かれる事だ。


 まるで運命が収束するかの様に、最初からサイカが負ける事は決まっているかの様に、自身の身体が消えるという感覚を味わう事となった。


 消えたと思えば、巻き戻しされ、振り出しに戻る。


 無限に繰り返されるオリガミとの戦い。



 ✳︎



 夜の教会。魔法陣の痕跡が残る祭壇の上で、縄に縛られながらもがき苦しんでいるサイカがいた。

 それに寄り添って、傍から見れば口付けでもしている様にも見える距離感で、幻覚を見ているサイカとひたすら目を合わせ続けるルビー。


 ルビーにとっても気を失うまでと思って始めた事ではあるが、意外にもサイカは粘っている。

 なのでブレイバースキルを長時間発動させる事になり、ルビーも汗を滴らせ、疲れを見せていた。


 その様子を、マーベルとミーティアが心配そうに見ている。とは言っても、ルビーに幻覚を見せられたミーティアは、目覚めてからもずっと見せられた悪夢を思い出し、身体を摩りながら震わせていた。

 なので、マーベルがそっとミーティアに肩を寄せて、彼女の肩に手を回しながら語りかける。


「大丈夫よ。さっきのは幻覚なんだから、貴女の身体は無事よ」


 そんな優しい言葉を掛けて、少しでもミーティアを安心させてあげようとしていた。


 尋常では無いミーティアの震えは、それ程までに彼女が自身の結晶化を怖がっているという証拠でもある。

 そしてルビーのあの金色に光る左目が、それだけの恐怖を相手に植え付ける事が出来る能力である事を、改めて実感させられた。


 サイカは祭壇の上で身体を仰け反らせ、激しく暴れるので、ルビーはついにサイカの上に跨り全身を使って抑え込んでいた。

 薄暗く、天井に空いた小さな穴から月明かりが零れる雰囲気の中、2人の女性が祭壇の上で重なり、密着しているという奇妙な絵づらである。




 その頃、エルドラド城近くにある兵士訓練所では、空気が澄み切っていて月や星が幾分近くに見える中で木刀で戦っている者が2人。

 王女の専属護衛を務めるリリムと、オーアニルでの騒動から救出され生き延びたエオナ。


 エオナが打ち込み、リリムがそれを捌く。

 そんな単純な訓練だが、実戦をイメージして本気で打っているエオナに対して、リリムは澄ました顔して全て弾いてくる。


 リリムはエオナの剣の動きを全て読んでいた。

 手の動き、脚の動き、目線、そこから予測する事が出来るリリムは、片手で軽々と捌いてしまうのだ。



 ――もっとだ! こげんでは勝てん! また負けてしまう!



 そんな焦りがエオナに生まれているのは、あのクロギツネとの一戦があったからだ。

 こうしてリリムが相手をする事になったのは、エオナがジーエイチセブンとの関係を話し、同時に守れなかった事を謝罪した流れがあったからである。


 夢世界で親子の様に仲が良いリリムとジーエイチセブン。

 こっちの世界では一度も顔を合わせる事は無かったらしい。しかも、一時期はかなり近くにいたにもかかわらず、出会える機会は無かった。


 リリムにとってもそれは複雑な心境で、今回の件に罪悪感を感じているエオナに対して、どの様な表情を見せればいいのか悩みながら相手をしてくれている。


 エオナはここぞと言う場面で、夢世界スキル《弧刀影斬り》を発動。

 軌道が9本に見える高速の斬撃を前に、リリムは反応した。9本の内、僅かな差で先に出てくる2本の剣を弾いた後、3本目を腕で防いだ。


 そこからリリムは夢世界スキル《マッチネスダンシング》と《マッドネスブレード》を発動。

 急激に加速するリリムが持つ木刀が輝きを放ち、残り6本すべてに反応してきた。振るう度に武器へ七色の属性を宿し、花の様に鮮やかな光が闇夜へ飾られる。


 七色剣士リリム。


 その異名を夢世界から引き継ぎ体現したリリムの反撃に対して、エオナは《霞の構え》からの連携カウンタースキル《朧返し》で剣を受け流して斬り返す。そのまま更に連携スキル《月光・発》による突き技、からの連携スキル《月光・開》で3連撃。


 そこからリリムの頭上へと飛躍して、連携スキル《月光・極》による縦一直線の一刀。

 しかし、七色に光る剣が全てそれを弾き、最後の一刀はエオナの赤く燃える木刀が焼き折った。


 突然の炎を前に、驚いてのどが塞がって何も言う事ができないエオナ。


 彼女の力が抜けたのを見たリリムは、

「終わりだな」

 と、エオナに笑顔を見せ、頭にポンと手を置いた。


 何だか子供扱いされた様で、エオナは悔しい思いで肩をすぼめた。

 ふと見れば、リリムが持っていた木刀も燃えた事で灰になってしまっていた。


「すまない」

 と、エオナは再度謝った。


「もういいって。ジーエイチセブンとこっちで会えなかったのは残念だけど……貴女から話を聞く限りでは、こんな奴だろうなって想像してたのが見事に当たってて、笑えて来ちゃうくらい。だから、勝負に負けて消えても、後悔はしてないんじゃないかな。勿論、仇はこの私が取る。だから気にしなくていい」


