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多美子とおじさん  作者: みゆき
6/10

叔父さんと食事

部屋に入れてくれた叔父さんと一緒に夕食を食べます。叔父さんの部屋は一人やもめの部屋でお世辞にも綺麗とは言えません。それでも、多美子にとってはこの食事がとても楽しい一時になります。読んで気に入っていただけると嬉しいです。

 和夫は、脱ぎ散らかした多美子の衣類を何枚ものタオルの上に乗せて、

部屋の片隅に持っていった。

それから、キッチンに戻り、計量カップで3合測り、ご飯を炊いた。

いつもは1合だが、多美子は2合ぐらい食べるだろう。

高校生だし、一週間も食べていないと言っていたし。

買ってきたレトルトのハンバーグは3個で200円だったので、

二人で食べるにはちょうどいい。

冷蔵庫には納豆が2パックある。今日はポテトサラダを買ってきた。

和夫はお茶碗が一つしかないことに気がついた。

自分は木製の汁椀でご飯を食べることにしよう。お味噌汁はフリーズドライ

なので、ご飯が食べ終わったら、お茶碗に入れて、お湯を注げばいい。

和夫は、ハンバーグを温めるために、お湯を沸かすと、テーブルの上を片付けて、

お茶碗と納豆とパックのままのポテトサラダを並べた。

お湯が沸くと、そこにレトルトのハンバーグを入れた。3分間待てばいい。

その時、多美子が浴室から一向に出てこないことに気がついた。

シャワーの音だけが聞こえる。浴室の前で、声をかけてみた。

「多美ちゃん。多美ちゃん」

返事がない。和夫は思い切って、浴室のドアを開けてみた。

多美子がバスタブの中で倒れている。

脇に、出っ放しのシャワーヘッドが転がっている。

和夫は多美子の鼻の下に手をやった。息をしている。

気を失っているだけみたいだ。多美子の体はとてもやせ細っていた。

和夫はシャワーを止めると、部屋に行って、

敷きっぱなしの煎餅布団の上に、何枚ものタオルを敷いた。

浴室に戻り、多美子を抱きかかえ、煎餅布団のタオルの上に

多美子の体を横たえた。

ひどくやせ細っていて、胸は小さく、

性器は小さな隠毛の茂みに隠されている。

和夫は多美子の体を見て、性欲など全く湧かなかった。

隠毛はカピカピに固まっていて、

両足の付け根には経血が固まってこびりついている。

和夫はタオルを湿らせて、陰毛を丁寧に拭き、経血を拭き取った。

濡れたタオルで全身を丁寧に拭き、

乾いたバスタオルで水分を取って

乾いたタオルをかけた。

その時、お湯が噴きこぼれる音がした。

レトルトのハンバーグがお湯にかけっぱなしだった。

慌てて台所に戻り、火を止めた。

そして、煎餅布団の上の多美子のところに戻った。

髪の毛は洗いたてのように濡れていた。

長い髪を体の下から引っ張り出すと、

ドライヤーを温風にして乾かした。結構な時間がかかった。

キッチンに置いてある自分の櫛をとって、

絡まった自分の毛を取ると、ドライヤーを冷風にして多美子の髪に当て、

櫛で多美子の絡まった髪を梳かした。

もう一度、多美子の鼻の下に手を当ててみる。息をしている。大丈夫。

和夫は多美子が起きた時に、着られるように、

ランニングシャツとトランクスを用意した。

ご飯が炊けた音がする。

炊飯ジャーとおしゃもじをテーブルのところに持ってくる。

ポテトサラダの容器と、納豆を2パック、お茶碗と、汁碗をテーブルに置く。

ボイルされたハンバーグを三つ、レトルトパックから取り出して

小さな皿の上に積み重ね、テーブルに運ぶ。和夫は汁碗の前に自分用の箸、

多美子のためのお茶碗の前にコンビニの割り箸を置く。

和夫は、多美子の頬を軽く叩いて起こしてみた。

多美子はぼんやりと目を覚ました。

「私、どうしたの?」

「多美ちゃん、お風呂で倒れていたんだよ」

「お風呂場でシャワーを浴びていたら、とても気持ち良くなって、

いつのまにか意識がなくなっちゃたの」

「大丈夫?ご飯の用意ができているよ。着るものは僕の

ランニングシャツとトランクスで我慢してね。

叔父さんのじゃ、嫌だろうけれど」

「そんなことない」

