叔父さんの家のお風呂でシャワー
多美子は叔父さんの家に上げてもらいます。叔父さんは多美子に帰るように話をしますが、無碍にもできず、シャワーを浴びてせめて体を綺麗にするようにいいます。
多美子はこの時、この人が、叔父さんの城田和夫さんだということがわかった。
「叔父さん。私は姪の今井多美子です。ママは今井由美、
叔父さんの姉です。証拠ならあります」
多美子は急いで、リュックの中を漁って、ビニール袋と生徒手帳を取り出して、
叔父さんに突き出した。
「千円で私を買ってください。五百円でもいいです。どんな行為でもします。
どんな変態行為でもします。お尻の穴も、少し痛いけど大丈夫です。私を買って
千円ください。一週間何も食べていないんです。お腹が減って死にそうです。
何か食べさせてください」
残りわずかな体力でそれだけ言った。多美子は高校一年生だった。
今はやつれてしまっていて、生徒手帳に貼ってある
顔写真と違ってしまって、本人と信じてもらえるか不安だった。
叔父さんは、ビニール袋と生徒手帳を受け取った。ビニール袋を開けた。
「これは戸籍だね」
そういうと、立派な二枚の紙をしげしげと眺めた。多美子は、これは
戸籍というんだということを知った。叔父さんは、それから生徒手帳を眺めて、
多美子の顔をじっと見た。
「きみはどうやら、姉の娘の多美子ちゃんで間違いないね。
亡くなったお姉ちゃんにこんな大きな子供がいたんだね。
お姉ちゃんとは、結婚してから全く連絡を取っていなくて、
この前会ったのがお葬式の時だった。娘がいたなんて知らなかった。
ここは私しか住んでいないから、すごく汚いけど、入りなさい。
もし、我慢できるなら、泊まっていってもいい。明日には
お家に帰りなさい」
叔父さんは、部屋のドアを開けた。
叔父さんの部屋は1LDKだった。手前にキッチンがあり、
向こう側に部屋が見える。
部屋はフローリングで両脇にたくさんの本が置いてあり、
真ん中に低いテーブルがある。その上にパソコンが置いてある。
テーブルの向こうにテレビがあり、テーブルの脇に敷きっぱなしの
煎餅布団がある。叔父さんが部屋に入っていく。
多美子もそれに続いて入ると、玄関のドアを閉めた。
「汚いだろう。男の一人暮らしなんてこんなものだ。ご飯は食べさせて
あげるから、シャワーを浴びてきなさい。お風呂はちょっと汚いけれど。
もし、我慢できるなら泊まっていってもいいよ」
叔父さんが小さな玄関で靴を脱いで、揃えて、向きを変えて、片隅に置く。
多美子もそれに倣って、ローファーを脱いで、叔父さんの靴の脇に置いた。
「お風呂、お借りします」
「ご飯は準備しておくから、ゆっくりしていて」
多美子は玄関のそばの浴室のドアを開けた。
バスタブは少し水アカが付いている。
男性用のシャンプーとリンス、ボディーソープがある。
多美子にはお風呂なんて久しぶりだった。
浴室の前で、ずぶ濡れのセーラー服を脱ぎ、スカートを剥ぎ取り、
ソックスを脱いで、ブラを外し、ショーツを脱いで、丸裸になった。
浴室に入り、ドアを閉めると、バスタブに入って、
右手でシャワーヘッドを取り、温水にして栓をひねった。
久しぶりの温かいお湯が優しく多美子の体を包み込む。
浴室はたちまち、湯気でいっぱいになる。
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