 このリリムというブレイバーは、王女の専属護衛を任せられているだけあって、相当な実力の持ち主だった。



 そんな2人の訓練風景を、少し離れた所で眺めていたシッコクとケークン。


「あのエオナって子。なかなかやるじゃん」

 と、ケークン。


「腕はまだ未熟だが、沢山の敗北を経験して死に際をギリギリで乗り越えてきている。サイカと似たタイプのブレイバーか」

「シッコクさんが好きなタイプってことか」

「ふっ。よく分かってるな」

「何年付き合いがあると思ってんの」


 ケークンは元々、王国直属のブレイバー隊でミーティアと共に副隊長を務めていた。リリムの影響もあって、本人の希望で王女護衛ブレイバーへ異動した経緯がある。

 その時、頭を下げて必死に頼み込んできたケークンは、シッコクの記憶に新しい。


「……王女殿下の護衛任務は、上手くやってるか?」

「まあね。姫様は自分の立場分かってないのか、おてんばで振り回して来るから、気が休めないけど」

「相変わらずだな。王女殿下も、お前も」


 2人が会話をしていると、リリムがケークンに向かって手を振り、

「ケークン行くよ」

 と、呼びながらそのまま歩いて行った。


「それじゃシッコクさん、次は戦場で」


 ケークンはそう言い残し、リリムを追いかけて行った。

 その後、シッコクは訓練場の広場の真ん中で座り込んでいるエオナに歩み寄り、話しかけた。


「リリムはあまり目立ってはいないが、ああ見えてエルドラド屈指の剣士。負けて当然だ」

「やはりと言うか何と言うか……ケリドウェンと戦い追い詰めたという貴方でも、誰かに負けた経験はあるの?」

「何度やっても勝てなかった相手ならいる」

「へぇ。そいつは今何処に?」


 何処にいるかと聞かれたシッコクは、右の籠手を物思いに見つめた。


「もういない」

「強いブレイバーか。アリーヤ共和国でも2人いた」

「ほう」

「ワタアメと、黄金鎧のエンキド」

「ワタアメなら一度対戦したことがある。エオナは仲間だったと聞いているが……ワタアメとは、どんなブレイバーだった?」

「……底の知れない奴。でも、ワタアメは現状維持を求めてた。それが真の平和であると信じていた。そんな感じだった」

「そうか。そういう奴か」


 するとシッコクはエオナに背中を向け、

「エオナと言ったか。今度の戦場、相手はバグだ。その腕であればそう簡単に負けないだろう」

 と、励ましの言葉を言いながら去って行く。


「あ、ありがとう」


 エオナは遠ざかるシッコクの背中にそう言ったが、シッコクはそれ以上何も言わなかった。

 その背中は、エオナにとってとても大きく見える。


 ――これが、あの圧倒的なまでに強者だったケリドウェンを追い詰めた男。いったいどうしたら、その高みに登れるのだろうか。


 エオナは折れて焦げ跡の残る木刀を握り締め、立ち上がった。




 ✳︎




 もう何回目になるだろうか。

 オリガミの多彩な手裏剣術と、決め手とも言えるプロジェクトサイカスーツに換装してからの猛攻。


 ノリムネの驚異的な一撃に、サイカは何度も心が折れそうになった。

 でも、その度にアヤノや琢磨、そしてクロードの顔が脳裏に浮かぶ。


 手裏剣の嵐を掻い潜り、接近したサイカが一太刀浴びせると、オリガミは空かさずスーツに換装してくる。

 そこからは有利だった速度が一気に逆転され、不利となってしまう。


 ノリムネの威力に吹き飛ばされ、蹴りで雪に叩き付けられ、今回もまた自身が消滅させられる未来が見えてしまうサイカ。

 もしかしたら覚悟以前の問題で、実力も相手の方が上なのではないかと思えてくる。




 声が聞こえた。



『――おいおい、何やってんだよ』



 聞き覚えのある声。



 ――クロード?



『なんだよ。あんな派手でダサイ格好の奴に負けんのか?』



 ――ダサイとか言うな。



『もしかして、サイカもあんな格好で戦ってんのか?』



 ――そ、そうだ。



『じゃあなんでお前はアレやらないんだよ」



 ――無理なんだ。私にはこっちでアレを使いこなせない。



『へぇ。でもよ、だったら負ける訳ねぇよな』



 ――どうしてそうなる!