そう言って、多美子は煎餅布団に両手を付いて、上半身を起こした。

体にかけてあったタオルがはらりと落ちる。多美子は自分の体を見て

綺麗になっていることに気がついた。髪を触ってみると乾かしてある。

「叔父さん、私の体を拭いてくれたの?ありがとう。

髪の毛も乾かしてくれてありがとう」

「こんな叔父さんに触られて嫌だろうけれど、

放っておくと風邪を引いちゃうからね」

和夫がすまなそうにいうと、多美子は

「全然、気にしなくていいよ。

おじさんに拭いてもらってすごくうれしい」

とにこりと微笑んだ。

 多美子は立ち上がると、和夫が用意したトランクスと

ランニングシャツを身につけた。

 和夫は炊飯ジャーからおしゃもじで汁碗にご飯を盛って自分の前に、

お茶碗にご飯を盛って多美子の前に置いた。

 多美子にとっては一週間ぶりのまともな食事だ。

美味しそうなハンバーグのにおいとご飯の湯気が

多美子の食欲を刺激する。

 テーブルには本とかパソコンとか書類とかが置いてあり、

向かい合って座ることはできない。

多美子と和夫は隣り合って座る。

「いただきます」そう和夫が両手を合わせて言うと、

多美子も同じ動作をして「いただきます」と言う。

「お味噌汁はフリーズドライだから、

ご飯が食べ終わったら、お茶碗で作るからね。

今日は三合炊いたから、お代わりしても大丈夫だよ。

あと、ハンバーグは多美ちゃんは二つね」

 和夫がそう言っている間に、多美子は納豆のパックを開けて

ご飯の上にぶちまけ、コンビニの割り箸で勢い良くかき混ぜると、

大きく口を開けて流し込んだ。

次にハンバーグを箸で挟むと、そのまま、口の中へ押し込んだ。

 和夫のご飯が半分も減らないうちに、多美子のご飯はなくなった。

「多美ちゃん、おかわりを装うね」

 和夫は多美子のお茶碗をとって、

炊飯ジャーから多美子のお茶碗にご飯を装った。

 パックに入ったままのポテトサラダは和夫が手をつける前になくなった。

 ハンバーグ2枚も、納豆もあっという間になくなった。

多美子のご飯がなくなったので、炊飯ジャーに残っている全てのご飯を装ったが、

それもすぐになくなった。

 多美子は「ごちそうさま」と両手を合わせていうと、和夫を嬉しそうにみた。

 和夫は自分の分を食べ終えると、キッチンに行って、やかんでお湯を沸かした。

フリーズドライのお味噌汁を取ってきて自分と多美子のそれぞれの碗に入れた。

二人で待っていると、お湯が沸くピーという音が聞こえる。

和夫はキッチンに行って火を止め、やかんをテーブルに持ってきて、

二人のお椀にお湯を注ぐ。

今日のフリーズドライのお味噌汁はなめこ汁。いい香りが部屋中に広がる。

「美味しそうな匂い。ひさしぶり」多美子は嬉しそうだ。

二人で黙って、味噌汁を飲んだ。和夫にとって、

この部屋で誰かと食事をするのは初めての経験だ。

多美子と隣り合わせで、一緒に食事をするというとは、

恥ずかしい秘密を見られてしまったような不思議な感じがする。

「おいしかった。ごちそうさま。食器は私が洗って片付ける。

それくらい任せて」

「仕舞う場所がわからないだろう。一緒に行こう。」

 和夫と多美子は、食器をキッチンに運んだ。

納豆の空パックとポテトサラダの空パック、割り箸を

キッチンに置いてあるゴミ袋に捨てた。

多美子が食器を洗うと、和夫がそれを仕舞った。

 「コーヒーでも飲むかい?」

 和夫が聞いた。

「うん。飲む。こうしていると夫婦みたい。今日のご飯、すごく美味しかった。

こんなに美味しいご飯食べたことない」

「こんなのただの、普通のご飯だよ」

そう言って、和夫はコーヒーカップを二つ取り出して、インスタントコーヒーを

入れている。多美子には本当に今日の食事は美味しかった。

多美子を買ったたくさんの男たちがご馳走してくれた、高価なビーフステーキや、

高級なお寿司よりも何百倍も美味しかった。

多美子はとっても幸せな気持ちだった。

読んでいただいてありがとうございました。ご意見ご感想を聞かせていただけると嬉しいです。

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