『よく知ってる相手、よく知ってる装備。それでこんな一方的な試合になる訳ないだろ』



 ――でも……



『でもじゃねえ。俺の愛した女が、このまま終わるなんてねえよな』



 クロードに背中を押された気がした。

 正面、空から真っ直ぐ突っ込んでくるオリガミに対して、サイカは刀を構える。



『ほら、行け。思いっきりぶつかって見ろ』



 ――言われなくたって!



 サイカは正面から迎え撃つ為に、前進する。

 互いに真っ直ぐ交差するキクイチモンジとノリムネ。


 オリガミのノリムネがサイカの左肩を貫いたが、サイカは右手に持った刀を離さず、オリガミの胸を貫いた。


 取ったと思わせる瞬間であった次の瞬間、オリガミの様子が変化。

 瞬時に姿をバグ形態に変化させ、キクイチモンジを胸に刺したまま、サイカを尻尾で叩いた。


 ここに来て今までに無い新しい展開。


 サイカは雪の上を転げたが、すぐ受け身を取って態勢を立て直し、オリガミに刺さったままのキクイチモンジを手元に召喚して呼び戻す。


 だが、隙を与えずサイカの目の前まで迫ってきたバグ。

 まるで龍の様な翼と尻尾、龍と人間のハーフとも思えるその容姿は真っ黒で、もはやオリガミの面影はそこに無い。


 バグ化により更に動きが速くなったオリガミ。その強靭的な両腕から繰り出される拳の連打がサイカを襲う。

 まるでハンマーで殴られているかの様な強烈な連続打撃に、サイカは地面に叩き付けられ、身体が雪に埋まった。


 舞い上がる雪で視界は遮られるが、赤い宝石の様に光る目は見える。

 咄嗟にキクイチモンジを盾にして防御するも、サイカの防戦一方だ。



 ――このまま負ける訳には行かない! クロード! 琢磨! 私に力を!



 サイカの勝ちたいという思いが頂点に達したその瞬間。

 全身の肌が真っ黒に染まる。


 それと同時に、一気に身体が軽くなる感覚。

 オリガミの攻撃も止まった様に見えた。



 ――いける!



 オリガミの強烈な一撃が地面に大穴を空けた時、そこにサイカの姿は無かった。

 バグ化して化け物と化したサイカは、オリガミの背後へと回り込んでおり、刀を振り上げる。



『そうだサイカ! それでこそ俺のサイカだ!』



 ――お前のじゃない!



 振り向くオリガミ。振り降ろされるキクイチモンジ。

 刀が斬る瞬間、オリガミの姿がまた別の姿に変わった。まるで幽霊の様なバグ、サイカにとって因縁のある相手。


 でもサイカは刀を止めない。

 斬らなければいけない相手は変わらない。


 バグを真っ二つに斬ると共に、サイカは全身が何かに飲み込まれる様な感覚に襲われ、意識がプツンと途切れてしまった。




 ✳︎




 祭壇の上で小柄な身体を使って、必死にサイカを抑え込むルビーは、変化に気付いた。

 サイカの肌が黒くなり、容姿が一気に変化したのだ。


 手足を縛っていた縄が引き千切られる。



 ――これはっ! まずい!



 思わぬ怪力を前に、焦ったルビーだったが、危険を感じて離れる前に腹部を蹴られていた。

 教会の天井に叩き付けられ、木製の天井に穴を空けた後にルビーは落下する。


 慌てて駆け寄ったマーベルが、ルビーを受け止めた。


 かれこれ2時間以上はサイカを抑えて、異能力を発動し続けていたルビーは汗だくで、熱っぽい表情をしている。

 それはマーベルも間近で見てすぐ分かった。ルビーの左目も輝きを失い、幻覚を見せる力が失われている事からも明白だ。


「ちょっとあんた、大丈夫?」

「私はいい。それよりサイカを」

「え?」


 マーベルが祭壇の方に目をやると、そこに立っているサイカの姿を見て目を丸くした。

 さっきまで震えて縮こまっていたミーティアも思わず剣を抜いて構えるほど、恐ろしい奴がそこにいる。


 真っ黒な化け物。


 地面に着きそうなほど長い髪の様な何かを頭から漂わせ、全身を黒い甲冑で包んだ女武士にも見える。


 体格も本来のサイカと比べ、一回り大きくなっているだろうか。


 鋭い爪を持った大きな両手には、何も持っていない。


 それでいて、禍々しいオーラが漂っている。


 まるで人型のバグそのもの。


「サイ……カ……?」

 と、上手く言葉が出ないマーベル。


 果たしてこれが本当にサイカなのか。

 その場にいる者全員にそんな疑問が浮かぶ中、ミーティアが叫ぶ。


「どう言う事なの!? こいつがサイカなの!?」


 剥き出しの殺意が、これはサイカでは無いと思わせてくる。

 そんな中、今にも気を失ってしまいそうなルビーが弱々しく状況を説明した。


「迂闊だった。私の見せた幻覚が……何かよくない物を……呼び覚ました……気を付け……て……」


 そこまで言って、ルビーは気を失ってしまった。


「ちょ、ちょっと! どうすんのよこれ!」

 と、焦るマーベル。


 祭壇の上に立つバグは、何も言わず、ただ立っているだけ。

 だけど今にも飛び掛かって来そうな雰囲気だけはピリピリと伝わってくる。


 すると、ミーティアがルビーを抱えるマーベルの前まで移動してきて、双剣を構えた。


「マーベル、ここは私が抑える! 貴女はルビーを連れて逃げて!」

「そんな事出来るわけ――」

「早くっ!」


 さっきまでのミーティアが嘘の様に気迫のある叫びを聞き、

「……頼んだわよ」

 と、マーベルは教会の出口に向かって走った。


 その時、サイカがそれを追いかける様に飛び出した。

 そうはさせまいとミーティアが動き、2本の剣を交差させてその鋭い爪を受け止めた。


 力に押されたミーティアは、そのまま逃げるマーベルの横を通り過ぎ、教会の壁を壊して外へと飛び出して行った。

 ミーティアはそうやって外に飛ばされながらも、サイカに呼び掛ける。


「サイカ! しっかりして! 私が見えないの!?」


 しかしサイカは何も答えない。

 教会の前で、恐ろしい速度で攻撃を仕掛けてくるサイカに対して、ミーティアも必死な抵抗を見せる。が、まるでサイカとは思えない動きに苦戦を強いられた。



 ――違う! こいつはサイカじゃない!



 ミーティアにそう思わせるのは、目の前にいるこの化け物から漂う殺気と迷いの無い攻撃。本気でミーティアを殺そうと、爪で引き裂いてくる。

 鋭い攻撃によるプレッシャーに、ミーティアの精神が押し潰されそうだ。


 まるで本能丸出しの獣。


 ミーティアは気迫で負け完全に相手のペース。

 それでもここで止めなくては、サイカがいったい何をするのか、どうなるのか、想像しただけでも恐ろしい。


 なのでミーティアも思い切って反撃に出る。



 ――コアさえ斬らなければいい! 無力化できれば!



 サイカの爪を避けながら、ミーティアも斬る。赤と青の双剣ツインエッジで、稲妻のような剣さばきが炸裂した。

 しかし、まるで鋼の如く硬い皮膜に剣が弾かれてしまう。


 でも理性が無い分、ミーティアにとってはサイカの攻撃は読みやすかった。

 隙を見極めて的確に斬撃を加えるも、やはり効かない。


 回し蹴りを頭に直撃させたが、やはりビクともしなかった。

 そんなミーティアの足を、サイカが掴む。


「しまった――」


 ミーティアは地面に叩き付けられ、ぐるんぐるんと振り回された後に、投げ飛ばされた。

 顔面を強打され、右足が明後日の方向に折れた状態で民家の壁に叩き付けられたミーティア。


 完全に戦闘を継続できる状態でなくなったミーティアに対して、サイカが追撃を仕掛ける。

 その爪がミーティアの左肩と壁に大穴を開け、ミーティアの剣を握ったままの左腕が床を転がった。


 しかしミーティアもただやられた訳でもなく、右手に持っていたもう1本の剣を上手く使い、サイカが突っ込んできた勢いを利用して剣を突き刺していた。

 腹部に何とか刺さった剣は、サイカも少し驚いた様子である。


「あの時と逆ね……サイカ」


 ミーティアは力尽き倒れていると、サイカは腹部に刺さっている剣を抜いてそれを捨てたと思えば、その傷は一瞬で回復していた。

 そしてサイカは何かを思い出したかの様に、手元にキクイチモンジを召喚。


 鬼に金棒とは正にこの事。化け物が斬鉄剣を手に持ってしまったのだ。

 そんな光景を見た途端、ミーティアはディランの町で初めてサイカと出会った事を思い出してしまった。



 サイカを恨み、妬み、己の本能に支配されて、サイカを襲ったあの時……



 ――あの時、サイカは私を傷付けようとはして来なかった。



 サイカの言葉を思い出す。



『この刀は本来キミの刀だ。返せるのであれば返したい。そう思っている。許してくれとは言わない。恨みたいなら恨んで貰って構わない。斬りたいなら私を思う存分斬ってくれ』



 ――残酷ね。貴女はもう私にとって、親友で、憧れで、命の恩人。いつだって貴女は、仲間を想い、そうやって使命を見失った私の光となってくれた。貴女は……私の命そのものなの……サイカ……



 これは完全に勝てないと悟ったミーティアは、それでも、サイカの手によって殺されるのであれば本望かもしれないと、そんな風に考えてしまっていた。


 化け物となったサイカの目は、やはりバグと一緒で、赤い宝石の様な物が2つ光っている。

 眼球が無いので、何処を見ているのか詳しい視線までは分からない。それでいて、左腕を失い右脚が複雑骨折して仰向けに倒れているミーティアを見下ろしてきている。




 そこへ、騒ぎを聞きつけた王国兵士やブレイバー達が続々と集まって来ていた。


「何の騒ぎだ!」

 と、前に出てきたのはシッコク。


 その後ろには、先ほどまで一緒にいたエオナの姿もある。

 マーベルはルビーを抱えたまま駆け寄り、王国兵士に気絶したルビーを預けながら、事情を説明しようとした。


 しかし、複数人の気配を感じたサイカが、目の前で倒れているミーティアを無視して、民家の壁から外に出る事でそれどころでは無くなってしまう。

 まるで暗黒の武士と言った容姿ではあるが、誰が見てもバグと分かるサイカを目にして、集まった誰もが唖然としてしまった。


「バグか!」

 と、シッコクが魔剣バルムンクを手に取った。


 慌ててマーベルが止めに入る。


「待って! あれはサイカなの!」

「サイカだと?」


 シッコクは改めて前方でこちらに向かって歩いてくるバグを見る。

 忍びであるサイカの面影など見受けられず、まるで狂気の塊。とても信じられない。


「サイカがバグ化したのか」

「分からない。でも、普通のバグ化じゃない。結晶化もしてないし。前から肌が黒くなったりして兆候はあったんだけど……」


 マーベルのその説明により、シッコクはワタアメとの一戦を思い出すに至った。


「バグに変化する力を宿したブレイバー。それが完全体となると、こうなるのか。お前たちは下がれ。兵は付近の民間人の避難を最優先。こいつの相手は私がやる」


 そう言いながら、シッコクは剣を構えた。

 シッコクはこのバグがサイカかどうかを別にしても、間違いなくレベル5であると見極めていた。それだけの圧縮された空気を前から浴びせられたような、異様な威圧感がある。更にはシッコクの右手、ゼツボウノコテがサイカに反応して光を放ち、カタカタと震えている。


 夜空に浮かぶ付近一帯の雲が、サイカに吸い寄せられてるかの様に渦を巻いている。更には大量のカラスが集まっており、サイカを応援する様に汚い声で合唱を始めていた。その中でもサイカの頭上にいるカラス数匹は、円を描いての飛行しているのが不気味さを増している。

 サイカの手にはキクイチモンジが陽炎のようにきらめく。


「あの武器……本当にサイカなのか!」

「だからさっきからそうだって言ってるでしょう! やめて!」


 マーベルが必死にシッコクを止めようとする横で、銃を持ったブレイバー達が数人出て来た。皆、迷彩服を着ている。


「シッコク様! ここは俺たちが!」

「……発砲を許可する」


 シッコクがそう言ったので、迷彩服のブレイバー達は次々と手に持った銃火器を発砲。

 しかしその銃弾はサイカの硬い皮膜を破る事は無く、弾かれてしまっていた。


 銃弾が効かないと見た1人のブレイバーが、今度はロケットランチャーを取り出し、迷わず発射。



 サイカは刀でロケット弾を真っ二つに斬った。



 それでいて、あくまで余裕の歩みで着々と近付いて来る。

 全く銃火器に対して怯える素振りもない、それだけの強さ、それだけの自信があると言う事だ。


「な、なんなんだこいつは!」

 と、怖気付く部下達を見て、シッコクは手で合図して発砲を止めた。


「ダメか。やはり私がやる」

「は、はい!」


 銃を持ったブレイバー達が下がると、シッコクが前に出る。

 必死に止めようとするマーベルは、兵士達に抑えられてしまっていた。




 シッコクが剣を構えても、サイカは刀を構えない。

 むしろ刀を構える行為そのものを忘れてしまったかの様にも見受けられる。だからこそ、シッコクにとっては嘆かわしい事でもあった。


「まさかお前と、この様な形で一戦交える事になろうとはな。もはや忍びの面影も無し。醜い姿になったものだ」


 そう言って笑みを浮かべるシッコクは、サイカの実力を目の当たりにしたいと心の何処かで思っていたからだ。

 こんな姿になったサイカを前にしても、シッコクはケリドウェン以上の脅威は微塵も感じていない。


「さぁ来いサイカ」



 魔剣を構えたシッコクを、敵と認識したのか、サイカが飛び出した。

 シッコクは躊躇せずに剣を振るい、大抵の物を吹き飛ばす衝撃波を放つが、サイカはそれを真正面から突き破る。


 シッコクに向かって振るわれるキクイチモンジ。

 月光の中に氷のようにきらめきつつ振り回される刀の光が、言いようもないほどおそろしく、その動きにすらサイカ本来の戦闘スタイルは残っていない。


 しかし基本や駆け引きに捉われないその刀さばきを前に、シッコクは苦戦を強いられた。

 サイカの身体は恐ろしいほど硬く、動きも素早く、力もシッコクを上回っている。


 大抵のバグであれば微塵にして消しとばしてしまう魔剣バルムンクの攻撃も、このサイカには一切通用していない。

 サイカと剣を交える度に、魔剣が折られ、その度に再召喚しているシッコクは、斬り合いにおいて一歩遅れてしまっている。


 シッコクは長年の戦闘経験で鍛え抜かれた洞察力で、サイカの剣筋を見極めるのがやっと。

 横から大きく振られた刀を避けると、背後にあった民家の石壁が切り裂かれていた。と思えば、斬られた建物が崩壊して瓦礫と砂埃が舞う。



 ――避けなければ終わっていた。なんだこの強さは!?



 焦るシッコク。

 覚えているあらゆる夢世界スキルを使用しても、このサイカには一切効いていない。シッコクが身体を浮かせて宙に逃げ様にも、サイカは恐るべき跳躍力で追いつき、地面に蹴落としてくる。


 何軒かの民家を破壊しながら、激しさが増す2人の攻防は目で追うのがやっとな程、次元が違っていた。何か爆弾が次々と爆発しているかの様に、あちらこちらで衝撃が起きる。

 月は渦巻く雲に隠れ、陰気をぶちまけたように黒く染まった闇夜の中、サイカの赤目とシッコクの籠手による残光が空中に線を描く。床や地面に亀裂が入ったと思えば、周囲の民家が崩壊していった。


 ありとあらゆるものが破壊して、まさに修羅場ともいうべき決戦が起きている最中、ミーティアが這いつくばってそれが見える所まで出てきていた。


「シッコク様! やめてください! サイカなんです! それはサイカ……なんですよ……お願い……やめて……シッコク様……」


 肩から左腕を切断された傷口の出血が酷く、折れた右脚は全く動かず、そんな状況だからか、ミーティアの叫び声はほとんど響かない。

 恐らくこの2人の激しい戦闘の音と、その迫力のせいで、ミーティアの声は誰にも届いていないであろう。


 ミーティアだけでなく、王国兵に抑えられてるマーベルも、何かを必死に叫んでいる。



 しかしシッコクには、例えその声が聞こえたとしても、手を抜けるほどの余裕が無くなっていた。

 知能以外、全てにおいてサイカがシッコクを超えているのだから、彼が追い込まれるのも必然と言える。


 そこで、シッコクは賭けに出る。

 サイカの刀を受け止め、魔剣バルムンクを折られたその隙に、ゼツボウノコテでサイカの首を掴み地面に叩きつけた。


 普通の人間やブレイバーであれば、気絶させている勢いで頭を地面に衝突させ、籠手の能力を発動させた。



 シッコクのゼツボウノコテが青白く光を放ち、『何か』をサイカに送り込む。



 その光景は、その場にいる誰もが目にしたが、いったいシッコクがサイカに何をしているのか理解できている者は誰もいない。

 主に魔法などの夢世界スキルを吸収して自分のスキルとしてしまうゼツボウノコテ。それが吸収するのではなく、何かを送り込んでいる。


 次の瞬間、サイカの首が結晶化をしているのが見えた事で、似た様な光景を見た事があるマーベルとミーティアは頭がしびれて目の前の現実が受け入れられない感覚に襲われた。


 だが、シッコクが籠手で掴んでいる部分から結晶化が始まるも、なかなか思った様に進まず、させまいと動いたのはサイカだった。

 キクイチモンジの鋭い刃が迫ったので、シッコクは中断して、後方へと飛躍して回避。


 今のはかなり危ない攻撃で鎧を刀が掠ったが、何とかシッコクの身体は無傷だった。

 サイカが立ち上がる頃、その首元の結晶を体内に取り込み、何も無かったかの様な形となった。



 ――やはりバグには通用しないと言う事か。



 珍しく悔しそうな表情を浮かべたシッコクは、すぐに気持ちを切り替えて魔剣バルムンクを再度手元に召喚して構える。

 サイカはそこから更に速度を上げた。


 まるで神の領域。

 瞬間移動にも近い速度で、サイカはシッコクの背後へ。



 ――速いっ!!!


 シッコクが今まで経験した事が無い程、予想を超える速度で回り込んで来たのだ。


 振り返ったシッコクは、サイカが軽々と片手で振った刀を避けるので精一杯。続け様に放たれたサイカの拳が、シッコクのみぞおち部分に直撃。

 その衝撃はシッコクの鉄の鎧を砕き、遥か遠くにある民家まで吹き飛ばした。


 何が起きたか理解するのに時間が掛かるほど一瞬な出来事であったが、あのシッコクが赤子同然に扱われ歯が立っていないのに誰もが下腹に風を入れられたような恐怖とも驚愕とも説明のできぬ気持ちにさせられる。


 勝てない。


 何人のブレイバーが束になろうと、このサイカは止められない。

 そんな気配が、漂う黒いオーラからひしひしと伝わって来るのだ。


 だから王国兵士もブレイバーも、恐れ慄き、1歩、また1歩と距離を取ろうとしていた。

 取り囲んでいて追い込んでいるはずなのに、逆に追い込まれている。そんな感覚、空気が場を支配している。


 サイカは次のターゲットを探し、怯えて戦意を失いかけている観衆を見回す。忍者、武士、もっとそれ以上の魔王の様な、圧倒的な存在感を出ている。


 誰もが逃げ腰になって、離れて行く中で1人、マーベルだけはその場に残り立っていた。

 膝が震えて体がすくみ上がるような堅苦しい気詰まりを感じながらも、マーベルはそこに居た。


 当然、最も近くにいる形となったマーベルに、サイカは顔を向ける。

 宝石の様な赤い目と、マーベルの青い瞳が合った瞬間、マーベルの胸が震えた気がした。


「サイカ……私よ。分かる?」


 マーベルの言葉は恐怖で震えている。

 口は無く表情も分からないサイカが、今どんな思いでマーベルを見ているのかが読み取れない。ただ分かるのは今すぐにでも首を跳ね飛ばしてきそうな殺気。それだけでマーベルは腰が抜けそうで、杖を持つ手が震えてしまっていた。


「なにやってんのよ。ルビーに幻覚見せられたぐらいで、な、なにやってんのよ……サイカ、今ならまだ……戻れるから……ね?」


 いくら語りかけても何も答えないサイカが、ゆっくりマーベルへと近付く。

 そして刀が届く範囲まで移動してきたサイカは、刀を両手で大きく振り上げた。


 斬られる。


 そう感じ、咄嗟に目を瞑ってしまったマーベル。


 一瞬辺りが静まり返り、どよめきが聞こえてくるまでの数秒間ではあったが、サイカの刀が振り下ろされる事は無かった。

 恐る恐る、マーベルが瞼を上げて何があったのかを確認すると、目の前に白いローブに緑髪の小さな背中。大きく奇妙な形をした杖。



 エムが立っていた。



 マーベルから見て、エムの小さな背中の向こう側では、サイカが石像の様に固まっている。

 これは明らかに斬るのを躊躇っている。よく考えればマーベルに対しても、こんなにゆっくりとした動作だったのも変である。だから、もしかしたらこんな化け物になっても、サイカの心はまだ残っているのかもしれない。そう思わせる瞬間だった。


 泣き虫でいつもオドオドしてしまうエムが、こんな化け物を前にしても、力強い眼差しで睨みつけているのもまた驚くべき光景だった。


「サイカ、目を覚まして!」

 と、エム。


 サイカは何も答えない。動かない。


「僕の名はドエム! 僕はサイカの家族!」

「ド……エム?」


 初めて、サイカが言葉を発した。

 頭に響く不思議で不気味な声になっているが、ノイズ気味の不安定なサイカの声が聞こえた。


「そう! それが僕の名前! マーベルだって、クロードだって、ルビーだって、ミーティアも! 家族なんだよ! そしてキミはサイカ!」

「サイ……カ……」

「サイカの大事な人はタクマでしょ! 忘れたの!?」

「タクマ……タクマ……」


 まるでエムの言葉を繰り返すロボットの様な反応である。

 そんなサイカは、戦意を喪失したのか、刀を手放して地面に落とし、両手がだらんと力なく垂れた。


「タクマ……好キ……タクマ……会イタイ……救イ……タイ……クロード、救エナイ……悲シイ……虚シイ……私ハ……誰?」


 混乱を見せるサイカ。

 エムはあと一押し何かしなくてはと思いながら、両手に持っている杖を握りしめた。


 杖の先端が、何か光の魔法でも発動させたのかと周りが勘違いしてしまうほどの眩い光を放つ。

 それを慣れない手つきで、思いっきり振りかぶるエム。


「いい加減! 目を! 覚ませえええええええええ!!!!」


 エムはその光る杖で、サイカの頭を思いっきり殴った。



 そう、殴ったのだ。



 誰もが無謀な行為だと思った。



 しかし、杖で顔面を殴られたサイカは、吹き飛んでいた。

 吹き飛んだサイカは、壁に頭から衝突して次々と大穴を開け、いくつもの民家を壊していき、5軒目となる家の石壁に埋まって止まった。



「「「「はあああああああああああっ!?!?」」」」



 周りを囲っていた王国兵士やブレイバー、そしてマーベルまでもが驚きの声を上げ、口を半開きにして、しばらくそのまま固まってしまう出来事が起きたのだ。

 エムは殴った勢いで、くるくると回って間抜けに倒れていた。


「いててててて」

 と、エムは石に躓いて転んじゃいましたみたいなノリで立ち上がっているが……


 ミーティアやシッコクの攻撃が通用しなかった相手を、エムは刃物でも何でもない変わった形をした杖で殴り、遠くに吹き飛ばしてしまったのだ。

 巨大な金槌で思いっきり殴り飛ばしたかの様な音と衝撃があった。


「ちょ、ちょっとエム! 何をしたの!」


 マーベルがエムに駆け寄ってそう尋ねる。


「えっと……そういう杖で……別に隠してた訳じゃなくて、その……」


 エムはやってしまった事が恥ずかしいのか、たじろんでしまっている。


「わかった。話は後で聞くわ。まずはサイカを!」

「う、うん!」


 そう言って、ブレイバー数人を引き連れ、サイカが飛ばされた方へ移動するマーベルとエム。

 見れば、雲の異変も集まって騒いでいたカラスも、綺麗になくなっていた。




 急いで現場へと到達すると、そこに一糸纏わぬ姿で目覚め、今正に起き上がろうとするサイカの姿があった。

 いつの間にか物言わぬ青い妖精パーラーフェアリーが出てきていて、サイカの周りを飛び回っている。パーラーフェアリーなりにサイカの容態を気にしてくれているのか、サイカの裸体を見回してくれていた。


「は、裸っ!?」

 と、エムが顔を真っ赤にしながら慌てて背中を向ける。


 その横でマーベルは気にする事なく駆け寄る。


「サイカ! サイカ!」

「私……いったい何を……そうだ! クロードの声が聞こえた! クロードがいたんだ!」


 何処か嬉しそうにそんな事を言うサイカを前に、マーベルは憐れむような目を向けた。


「サイカ、落ち着いて。クロードはもういないのよ」

「あっ……」


 目覚めたばかりでまだ幻覚と区別が出来ていなかったサイカは、マーベルに現実を突き付けられ、明るかった表情が段々と冷めていくのが分かる。


 それを見たマーベルは周囲にいる男ブレイバーを見渡して、

「男ども! 見せもんじゃないよ! あっち向いてな!」

 と、サイカの裸体に注目している奴らに言い放つ。


 男ブレイバー達が慌てて視線を逸らしたのを確認したマーベルは、再びサイカを見る。


「動ける?」

「……うん」

「とりあえず、服着て」

「あ、うん。分かった」


 サイカが集中すると、すぐにいつもの忍び装束と、額当てが身体に装着された。

 キクイチモンジもしっかり腰に戻ってきている。まずはいつも通りのサイカに戻った事に、マーベルは安堵の息を吐く。


 サイカも冷静になって周りを観察すると、穴の空いた民家の石壁。周りに集まっているブレイバー達を見ても、何か只ならぬ事が起きたと言う事はすぐに分かった。


「いったい何が……私、なんでこんな所に? ルビーは何処だ?」

 と、サイカはマーベルに聞く。


「何も覚えてないのね」

「え?」

「大丈夫。取り返しの付かない事態までにはなってない。ルビーも無事よ」

「何か……したのか……私は……」


 そう言って、サイカは自身の両手の平を見る。白い肌、いつもの自分の手がそこにはあった。

 でも教会で祭壇に縛られ、ルビーに幻覚を見せられて、その中でオリガミを倒してからの記憶が無い。ましてやここまで移動してきた事など、一切覚えていない。


 それはサイカにとって恐怖だった。

 無意識に何かをしてしまった事に対して、サイカは自分自身に潜む何かに怯え、手が震えてしまう。


 マーベルは、そんなサイカにそっと寄り添い、背中を優しく摩った。


「大丈夫。大丈夫だから」


 マーベルがサイカを抱きしめ、パーラーフェアリーもマーベルの行為を真似る様にサイカの頬へ寄り添い、そこへ服を着た事を確認したエムも駆け寄る。

 一方で、負傷したシッコクやミーティアも救出される中、夜空をロウセンが飛んでいるのが見えた。地上でもゼットがホバー移動している。


 巨大機械人形ブレイバー2機が、バグの偵察から戻ったのだ。

挿絵(By みてみん)

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